第127歩目 vs.テディ!神の試練⑥
前回までのあらすじ
試練の使者はこわかわいいぬいぐるみだった。
□□□□ ~勝負の行方~ □□□□
「うおおおおお!女は度胸・愛嬌・最強!かかってこいや!喧嘩上等!!ヽ(`Д´#)ノ」
アテナのノリノリの実況から始まったぬいぐるみとの一騎討ち。
相手はアルテミス様のペットの中でも実戦部隊に所属する特攻隊の隊長だ。
ステータスも凄まじいものとなっている。
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『テディ』 レベル:668(SS) 危険度:特大
体力:34000
魔力:21000
筋力:45000
耐久:45000
敏捷:19500
【一言】うおおおおおおおおおお!熊拳3倍だああああああああああ ヽ(`Д´#)ノ
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今までのどの相手よりも間違いなく強い、最強の相手だ。
俺のステータスの3倍以上もあることから、普通なら勝利を掴むのは相当厳しいと思われる。
「.....大丈夫なのかい?」
「全く問題ないです。100%勝てますから。まぁ見ててください」
実際にトキオさんも心配する素振りを見せてくれているのだが、俺には必勝の策がある。
恐らくだが、万に一つも負ける要素はないとほぼほぼ確信している。
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間が空いてしまったので、不要かもしれないが相手のぬいぐるみである『テディ』について少し解説しよう。
体長60cmほどの(自称)女の子のくまのぬいぐるみである。
姿形は完全に押○!番長のそれと似ていて、バンカラ風の学帽とマントを羽織っている。
強面の面に右目には切り傷がある。一見怖そうにも見えるが、口に食わえている四つ葉のクローバーがあざとくかわいさを演出している。
そして何よりも特徴的なのが、特攻隊長にふさわしい巨大な釘バットだ。
いや、テディが小さいからか大きく見えるだけで実際は.....。
いやいや、やはりどう見ても普通の釘バットよりも倍ぐらい大きく見える。普通の、と言ったが、普通のがどれぐらいかは漫画基準だ。
その巨大な釘バットを苦もなく手にし、肩をとんとんっしている姿はまさに昭和のヤンキーを彷彿とさせる。(漫画基準)
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さて、そんなテディとの一騎討ちが始まって15分程経った頃.....。
「キュ、キュ、キュ.....」
「『参りました』だってー( ´∀` )」
がっくしと膝をついたテディが白旗をあげてきた。
その背中には、どよ~んの文字が浮き出そうなぐらいに物凄く落ち込んでいる。
(と言うか、本当に器用に動くな、このぬいぐるみ.....)
敢えて、何故ぬいぐるみが動いているのかはツッコまない。
このテディも神獣らしいので、『神』の名を冠している辺りは何でもありなのだろう。
「キュ、キュ、キュ.....」
「『ポ、ポキュが手も足も出ないなんて.....。アルテミス様に顔向けできない.....』だってー( ´∀` )」
お、おぅ.....。
思った以上に、テディのプライドを傷付けてしまったようだ。
しかし、そこは勝負の世界。
潔く負けを受け入れて欲しい。俺は正々堂々と戦ったのだから。
「キュ、キュ、キュ!」
「『負けは負けなり!こんな体たらくではアルテミス様の元へなど戻ることは不可能!さぁ、煮るなり焼くなり好きにしろ!』だってさー(o゜ω゜o)」
さすがは特攻隊長。
喧嘩に敗れた時の姿勢も潔良い。
腕を組み、胡座をかいて座っている姿は様になる。.....と言うか、女の子だよな?
「そうか。じゃあ、アテナ。好きにしろ」
「やったー!くまちゃんゲットだよーo(≧∇≦)o」
アテナ、アウトー!
「ニケー!お願いねー!」
ともかく、アテナが以前と同様に空に向かって叫んだ。
空に向かって叫ぶ時、大きなおっぱいが揺れたのを俺は見逃さなかったがな!
すると、
───ピカッ!!
一瞬、まばゆい光が放たれたかと思ったら、
───ゴオオオオオゥゥゥゥゥン!
