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第103歩目 再びの降臨!女神アルテミス⑥

前回までのあらすじ


アルテミスがお手入れをしたことで、主人公が大泣きをした。

□□□□ ~アルテミスと再び二人っきり~ □□□□


アルテミス様のつるつる事件後、アルテミス様はそのまま降臨されることになった。

と言うよりも、神界から戻ったら隣に普通にいたのでビックリした。期待しすぎ!


しかし、時間はまだ9時前。


開いている店もあるが、閉まっている店の方が圧倒的に多い。

この世界は文化革命の影響で、営業時間帯も地球のそれに近い。

営業というと少し意味合いは異なるものも含まれるが、例外的なのは、冒険者ギルドや一部の店舗、娼館や奴隷商、酒場、神殿や教会なんかは24時間体制だ。


娼館が24時間体制ということに驚く方もいるかもしれないが、以前にも述べた通り、この世界は男女差別が全くない。

故に、水商売や風俗系等の仕事も別に軽蔑の対象になっていたりはしない。

むしろ、そんな目で少しでも見ようものなら、女性から袋叩きにされるのがオチだ。


働いてお金を稼ぐ。

その条件さえ揃えば、どんな職種の仕事も立派な仕事として認識されている。


・・・。


当然、今回の最終目的地は酒場なのだが、ここで一つの問題が出てくる。

それは.....、アテナやドールをどうするか、だ。


酒場に二人を連れていくのは正直避けたい。

アテナはともかく、ドールは絶対ダメだ。

甘酒を一口飲んで酔う程なのだから、下手したら酒場に入った瞬間に酔っ払う可能性すらある。


「ぐぬぬ.....。そ、そう言われてしまうと、なんとも言えぬのじゃ.....」

「アルテミス様に失礼があったらいけないからな。だから遠慮してくれ」


そういう訳で、ドールとは別行動となった。

そうなると当然.....


「アテナもドールと一緒な?お姉ちゃんなんだから、妹の面倒をちゃんと見るんだぞ?いいな?」

「はーい( ´∀` )」


アテナも別行動にしたほうがいいだろう。

ドールを説得しやすいし、何よりも一緒にいるとアルテミス様の接待には邪魔でしかない。


アテナ自身も元気の良い返事を返してきたし、やっとお姉ちゃんとしての自覚ができてきたかと思っていたら.....


「じゃー、お金ちょーだーい(o゜ω゜o)」

「・・・」


お姉ちゃんとしての自覚が出たのではなく、ただ単にお小遣いが欲しかっただけみたいだ。

元から渡すつもりだったからいいのだが、こう催促されると微妙な気持ちになる。


「.....二人で仲良く分けろよ?」

「もちろーん!」

「うむ、任せよ」


そして、ドールに前回同様100万ルクアを渡したのだが.....


「ぶー(´-ε -`)すくないよー」

「少ないのう.....」


まさか不満を言われるとは思わなかった。

別にケチっているつもりはないのだが、それでも100万ルクアもあれば十分だと思っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「.....おじさんさぁ~、今時1000円で何ができるって言うの?これだから昭和生まれは.....」

「.....おじさんは何もわかってないよね。女の子はいろいろとお金がかかるんだよ?それが1000円とかw」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


うっ。嫌な思い出が脳裏に甦る.....。

これは遊びにきた、10歳の甥と姪にお小遣いをあげた時のことだ。


子供を持っていない俺にとって、お小遣いとはいくらあげればいいのかがよくわからない。

お年玉なら奮発して1万円とかあげるのだが、長期休暇に遊びに来ただけの場合とかは非常に対応に困る。

あげないわけにはいかないし、さりとて、あげるとしてもいくら位が相場なのかがわからない。


だから、それぞれ1000円を渡したのだが.....。


・・・。


いま俺の目の前には、あの時の甥と姪のイメージがぴったりと重なるアテナとドールがいる。

二人とも不満たらたらな面持ちだ。その表情に俺の心が軋む。


「.....ま、前に渡したやつがあるだろ?それはどうした?」

「もうつかっちゃったよー」

「.....え?ドールもか?」

「うむ。もはや手元には1ルクアもないのじゃ」


(おいおいおい.....。冗談だろ?100万ルクアだぞ?100万ルクアを使いきったのか!?)


