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第100歩目 アテナのわがまま爆発!神の試練④

前回までのあらすじ


バットのおかげで、ドールとのギクシャクした関係を終えることができた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


9/30 世界観の世界編!に一部追記をしました。

    追記箇所は、『アルテミスの愛獣』と『アテナの愛獣』となります。


□□□□ ~主人公は銀のエンゼル?~ □□□□


意外とあっさりだった。


意外にもあっさりとクリスタルを手に入れることができた。

試しにドールの力を見せてもらったら、想像以上に強力なのが判明した。

それをバットに伝えたら、役目終了とばかりにあっさりとクリスタルを渡されてしまった。


「.....え?こんなにあっさりとクリスタルを渡してしまってもいいのか?」

「もちろんです。我輩の任務は汝らの力を見ること。そして汝らの力は十分分かりました。問題ないですな」


絶句した。

本当に俺の死とはなんだったのだろうか。


(いや、まぁヘカテー様に会うための死だったと思えばいいか.....。HAHAHA.....)


そう思うことにした。

そう思わないと精神が保てなかった。


主人公が死んじゃう小説やラノベ、アニメなんかはそれこそ星の数ほどあるが、『意味のない死』をする主人公はそうそういない。


例えば主人公が死ぬことで、界王星に行って、そこで修行をすることで未来の脅威を防ぐ力を得たりしている。

例えば主人公が死ぬことで、探偵として物語が始まり、その後様々な人々に出会って魔界に行ったりしている。

例えば主人公が死ぬことで、様々な謎が解決され、仲間とともに一番理想の結末を手繰り寄せたりもしている。


上記のように、主人公の死には大概大きな意味があったりする。

そして『意味のない死』のようなものは、大体サブキャラだったり、モブキャラに与えられるのがお約束だ。


だからこそ、俺の死にも大きな意味を持たせたかった。


(俺はサブキャラなんかじゃない.....。俺はモブキャラなんかじゃない.....。俺はサブキャラなんかじゃない.....。俺はモブキャラなんかじゃない.....。俺はサブキャラなんかじゃない.....。俺はモブキャラなんかじゃない.....。俺はサブキャラなんかじゃない.....。俺はモブキャラなんかじゃない.....。俺はサブキャラなんかじゃない.....。俺はモブキャラなんかじゃない.....。俺はサブキャラなんかじゃない.....。俺はモブキャラなんかじゃない.....。)


俺は某アニメの主人公が初号機に初めて乗る決断をする前と同じように、まるで強迫観念に取り憑かれたかのように繰り返し自分にそう言い聞かせた。


「笑えばいいとおもうよー( ´∀` )」

「やかましいわ!」



俺は絶対にアテナのおまけなんかじゃない!



□□□□ ~アルテミスのペット軍団~ □□□□


自分は金のエンゼルだと言い聞かせて、ようやく自我を保つことができた。

この物語の主人公は俺だ!


「.....ところで、俺達の力を見てどうするつもりなんだ?」

「今後の試練内容をどうするのか、アルテミス様が参考にされるおつもりなのではないかと」


「.....え?じゃあなにか?バットはドールの力ありきの俺の力を報告するつもりなのか?」

「いえいえ。それは我輩が単に興味があっただけのことでしたから。

 それに、アルテミス様は一部始終を見ておられることでしょう。報告などする必要はありません」


「ふぁ!?興味!?」

「『絶』の狼王フェンリル様が、それはもう汝の僕を絶賛しておりましたので興味が沸いたのです」


つまり俺は、バットの興味本位で死んだことになるのだろうか。

それこそまさに、サブキャラやモブキャラ、銀のエンゼルの役目.....。


(いやいやいや。俺は主人公。俺は主要キャラ。俺は金のエンゼル。.....よし、OK!)