凄まじい轟音が鳴り響いた。
「キュ、キュ、キュ!?」
神の光が如く、眩い光に訳もわからず包まれていくテディ。
なにかを懸命に叫んでいる。
これぐらいは、アテナに通訳してもらわなくとも俺でもわかる。
きっとテディは「え?なに?なんなの?」と言っているに違いない。.....ふっ。ぬいぐるみ語取得しちゃった感じ?
そう悦に浸っていたら、
「安心してー!三食おやつ付きだよー( ´∀` )」
「キュ、キュ、キュ!」
アテナの言葉に、恐らくだが「やったー!」との返事の意味を込めた万歳をして消えていくテディ。
どうやらテディは状況に混乱していた訳ではなく、ご飯?おやつ?の心配をしていたらしい。
(.....なんじゃそりゃ!?バットの言う鉄壁を誇る忠誠心とはなんぞや!?)
・・・。
まぁ何はともあれ、テディよりニケさんのクリスタルを貰うことには成功した。
これでようやく、ようやく愛しいニケさんに会うことができる。
一度は死んだりもしてしまったが、それでもここまでの苦労が報われた思いだ。.....ここまで本当に長かった。
(ニケさん!待っていてください!今すぐあなたに逢いにいきます!!)
こうして、俺の三度目の神の試練は何事もなく無事終わりを迎えることとなった。
圧倒的実力差という完勝の名のもとで。
□□□□ ~俺TUEEEEE!~ □□□□
時は20分程前に遡る。
持てる力を全て出せと言われた一騎討ちがまもなく始ろうとしている。
現在は作戦会議中だ。
恐らくだが、テディの実力は現在のステータス以上だと思われる。
それは、どう考えても実戦部隊の特攻隊長にしては弱すぎるからだ。
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『テディ』 レベル:668(SS) 危険度:特大
体力:8500
魔力:7000
筋力:15000
耐久:15000
敏捷:6500
【一言】くまちゃんは絶対私のものにするからねー!ころさないでよー(・ω・´*)
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まずは、何があってもいいように万全の態勢で挑めるようにしておくべきだろう。
その為にはドールの力が必要だ。
「ドール、支援を頼む」
「任せよ!」
ドールの真価は支援にあり。
前回のバット戦でその有用性は確認済みなので、ここは遠慮なく使わせてもらう。
テディには口説いほど確認して許可を貰っていることだし。
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『アユム・マイニチ』 レベル:9550
体力:9560 → 19120
魔力:9550 → 19100
筋力:9555 → 19110
耐久:9555 → 19110
敏捷:12010 → 24020
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ドールの支援を貰ったことで、一時的にだがステータスが2倍となった。
これで、一応は現在のテディよりも強くはなったが油断はできない。
それでも戦える準備は整ったことになる。
「ふむ。ドール君の支援は限定的とは言え素晴らしいね」
「えぇ。神の試練戦に於いては特に光るものを感じます。ありがとう、ドール」
「今頃妾の魅力に気付くとは、主も鈍感なのじゃ!」
───ふぁさふぁさ
勢いよく振られる尻尾が、もっと誉めて~と俺の腕に激しく主張をしてくる。もっふもふ~!
神の試練が終わったら宿屋でたくさんブラッシングをしてあげよう。
さて、ドールを誉めていれば当然こいつも黙ってはいない。
「歩~!歩~!私もくまちゃんの通訳頑張るねー!」
みんなご存知のアテナだ。
明らかにご褒美が貰えるセンサーを感じてアピールをしてきたに違いない。
意地汚いが確かに頑張ってもいるので、俺は
───ぽふっ。ぽんぽん
「アテナも、ドールもありがとな。ご褒美は期待しとけ!」
「にへへー(*´∀`*)ありがとー!私はペコ屋がいいなー!」
(それぐらいならお安いご用だ。ただ.....、出禁解除されてるといいなぁ.....)
頭をぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んだ。かわいい。
「くふふ。主のぽんぽんは気持ちいいのじゃ!主!主!妾の褒美は主との交尾を所望するのじゃ!」
「それはダメ」
「.....ちっ」
(舌打ちすんな!.....と言うか、いい加減諦めてください!)