「な、何に使ったんだ?」

「おかしー( ´∀` )」

「服じゃな。50万では2着しか買えぬのじゃ」

「あぁ、なるほど.....」


アテナはともかく、ドールは仕方ないかもしれない。


この世界の物価は非常に高い。

いや、文化革命でもたらされたものは高いというべきか。


地球式の洋服だと1着で20~50万ルクアはする。

アテナの好きなお菓子にしても、例えば、アイスクリームですら1万ルクア以上はする。


(.....あれ?そう考えると、100万ルクアは少ないのか?二人で分けたら50万ルクアだしな)


俺としては5000円ずつ計1万を甥と姪に渡したあの時のような感覚でいたのだが、どうやら100万ルクアでは1万円とは釣り合いが取れないみたいだ。

ともすれば、いくら位がいいのだろう。


「.....ちなみにいくら欲しいんだ?」

「1億ちょーだい(*´∀`*)」

「ねだりすぎだろ!?」


アテナのぶっ飛んだ発言は当然受け入れられない。.....さすがに1億はないわー。

そしてドールと相談した結果、それぞれに200万ルクアを渡すことで合意に至った。


(.....多すぎじゃね?そうでもないのか?)


ドールも姪同様に、女はいろいろと入りようだと言っていた。

よくわからないがそういうものらしい。アルテミス様を見てると、全くそんな気はしないのだが.....。


その後、アルテミス様にフェンリルを召喚してもらうことになった。

アテナ達の護衛が主目的なのだが、アテナはどうやらフェンリルのお散歩をしてあげたいらしい。


(犬?フェンリルは犬なのか?.....てか、アテナは猫派だったんじゃないのか?)


結局フェンリルの犬疑惑が解かれぬまま、アテナ達はフェンリルを連れて楽しそうに駆け出していった。かわいい。


「もういいかい?」

「お待たせしました。では行きましょうか」



こうして俺とアルテミス様は、再び二人っきりで王都へと繰り出すことになった。



□□□□ ~バカになるんだ!~ □□□□


アルテミス様と都市に繰り出した俺は、早速とある場所へとアルテミス様を案内している。

俺の隣をうきうきとした表情で歩いているアルテミス様はまるで子供のようだ。


「今回は楽しませてもらえるんだろうね?」

「任せてください。今回はバッチリです」

「それは楽しみだね。それで?今から酒場にでも行くのかい?」

「酒場には行きますが、今は違うところです」


しばらく歩いていると、やはり周囲の視線が気になる。

道行く人みんなが、アルテミス様に注目しているのだ。


それもそのはず.....、


───ぷるんぷるん


アルテミス様が歩く度に揺れる豊満な胸。

これにみんなが釘付け状態になっている。


アテナはアルテミス様以上にデカいが、それでもワンピースを着ているので、ノーブラでもそれほど目立つ(揺れる)ことはない。

対してアルテミス様の本日の出で立ちは、以前購入したタンクトップにショートパンツだ。

ブラをしていようが揺れる、揺れる。アルテミス様には匂いしか求めていない俺ですら、ちらちらと見てしまう程だ。


しかし、ちらちらと見ていたら気付かれない訳もなく、


「なんだい?」

「.....い、いえ、なんでもありません」

「男らしくないねぇ。気になるんなら「見せてください」とか言ってみたらどうだい?w」


アルテミス様は何やら悪戯めいた表情をしている。


普通なら「言える訳ないだろ!」とツッコミを入れるところなのだが、前回はそれで失敗している。

アルテミス様の場合は、ノリが悪かったり、変に空気を読んだりするのが一番ご法度なのだ。


だから.....


「揉ませてください。お願いします」


バカになればいい。

それもアルテミス様が想像しているよりも、更に斜め上に!


「揉ませてください?」

「はい。見るだけじゃ満足できません」


「あひゃひゃひゃひゃひゃw

 そうかい、そうかいw見るだけじゃもの足りないかいwいいよ?だったら好きなだけ揉みな!」

「ありがたき幸せ!」


どうやら機嫌を損ねずに済んだようだ。

いや、アルテミス様の胸を揉んでも良い権利を獲得したことから考えても上々の結果だろう。


だが、ここで一つ注意をしておきたい。


バカになることは比較的簡単だ。

理性とプライドを捨ててしまえば、いつでもバカにはなれる。

しかし、いくらバカになれたとしても度胸がつく訳ではない。


ここは天下の往来だ。

どんな目があるかもわからない。

さすがにそんな状況で、おっぱいを揉みしだくなど躊躇われる。


ただ、「揉みたい」「いいよ?」と、こうきてしまっている以上は揉まないと機嫌を損ねられてしまう恐れがある。

せっかくバカになったのに、こんなところで機嫌を損ねられてしまったのでは意味がない。


(と言うよりも、胸を揉まないと機嫌を損ねるって意味わからんな.....)