かろうじて自我を保てたので、気になったワードについて尋ねてみる。


「ずっと気になってたんだが、さっきから言っているその狼王とかか?それってなんなんだ?」

「アルテミス様に仕える五大王のことです」


「五大王?」

「アルテミス様には様々な神獣が仕えていますが、

 その神獣達を束ねているのが、五大王と呼ばれる五匹の大神獣様達なのです」


恐らくはペットと呼ばれているやつらがそれなのだろう。

今後の試練のこともあるし、詳しく聞き出す必要がある。


「どんなのがいるんだ?」

「我輩が教えるとでも?」


「.....アテナ。頼む」

「チェンジしないー(。´・ω・)?」


まだ言ってた。

本当はしたいけど、できないだろうから諦める。


「しない」

「はーい!バットちゃーん、お願ーい(・ω・´*)」


「むむ!?し、しかしですな。仲間を売る訳には.....」

「お願ーい。ねぇーいいでしょー?チェンジされたくないのー。だからお願ーい(o゜ω゜o)」


結局お前の為じゃねぇか!とのツッコミはこの際、無しとしよう。


アテナの『お願い攻撃』はバットの主人アルテミス様にも有効だ。

主人に効くのだから、当然そのペットに効かない訳はない。


俺は使えるものならなんでも使う主義だ。


(卑怯?ずるい?.....なにそれ?おいしいの?凡人には凡人のやり方がある!)


なんやかんやで結局陥落したバットから、情報を聞き出すことに成功した。


「五大王とは五匹の大神獣様達のことですが、その筆頭であらせられるのが『絶』の狼王フェンリル様です」

「なんだその『絶』ってのは?とっても中二くさいぞ?」


「『絶』とは『絶技』のことを指します。あらゆる『絶技』を使いこなすことから、そう呼ばれております」

「.....え!?『絶技』って、種族毎に違うんだろ?他種族のも使えるのか!?」


「まぁ、我輩達は悪魔族ですから」

「・・・」


またまた便利ワードが追加された。

『異世界人だから.....』『日本人だから.....』に続いての第3のワード、それが『悪魔族ですから.....』


(理屈じゃねぇんだよ!理なんだよ!ってことですか.....。あぁ、そうですか.....)