頭をぽんぽんされたドールは、尻尾を嬉しそうにたなびかせながら両手を口にあてる仕草でかわいく微笑んだ。かわいい。
今から血みどろの戦いが行われようとしているのに、この緊張感のない様。
それは俺が語った秘策について、この場の全員が理解しているからだ。
但し、理解してはいるが納得しているという訳ではない。ここは注意!
さて、こういうのは不思議なもので、俺達がほのぼのとやっているとどうやらこの人も甘えたくなるみたいだ。
「.....あ、あの。私もお願いします」
謂わずと知れたゼオライトさんだ。
ゼオライトさんの種族は白狼、つまり犬種だ。
犬種は基本的に甘えん坊な性格なので、俺達を見て自分も甘えたくなったのだろう。し、仕方がないなぁ.....。
「俺で良ければ.....」
「.....(キッ!).....あなたじゃありません!」
───ベシッ!
「へぶっ!?」
ゼオライトさんの尻尾攻撃で敢えなく撃退されてしまった。.....いや、まぁわかってはいたけどさ?
この人の俺への敵愾心も相変わらずだ。これも犬種特有の忠誠心と見ていいのだろうか。
「いつもありがとう、ゼオラ」
「くぅぅん♡」
顎の下を撫でられ、完全に犬と化すゼオライトさん。これはこれでかわいい。
トキオさんの誉め方も上級者過ぎて、ちょっと引いてしまう。
・・・。
まぁ、そんなこんなことがあって、いよいよ一騎討ちに挑むことになった。
そうしたら、
「キュ、キュ、キュー!」
と同時に、テディが見た目のかわいさとは打って変わった大きな鳴き声を突如発し始めた。
いきなり最高潮ですか!?
「うおおおおお!女は度胸・愛嬌・最強!かかってこいや!喧嘩上等!!ヽ(`Д´#)ノ」
「.....」
そして、なぜかアテナもノリノリだ。
テディもそうだが、アテナの通訳もいきなり最高潮みたいだ。
それはいいとして、
「.....舞日君。これはヤバいね」
「ですね~。ステータスがぐんぐん伸びてます」
トキオさんの表情が険しくなるのも仕方がない。
どうやらこのテディ、本当に戦闘民族サイヤ.....いや、違う。
本当に根っからの戦闘種族みたいだ。今まで某民族のように戦闘力を抑えていたらしい。.....鑑定!
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『テディ』 レベル:668(SS) 危険度:特大
体力:34000
魔力:21000
筋力:45000
耐久:45000
敏捷:19500
【一言】うおおおおおおおおおお!熊拳3倍だああああああああああ ヽ(`Д´#)ノ
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(.....アテナ、アウトー!)
後でアテナにお仕置きが決定した瞬間だった。
そんな呑気な俺とは対照的に、トキオさんはどこか心配そうだ。
「.....大丈夫なのかい?」
「全く問題ないです。100%勝てますから。まぁ見ててください」
確かにテディの異常なステータスアップに尻込みしてしまう気持ちはわかる。
但し、俺には必勝の秘策あり!.....大丈夫だ。問題ない。
大物感を出しながら、俺はゆっくりとテディに近づいていく。
一方のテディは巨大な釘バットを肩でとんとんっしながら余裕の舌舐めずり。
(.....やばい!それ三流の小物感満載なんですけどっ!)
俺はテディの行く末が気になって仕方がない。
この後、盛大に負けてしまうというのに.....。
そんな俺の心配とは裏腹に、先に動きだしたのはテディのほうだった。
さすがは特攻隊長。待つのは性分ではないみたいだ。
【※これ以降はアテナの実況をお楽しみください】
「うおおおおお!死に曝せやあああああヽ(`Д´#)ノ」
テディは巨大な釘バットを手に突進をしてくる。
さすがに高ステータスなことはある。俺との距離をどんどん縮めてくる。
「もらったあああああ!今日の主役はポキュで夜露死苦ううううう!」
そして、テディが今まさに巨大な釘バットを振りかざそうとした時に俺の秘策が炸裂した!