そんな感じで葛藤をしていたら、


「焦れったいねぇ。揉みたいんだろ?さっさとしな!ほら!」

「結局それですか!?.....はぷ」


痺れを切らしたアルテミス様は、いつもの悪魔の如く不敵な笑顔をしつつ、そのか細い腕からは想像もできない程の力で・・・


───むにゅ!!


豊満な胸へと俺の顔を押し込めてきた。

ほんのり香る中毒性のあるきつくてすっぱい匂いと、張りと弾力のある幸せな感触が俺を堕落させる。



(この汗臭さ!!これこそがアルテミス様だよな!ありがとうございます!!)



□□□□ ~大食いなら一度はやるもの?~ □□□□


楽しい時間、幸せな時間は長くは続かないものだ。

名残惜しみつつも、目的地へとたどり着いてしまった。.....あぁ、無常。


「ここはなんだい?」

「ペコ屋です」


先日アテナのわがままで始まったスイーツ巡りで、偶然見つけた絶品スイーツ店だ。

名前の通り、不○家がモデルとなっている。


「ペコ屋ってなんだい?」

「スイーツのチェーン店らしいです。

 なんでも勇者の一人がパティシエだったらしく、勇者業を廃業して立ち上げたんだとか。

 だから味には自信があるらしく、かなり評判もいいらしいですよ?ここはその支店の一つです」


そんな説明をしながら中に入ると、外のシンプルな景観とは異なり、メルヘンな世界が俺とアルテミス様を出迎えてくれた。

内装の基本色は薄いピンクで彩られ、所々にかわいい人形やぬいぐるみが置かれている。

店員さんも恐らくはつけ耳だと思われるウサ耳や犬耳、猫耳などを付け、更にはメイド衣装に身を包んでいる。


そして極めつけは.....


「お帰りなさ~い、お兄ちゃん♪お姉ちゃん♪」


と、まぁこういうお店です。

一つ注意したいのは、ここはメイド喫茶なのではなく、スイーツ店だということだ。


先日来店した時など、アテナはお姉ちゃん扱いされて喜び、ドールは店員さんがエセ獣人であることに憤り、ナイトさんなどは店員さんが耳を付ける効率性などについて真剣に考えていた。


俺?


俺は当然喜んだね。

こういうところは死ぬまでに一度は経験しておきたかったからな。

そもそも日本にいた時は勇気が出なくて、入れなかったぐらいだ。


あらかた説明が終わったところで、アルテミス様はどういう反応を見せるやら、と思っていたら、


「へ~。評判いいなら楽しみだね。早速食べさせておくれよ」


全く興味はなかったらしい。


心は既にスイーツへ!

そんなアルテミス様に、さしもの店員さんも唖然としていた。


・・・。


「なにがオススメなんだい?」

「・・・」

「.....え?え、えっとですね.....」


早速、テーブルに案内されてオススメを尋ねてくるアルテミス様。


それはいい。それはいいのだが.....


尋ねる先が店員さんではなくて、俺なのが少し気まずい。

店員さんも「はぁ?なんで私に尋ねないの?」みたいな微妙な表情をしている。


さっきは気付けなかったが、アルテミス様からしてみれば人間などそもそも眼中にないのであろう。

アルテミス様の鋭い瞳に映るものは、興味があるかないか、ただそれだけだ。

だから興味がないもの、ない人には一切関わらないどころか、その存在すらも認めてはいないのだろう。


神。

アルテミス様はどこまでいっても神なのである。


さすがにこれ以上は店員さんがかわいそうなので、後で呼ぶことにして俺が説明をする。


「アテナは全部気に入っていたみたいですが、特にショートケーキがお気に入りみたいですよ」

「ショートケーキってこれかい?」


アルテミス様がメニューに描かれている絵を指差す。


(うん。ショートケーキなのは間違いないけど、それはホールね。

 記念日とかに買われていくやつで、ここで食べるものじゃないから、それ)