バットの説明は続く。


「次席に汝の僕の先祖である『呪』の狐王九十九尾様がおられます」

「『呪』?」


「『呪』とは『呪術』のことを指します。あらゆる呪術を使いこなすスペシャリストですな。

 汝に渡したクリスタルも九十九尾様が作り出されたものです」

「マジで!?ドールの先祖ってすごいな!」

「当然であろう!妾のご先祖様なのじゃからな!」


ドールが小躍りしながら、我が事のように喜んでいる。

尻尾が凄まじい程に振られているのがその証拠だ。かわいい。


『三席におられますのが、『豪』の熊王くーま様です』

「クーマってまんまじゃねぇか.....」


「違います。『くーま』様です。そこには拘りがあるようなので、お気をつけください」

「そ、そうなのか.....」


「このお方が、アルテミス様が愛獣(ペット)の中での実質的な戦闘部隊となりますので、

 今後はくーま様の配下が試練に出向いてくることになるでしょう」


ペットの中にも、そういう役割がきちんと分けられているようだ。

あの傍若無人なアルテミス様にしては珍しいというか、なんだからしくない。


「四席におられるのが、我輩の王であり、五大王唯一の紅一点『報』の蜂王クイーンビー様です」

「いや、紅一点って.....。女王蜂ですがな」


「むむむ!?お美しいのですぞ?.....と言いましても、我輩の主人であるアルテミス様には敵いませんが」

「そんなのどうでもいいわ!情報をよこせ、情報を!」


「『報』の部隊は諜報が役目。実質的な戦闘力は皆無に等しいのです。我輩も同様ですな」

「皆無!?俺はその戦闘力皆無なペットで苦戦して、死んでるんですが!?」


「歩はしなないよー。私がまもるもーん( ´∀` )」

「まだ続けるか!.....てか、死んでるから!死んだからヘカテー様に会ってるんだよ!」


時折、ズレた茶々を入れてくるアテナが非常に鬱陶しい。

仮にアテナが死んでも、他に代わりがいそうでちょっと怖い。


「そして五席に座しておられたのが、汝が倒した我輩の朋友『治』の猿王マシラ様です」

「『治』?『知』じゃないのか?てか、あのボス猿は五大王にしては弱かったような?」


「『治』ですな。あのお方がいなければ、今頃はアルテミス様が管理する世界は、そのほとんどが崩壊していたことでありましょう」

「ほ、崩壊!?」


「アルテミス様の仕事のほとんどは我輩達神獣がやっておりますが、

 そのシステムや人員割り当てなどは全てマシラ様の功績です。神獣を束ねるシステムも同様です。

 故に戦闘という部分を除けば、それ以外の全てはマシラ様の功績と言っても過言ではありません」

「す、すごいな.....。てか、そんなすごいやつが欠けても大丈夫なのか?」


「まぁ、システムは作るのが大変なのであって、一度運用されてしまえば後はどうってことはないですな。

 だからこそ、マシラ様はアルテミス様に切り捨てられた訳で.....。非常に残念であります」

「やめてくれえええええ!そういう社会の縮図をファンタジーに持ち込まないでくれえええええ!」


真面目過ぎるが故に、優秀過ぎるが故に、不要となったらお払い箱。

権力者にはそういう人が多い。


必要な時には腰を低くしたり、重要なポストにつけたりするが、いざ不要になったら、真っ先にリストラ候補に上げられてしまうものらしい。


真面目過ぎてもダメ。

優秀過ぎてもダメ。

長生きするには愚かさも必要だということだ。


・・・。


これでどうやら五大王についての説明は以上らしい。

その後もバットからの有益な情報はまだまだ続く。


次回、『忠誠心』


「この次もー、サービスー、サービスゥー(*´∀`*)」

「やかましいわ!」



てか、まだエ○ァネタを引っ張るのか!



□□□□ ~忠誠心~ □□□□


「これぐらいでいいですかな?」

「非常に助かった。ありがとう」


バットからは、あらかた情報を聞き出すことに成功した。

今後の神の試練に大いに役立つことだろう。


「いえいえ、礼には及びません。汝を無為に死なせてしまった罪滅ぼしができたのですから。

 さて、役目も終えたことですし、これで思い残すことは何もありません。.....一思いに殺して頂けますかな?」

「ふぁ!?殺す!?なんで!?」


バットからの思いもよらない提案に耳を疑った。

間違いなく「殺してほしい」と言われたような気がしたのだが.....。


「分かりませんか?このような体では、今後アルテミス様のお役に立つことはできません。

 我輩達神獣は、主人であるアルテミス様のお役に立つことこそが仕事であり、生き甲斐であり、生きる理由なのです」

「.....それはバット達ならそうなのかもしれないけれど、わざわざ死ななくてもいいんじゃないのか?」


「お役に立てない以上、生きている理由はありませんし、そもそもアルテミス様も我輩を不要とされることでしょう」

「それこそアルテミス様に聞いてみないとわからないことだろ?

 確認したらどうだ?意外と必要とされているかもしれないぞ?」


士道というのかなんと言うのかよくわからないが、固すぎる気がする。

せっかく助かった命なのだから、わざわざ死ぬ必要なんてないと思う。


「.....汝も残酷な方ですな。主人に『不要』と言われることが、我輩達神獣にとってどれほど辛いことか.....。

 存在の否定。今まで生きてきたことへの否定。忠誠を持って仕えてきたことへの否定になるのですぞ?」

「.....そ、そこまでなのか」


「主人である汝には、なかなか理解しずらいことなのかもしれないですな。

 どうです?汝の僕ならば、我輩の気持ちを少しは理解できるのではないですかな?」

「どうなんだ?ドール」


なにやら黙って頷いていたドールにその真意を質してみる。


「バットの言う通りなのじゃ。妾も主の役に立てないのであれば、命を断つかもしれぬな。

 主の役に立つことこそが、妾の喜びであり、妾の幸せであり、妾の生きる目的なのじゃ。

 況してや、主より『不要』などと言われたら、一生立ち直れぬであろうな」


「素晴らしいですね!我輩は死ぬことが怖いので、自ら命を断つ勇気はありませんが.....。

 なるほど。なるほど。狼王フェンリル様が気に入られた理由がようやく分かりました。

 人族にしておくには勿体ないほどの素晴らしいお覚悟です!先程までの無礼な発言をお許しください」


「・・・」


唖然。

俺は唖然としていた。


なにやらドールとバットが意気投合しているみたいだが、俺にはさっぱりだった。

人が人に惚れるとも言うのだろうか。その人の為に命を投げ出す覚悟とも言うのだろうか。.....さっぱりわからん


(てか、こいつらこそ『自己犠牲』が使えるんじゃないのか?なんで俺に使えた?)


理解はできないが、とりあえず事情は分かった。

つまり、バットはもはや生きるつもりはないらしい。


「.....本当にいいのか?」

「構いません。汝が我輩のことを気遣ってくれるのなら、殺して頂くことが最大の気遣いとなります」


殺すことが最大の気遣い.....。

そんな気遣いは二度とごめんだ。


だが.....