「トキオさん!お願いします!」
「任せてくれ!『時間停止』!」
───ピシッ!
トキオさんの加護『時間停止』で全ての時が止まった。
当然それは、俺の目の前で「夜露死苦ううううう!」しているテディも例外ではない。
「あ、主の言う通りなのじゃ。ま、まさか本当に神獣にも効くとは.....」
「だから言ったろ?余裕だって」
当たり前だが、俺達は動けている。
トキオさんの加護『時間停止』では動ける対象も任意で選べるらしい。.....万能すぎぃ!
さて、もう今更言うまでもないと思うが、俺の秘策とはトキオさんの加護『時間停止』のことだ。
この力を貸してもらうべく、わざわざ試練の設置場所をFランクダンジョンにはせず、トキオさんのダンジョンにしてもらったという訳だ。
ここで言い訳をしておく。
実は秘策はもう一つある。
ただ、それはこの『時間停止』が失敗に終わった時の保険用。あくまでも保険に過ぎないとだけ言っておこう。
俺が誰に対して言い訳をしていたのかはいいとして、
「でもわからぬのじゃ」
「どうした?」
ドールが、う~ん、と唸っている。
この子はリアリストなせいか、意外と理論に拘ったりもする。
「なぜ神獣にも勇者様の加護が効いたのじゃ?仮にも神の名を冠する者達であろう?」
「いい質問ですね~!」
池上歩登場!
「簡単なことだよ。格の問題だ」
「格.....とな?」
「この世界で一番偉いのは神だろ?じゃあ、その次に偉いのは誰だ?」
「順番から言えば、神を冠する神獣ではないのか?」
「違う。勇者だ。勇者は神という名こそ冠してはいないが、その役割は神の使者、神の使徒となる。
だから言うなれば、神の子と言っても過言ではないはずだ」
そもそも神獣は元が神なのではなく、格や実力が神クラスに至ったものが多い。
例えば、ドールの先祖である九十九尾がいい例だ。
つまり神獣とは、『純神』なのではなく『準神』とも言える。
「うむ。しかし.....。今の主の説明だと、勇者様達もその『準神』とやらに属するのではないか?」
「その通りだ。同じ『準神』となるだろうな。
いや、神の子だし、神獣よりかは少し上かも?まぁ、その辺は詳しくはわからん」
「主はいい加減じゃのぅ.....。姉さま、どうなのじゃ?」
「しらなーい( ´∀` )」
アテナに聞くなよ.....。
知るわけないだろ!あのアテナさんだぞ!?
「とりあえず、神獣よりも格上か同格な勇者なら、
後は実力次第で『加護』が効くかどうかが決まってくるという訳だ。OK?」
「ぐぬぬ。もやっとするのじゃ!」
考えるな!感じろ!
「そういう意味では神獣相手だろうと、トキオさんは無双クラスに強いから助かります」
「いやいや。僕としてもいい情報が手に入って助かるよ。
とは言え、神獣に狙われるような危険はそうそうないだろうがね」
そりゃ、そうだ。
そんな命に関わりそうな危険はごめん被りたい。
とりあえずドールへの説明も終わったところで、テディと対峙する。
まずは恐怖感を与える釘バットをなんとかしよう。
恐らくだが、これも神器に値するような武器に違いない。一応、神獣が使っているものだし。
だから、
「俺は使わないけど貰っておこう。アテナ、持てないだろうがいるか?」
「いらなーい!私は斧がいいー( ´∀` )」
遠慮なく貰うことにした。
それにしても、アテナの斧愛はどこからくるのだろうか.....。
「「「ええええ!?」」」
そんな俺の行動に、俺とアテナを除く3人が驚いている。どうした!?
「よ、良いのか?勝手に貰ってしまっても.....」
「逆に聞くが、ダメな理由は?これって戦利品扱いになるだろ?もう俺の勝利は確定しているんだし」
「.....む?言われてみれば、そうなるのかのぅ.....?」
「頭が固いぞ、ドール。固いのは胸だけに.....」
───ベシッ!