「狐は?」

「ドールは洋菓子よりも和菓子のほうが好きみたいですね。

 と言っても、ぶつぶつ文句を言いながらもおいしそうに食べていましたけど.....」


尻尾もご機嫌よろしく振られていたので、結局素直じゃなかっただけだろう。


「ふ~ん。アユムっちはどうなんだい?」

「俺は昔からこれが大好きなんです。祝い事があると、たいてい親がこれを買ってきていたので」


そう言って、指差したのはモンブランだ。


ただ俺の場合、栗じたいはあまり好きではない。

好きなのはマロンクリームであって栗ではない。

だから、今はしていないが、子供の頃は栗を取り除いて親にあげていた程だ。


「それもおいしそうだね」

「なんでもいいですよ。好きなものを好きなだけ頼んでください」


アルテミス様は甘いものには目がないという事前情報を得ている。

ここで一気に、アルテミス様のご機嫌度MAXを達成したいところだ。


そして悩んだ挙げ句、アルテミス様が選んだものは.....


「う~ん。悩むのもバカらしいし、全部持ってきな」

「全部!?」

「どれもおいしそうじゃないかい。次はいつ来れるかわからないんだ。食べられる時に食べないとね」


言っていることは理解できるが、なんとも豪快な注文の仕方だ。


しかも、それだけではなくて.....


「全部これで持ってくるんだよ」

「ホール!?」


アルテミス様が指差しているのはホールサイズのケーキだ。

つまり、「ホールサイズで全てのケーキを持ってこい」と、アルテミス様はそう仰っている。


「え!?いや、大丈夫なんですか!?この後は酒場にも行くんですよ!?」

「あぁ、平気、平気。これぐらいどうってことはないからさ。アテナっちだってそうだろ?」


(た、確かに.....。アテナでももしかしたら.....、いや、絶対に食べきるかもしれないな.....)


まだ見てもいないものに対して「これぐらい」とか言えてしまうのが恐ろしい。

ただアテナを引き合いに出されてしまうと、妙に納得してしまうのがある意味悲しいところだ。


・・・。


お店と交渉した結果、アルテミス様の注文は叶った。

その裏では俺が必死に、それこそ土下座する勢いで懸命にお願いした涙ぐましい努力あってのことだが.....。


トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。

トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。トン。


「きたきたきた。どれもこれもおいしそうだね」

「おおぅ.....」


次々とテーブルに置かれていくケーキ達。

それをキラキラした瞳で、まるで少女(ハイエナ)のような眼差しで見つめるアルテミス様。

あまりの壮観さに、あまりの甘ったるさに、あまりの量の多さにただただ呆然とする俺。


テーブルに乗せきれない分は台車に載せてあり、それは自由に取って食べてくれと店員さんに言われた。

無くなり次第に作成では、アルテミス様が痺れを切らすので、あらかじめ全てを作ってもらうことにした結果だ。


「じゃあ、早速食べようかね!」

「ど、どうぞ.....」



こうして、大食いなら誰でも一度はやるかと思われるお店の全品制覇が開始されたのだった。



□□□□ ~神界はつまらないところ?~ □□□□


───ぱくぱく

───ぱくぱく

───ぱくぱく

───ぱくぱく


ケーキがすごい勢いで無くなっていく。

まるでブラックホールの中にケーキを投げ入れているかのような感覚だ。


「ん~!いいね~!いいね~!さすが下界だよ!」

「そ、そうですか.....」


そして、そのブラックホールことアルテミス様はひたすら賛辞を送っている。

ただ口の回りはクリームだらけで、食べ方は非常に汚いが.....。


一言で言うなら下品。

庶民の俺ですら、そう思ってしまう程に下品だ。


食べ方を全く知らない神だったり。

食べ方を知っていても非常に汚い神だったり。


(神様の世界とは一体どうなっているのだろうか.....)


───ぱくぱく

───ぱくぱく

───ぱくぱく

───ぱくぱく


一皿、また一皿がアルテミス様に吸い込まれていく。

ダ○ソンの掃除機ばりに見事な吸引力だ。CMでも狙っているのだろうか?