「.....わかった」

「感謝します」


バットの意思を尊重してあげるべきだろう。

そしてそれができるのは俺のみだ。


・・・。


旋風の剣を上段に構える。

かつてボス猿にしたように、袈裟斬りで一思いに死なせてあげるつもりだ。


バットは目を閉じ、どこか安らかな表情をしているようにも見える。

まるで菩薩。そう、生きた菩薩だ。死を受け入れたことで辿り着けた境地だろうか。


(ありがとう、我が強敵(バット)。安らかに眠れ!)


そして、今まさに剣を振り下ろそうとしたその時、


「待ってー!バットちゃんは私が飼うのー! 

 殺しちゃダメえええええええええ(´;ω;`)」



次回、『アテナのわがまま爆発!』


「この次もー、サービスー、サービスゥー(。´・ω・)?」

「やかましいわ!」



さすがに訴えられるぞ?俺は知らないからな!



□□□□ ~アテナのわがまま爆発!~ □□□□


「待ってー!バットちゃんは私が飼うのー! 

 殺しちゃダメえええええええええ(´;ω;`)」

「「「!?」」」


かつてボス猿の時と同じように、アテナが泣いて止めに入った。

今回は剣を振り下ろす前だったので、俺もなんとか止まることができた。


「アルテミスお姉ちゃんがいらないならー、私がバットちゃんを飼ってあげるよー(・ω・´*)」

「アテナ様.....、ありがたきお言葉です。.....ですが、我輩はアルテミス様に忠誠を誓ったもの。

 それを受け入れることはできません。我輩達神獣は二心を抱くもの一匹たりともおりません」


おおぅ.....。凄まじい忠誠心。

あのアルテミス様にそこまでの忠誠を捧げられるなんて、よっぽど慕っているんだろうな。


「ダメーーーーーヽ(`Д´#)ノ私が飼うったら飼うのー!」


「アテナ様。お気持ちだけで十分です。死なせてください。それが我輩の望みなのです」

「おい、アテナ。わがまま言うなっての。バットは嫌だって言ってるだろ」

「そうじゃぞ、姉さま。立派に死なせてやることが武士の情けなのじゃ」


いやいやいや。

バットは武士じゃないから、悪魔だから。


(そう言いたくなる気持ちは分かるが、ドールはどこかおかしいぞ?)


なんてことを思いつつ、みんなで一斉にアテナに正論をぶつけてみたところ.....、


「うるさーーーーーいヽ(`Д´#)ノ」

「「「「・・・」」」」


正論を黙らせるのに一番効果的で、一番愚かしい言葉が返ってきた。


正論に正論で返すのはある意味正しいことだが、それが反って、火に油を注ぐ結果に繋がることもある。

アテナはそれが分かっているからこそ.....、いや、絶対に分かってはいないだろう。


「うるさいって.....。話し合う余地すらないじゃねぇか.....」

「歩うるさーいヽ(`Д´#)ノ

 許可なく私のバットちゃんを殺そうとしたでしょー!言うこと聞かない付き人なんてきらーい!」

「はぅ!?」


俺はその場で、がっくしと膝を着いてしまった。

アテナの「きらーい!」が俺の心を抉ったのだ。


「姉さま.....。いい加減にせんか。わがままばかり言うでない」

「コンちゃんうるさーいヽ(`Д´#)ノ

 妹はお姉ちゃんの言うこと聞きなさーい!言うこと聞かない妹なんてきらーい!」

「こん!?」


ドールはあまりの衝撃に思わずきつねになってしまった。

アテナの「きらーい!」がドールの心を抉ったのだろう。


「アテナ様.....。お気持ちは嬉しいのですが、我輩の意思は揺るぎません。諦めてください」

「バットちゃんうるさーいヽ(`Д´#)ノ

 バットちゃんはもう私のペットなのー!言うこと聞かないペットなんてきらーい!」

「なんですと!?」


どうやらバットも、俺同様に膝を着いてしまったようだ。

アテナの「きらーい!」がバットの心を抉ったのだろう。


アテナの「きらーい!」が俺達を襲う。

味方であるならばこれほど頼もしい言葉はないのだが、敵に回るとこんなにも恐ろしいなんて.....。


しかしバットが拒み続ける以上、アテナには手の出しようがないはずだ。

そう思っていたら、アテナが仰天するような手を施してきた。


「ニケーーーーー!見てるんでしょー?お願ーーーーーい!」


アテナがなにやら上空を見上げ、訳の分からないことを叫んだ。


すると.....