「へぶっ!?」
(なんでゼオライトさんが!?)
ゼオライトさんの唐突な尻尾攻撃に思わずたじろいだ。
「.....最低ですね!」
「.....す、すいません」
どうやら胸の大きさを気にしているのはゼオライトさんのほうみたいだ。
当のドールは微塵も気にしている様子はない。むしろちっぱいを誇っているようにも見える。
ゼオライトさんの視線が痛いが、とりあえず脅威となる釘バットを回収させてもらった。
後は、俺の実力をこのテディに示せればいい訳だ。
と言っても、相手は(自称)女の子。できることなら手荒なことはあまりしたくはない。
「主は相変わらず甘いのぅ」
「うるせえな!」
ドールの茶々をいなして、とりあえず1発腹をぶん殴っとく。
ぬいぐるみとは言え、女の子だし顔は躊躇われる。
───ドンッ!
「トキオさん、『時間停止』を解除してもらってもいいですか?」
「わかった。『解除』」
トキオさんの『解除』の合図とともに、再び時間が動き出した。
それはアテナの実況も開始されることを意味する。
「もらったあああああ!今日の主役はポキュで夜露死.....ぷごらあああああ!?」
そして時が動き出すと同時に、地面にうずくまるテディ。劇団ひ○りだろうか?
「なに!?なに!?なにが起こったの!?.....って!ポキュの武器は!?」
「混乱してるところ悪いが、お前の武器は戦利品として俺が貰った。
そんなこともわからないようじゃ、お前に勝ち目はないぞ?潔く負けを認めたらどうだ?」
「ええええΣ(・ω・*ノ)ノいつの間にいいいいい!?」
「いいから降参しろって.....。お前じゃ俺には絶対勝てない」
「しょ、勝負はさい.....」
「トキオさん、お願いします」
───ピシッ!
再び全ての時が止まった。
テディの言葉を最後まで聞くつもりは一切ない。
───ドンッ!
───ドンッ!
───ドンッ!
───ドンッ!
───ドンッ!
とりあえず、腹に5発入れておく。
圧倒的実力差を思い知れば、テディも無駄な努力は諦めるだろう。
トキオさんに『時間停止』を解除してもらうと、
「しょ、勝負はさい.....おごぉぅぅぅぅぅ!?!?!?」
訳がわからないといった表情で、顔をしかめるテディ。
普通なら小さい子を苛めているような罪悪感が押し寄せてくるのだろうが、何故かそれがない。
ぬいぐるみだからだろうか。気分はネ○ちゃん状態だ。
「どうだ?負けを認めるか?」
「い、今なにをした!?ポキュでも攻撃が見えないなんて恐るべ.....」
「トキオさん、お願いします」
───ピシッ!
ご託はいらない。
俺は一刻も早くニケさんに会いたいんだ!
・・・。
その後の俺は一切の容赦をしなかった。
ニケさんへの想いが、ニケさんへの愛が、俺を鬼へと変貌させた。
そして、冒頭に戻る。
□□□□ ~俺流俺TUEEEEE!~ □□□□
試練を終えた帰り道、こんなやり取りがあった。
「手伝っておいてなんだが、あれで良かったのかい?」
「どういう意味ですか?」
訊ねてきたのは、ドール同様、俺の秘策について理解を示したが納得はしていなかったトキオさんだ。
納得できない理由は薄々だがわかる。
「あのぬいぐるみは君に一騎討ちを申し込んできた訳だろ?