「いや~、この完成されていない味!甘さ!さすが下界だね!」

「は、はぁ.....」


アルテミス様は誉めてはいるはずなのだが、どうにもそう聞こえてこないのが不思議だ。

と言っても、神界には完成されたスイーツがあるのだろうから、それも仕方がないだろう。


完成されたスイーツ.....気になったので尋ねてみた。


「神界にはどんなスイーツがあるんですか?」

「桃だね」


「桃.....ですか?」

「そう、桃。仙桃」


「そうですか。他にはどんなのが?」

「ないよ」

「.....え!?」


あまりにもあっさりと、しかも淡白な会話だったので正直焦った。

もしかしたら気付かない内に地雷を踏んで、アルテミス様のご機嫌を損ねてしまったのかとハラハラした。


「それが本当に仙桃だけしかないんだよ。確かに甘いよ?確かに美味しいよ?

 ここにあるどのケーキよりも間違いなく甘くて美味しい。.....でも仙桃だけしかないんだよ」


様子を窺うに怒っている節はないようだ。

むしろ神界のスイーツ事情について嘆いているようでもある。


「酒と一緒、ということですか?」

「その通り。だから下界は素晴らしいね!

 こんなにも未完成に溢れている!遊びに来て本当に正解だったよ!」


アルテミス様の表情はとても希望に満ち、晴れやかだ。

賛辞じたいは微妙な文言だが、一応神の賛辞である。だから、お店には我慢してもらおう。


「酒やスイーツだけじゃないんだよ?全てがそう。

 全てが最高効率の名のもとに完成されてしまっているから、選ぶ自由がないんだよ。

 だからね、未完成ながらも選ぶ楽しみがある下界は、あたしにとってはパラダイスみたいなものさ」

「なるほど.....。奥が深いですね。必ずしも効率だけが全てではないと.....」


人間誰しも効率や利便性を求める。

その極致が神界ということなのだろう。


ただ.....、


俺達人間には、その頂にはきっと辿り着けないだろう。

極めれば後は衰退するだけ。極めた後に待っているのは滅亡だけだ。


『極め過ぎた世界は滅ぶ』なんて、様々な歴史が証明している。


それが神界で起こらないのは、ひとえに神という存在が大きいのだろう。

だからか神界には変化がなく、それ故につまらない場所でもあるとアルテミス様は言う。


「なにか、神界を揺るがすような大事件でも起きてくれないもんかね~」


アルテミス様がなにやら不吉なフラグをあっさりと立てているのが非常に気になるところだ.....。



その後もアルテミス様の愚痴を聞きつつ、接待の前半は終わりを迎えた。


迎えたのはいいのだが.....


「本当に下界は最高だよ!この未完成なケーキの味!ん~堪らないねっ!」

「・・・」


(未完成、未完成と連呼しないでください!

 店員さんがこっちをすごい剣幕で見ていますから!本当にお願いします!)


この後、顔を覚えられてしまった俺はこの店から出禁を言い渡されることになった。

当然、アテナやドールに激しく怒られたことは言うまでもないだろう.....。理不尽だ!




次回、4章の本編最終話!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日のひとこま


~気持ちいいこと~


「アルテミス様。マッサージするので横になってください」

「マッサージかい?」

「はい。こう見えて自信あるんです」

「へ~。あのアユムっちにも特技があるんだねぇ」


ぐっ。人を凡人扱いにしないでほしい。俺にだって特技の一つや二つ.....


「これでいいのかい?」

「はい、ありがとうござい.....って、なんで脱いでるんですか!?」

「直接のほうが気持ちいいだろ?早くしなwあひゃひゃひゃひゃひゃw」

「ちょ、直接.....(ごくっ)」


「あひゃひゃひゃひゃひゃwちょっとぐらいならお触りしてもいいんだよ?w」

「し、しません!マッサージするだけです!」

「はいはいwわかったから早くしておくれよ」

「わ、わかりました.....と言うか、うつ伏せでお願いします」


こっち(仰向け)のほうが、アユムっちもいろいろ楽しめるだろ?」

「た、楽しめるかもしれませんが、それではマッサージができません」

「やれやれ。注文の多い男だねぇ。こうでいいかい?」

「ぶっ!!(は、鼻血が.....い、いろいろ見えたぞ?)だ、誰が四つん這いになれと.....」


「こっちのほうが興奮するだろ?あひゃひゃひゃひゃひゃw」

「・・・」


もうやだこの女神様.....。俺をからかってばっかりなんだもんなぁ.....。



ちなみに、マッサージはアルテミス様も満足いくものだったらしい。


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