百歩譲ってドール君の支援はいいとしよう。けれども実際は、僕と二人掛かりで挑んだ訳じゃないか。
あれだとぬいぐるみとの約束が違うと言うか、なんと言うか、ずるくはないかい?」
やはりそれか。
一緒に暮らすようになってわかったが、トキオさんはゼオライトさんの件を除けばまさしく正統勇者そのものだ。
『善』なる勇者。
『真面目』なる勇者。
『正々堂々』を好む勇者。
つまり、『綺麗』な勇者そのものだ。
俺のように地べたを這った泥臭い、雑草魂にまみれた叩き上げとは全く異なる人種だ。
だからこそ、今回のような戦いは気に食わないのだろう。
もっと大袈裟に言えば、俺は相手の弱点を突きまくるのに対して、トキオさんは敢えてそこは狙わないスタイルとも言える。
それほど、加護『時間停止』の恩恵は凄まじい程に大きい。
とりあえず、トキオさんと不仲になるのは避けたいので俺の考えを示す。
「アテナ。『一騎討ち』とはどういうことか教えてくれ」
「んー?『一対一で戦うこと』だねー(・ω・´*)」
「ほら。そうなると、やはり僕達は二人掛かりで.....」
「アテナ。『一対一で戦うこと』とはどういうことか教えてくれ」
「『他者が手出しをしないこと』だねー( ´∀` )」
「トキオさんは手を出しました?」
「え?いや、確かに手は出してはいないが.....。
それでも力を貸している以上は手を出したことになるんじゃないのかい?」
ドールもそうだが、トキオさんも頭が固い。
いや、俺がやつに毒されているだけか。
「アテナ。あのテディとの戦闘で、俺は一騎討ちをしていないことになるのか?」
「んー?どういうことー?歩は一人で戦ってたよねー(。´・ω・)?」
「とまぁ、こういうことなんです」
「.....そ、そうなんだね」
トキオさんは、ついでにゼオライトさんも呆気に取られている。
気持ちはわからなくもない。俺も転移後すぐの頃なら、同じ反応を示しただろう。
「それに俺は何度も確認していましたよね?」
「と言うと?」
「俺の持てる力全てを本当に出してもいいのか?と」
「確かに」
「失礼ですが、トキオさんの加護も俺の持てる力に含まれるんですよ。
よく言うじゃないですか。『数は力』だと。つまりこうも言える訳です。『人脈は力である』と」
「.....」
「だよな~?アテナ」
「よくわかってるねー!さすが私の歩( ´∀` )」
誰がお前のだっ!
俺はニケさん一筋なの!
トキオさんには、『アテナ式』の考え方はまだまだ時期尚早みたいだ。
とにもかくにも、俺は俺流のやり方で正々堂々とテディを撃退することに成功した。
(明日はいよいよニケさんと.....!ひゃっほ~い!心がぴょんぴょんするんじゃ~!!)
戦利品
①おらおら棒(釘バット)
②ニケのクリスタル
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『アテナ』 レベル:3 危険度:極小
種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀
職業:女神
称号:智慧の女神
体力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50
装備:殺戮の斧
女神ポイント:351240【↑1200】
【一言】新しくペット増えてうれしー!な”-ちゃんにー、バットちゃんにー、くまちゃん!
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アユムの所持金:3356252200ルクア【↓200000】
冒険者のランク:SS(クリア回数:14回)
このお話の歩数:約22000歩
ここまでの歩数:約45631200歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:9552【↑2】
種族:人間
年齢:26
性別:♂
職業:凡人
称号:女神の付き人/竜殺し
所有:ヘリオドール
体力:9562(+9552)【↑2】
魔力:9552(+9552)【↑2】
筋力:9557(+9552)【↑2】
耐久:9557(+9552)【↑2】
敏捷:12012(+11952)【↑2】
装備:竜墜の剣(敏捷+2400)
所持:おらおら棒(※筋力+1000)
※所持しているだけなのでステータスには反映されません。
技能:言語理解/ステータス/詠唱省略
Lv.1:初級光魔法/初級闇魔法
Lv.2:浄化魔法
Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知/隠密
偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有
初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
初級土魔法/ 物理耐性/魔法耐性
状態異常耐性
Lv.4:初級風魔法 (※『竜墜の剣』装備時のみ)
共有:アイテムボックスLv.3
パーティー編成Lv.1
ダンジョンマップLv.3
検査Lv.3
造形魔法Lv.3
奴隷契約Lv.2
加護:『ウォーキング』Lv.9552 6067/9553
『NTR』 Lv.2293 1424/2294
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次回、五度神界!