「「「え!?」」」


───ピカッ!!


一瞬、まばゆい光が放たれたかと思ったら、


───ゴオオオオオゥゥゥゥゥン!


凄まじい轟音が鳴り響いた。


例えるなら落雷。

落雷が目の前に落ちてきた衝撃だ。


そして、まぶしさから解放されて目を開けると.....


「「!?」」


今までそこにいたバットが、姿形もなく目の前から消え失せていた。


・・・。


「ふぅーr(・ω・`;)これでもうだいじょぶだねー」

「「・・・」」


なにが大丈夫なのかがさっぱり分からない。

そもそも今起こっている現状すらも飲み込めない。


ただ、確認はしないといけないだろう。


「.....お、おい。バットはどうしたんだ?」

「んー?みんなに邪魔されないようにー、ニケに頼んで神界に連れてってもらったよー(。´・ω・)?」

「そ、そんなことが.....」


いや、今はそんなことに驚いている場合じゃない。

ここはアテナの世界で、アテナは女神なのだ。これぐらいは神様として造作もないのかもしれない。


そんなことよりも.....


「.....無理矢理連れていくのはダメだろ?」

「なんでー(。´・ω・)?」


「なんでって.....。バットはアルテミス様に忠誠を誓ってたんだぞ?」

「今度は私に誓えばいいじゃなーい( ´∀` )」

「・・・」


「そうじゃなくて.....。バットはアルテミス様を慕っていたんだぞ?」

「今度は私を慕えばいいじゃなーい( ´∀` )」

「・・・」


「お前なぁ.....。バットの気持ちはどうするんだよ?あいつはそれを望んではいないだろ?」

「なにいってるのー?私が望んでるんだからいいじゃなーい( ´∀` )」

「・・・」


ダメだ.....。話が全く通じない。


アテナはおバカな子だから、今まであまりそうは感じていなかったが、これでも女神だ。

つまりアルテミス様同様、『神思想』を持っていてもなんら不思議ではない存在なのだ。

ここにきてそれが露呈してしまった。


しかし、一つだけ不安要素がある。


「.....アテナがどんなにバットをペットに望んでも、あいつはきっと頷かないと思うぞ?」


アテナがどんなにわがままを言ったところで、バットの気持ちは揺るがないだろう。

それをどう解決するつもりなのかが不安であり、興味があり、そして.....、一番怖いところでもある。


神というのはすべからく傲慢だ。

アルテミス様がいい例だ。

そしてアテナもわがままを貫き通すところは傲慢とも言ってもいい。


そんな傲慢な存在である神が、バットの、いや、人の心をどうやって変えるつもりなのか.....。


「かんたんだよー!へーちゃんにお願いしてー、バットちゃんの記憶を変えてもらうんだー( ´∀` )」

「おまっ!?少しも簡単じゃねぇよ!なんちゅうことをするんだ!!」


まさに『神』。

アルテミス様も相当酷いが、アテナもそれに負けないぐらいに傲慢だ。

己の欲望の為なら、人の記憶すらも、いとも容易く変えてしまう。まさに神にふさわしい所業だ。


・・・。


ヘカテー様は俺の記憶を元に戻すことができた女神様だ。

そんなことができるのなら、人の記憶をいじることも問題ないのだろう。


つまりバットは、(アテナ)に魅いられし存在だったということか.....。


・・・。


もはやバットが神界に連れていかれた以上、俺には、俺達にはどうすることもできない。

バットの運命は、アテナに魅いられた瞬間に決まっていたということなのだろう。


神の前では、願いなど無力に等しい。

神の前では、忠誠心など無力に等しい。


そして.....


神の前では、人の意思など無力に等しいのだ。


(バット.....。新たな人生を楽しく過ごせよ.....)



「あーははははは( ´∀` )

 今後アルテミスお姉ちゃんのペットは私のペットにするんだー!」



アテナがなにやらとんでもないことを口走っているが、こうして神の試練は大団円で幕を閉じることになった。



(いやいやいや!ナレーションおかしいから!

 どこが大団円だよ!?こんな終わり方あるか!?

 それにドールを見てみろ!アテナのあまりの『神』っぷりに震えてるじゃねぇか!)



次回、アルテミス攻略会議!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


記念すべき100歩目を迎えることができました。

これも偏に、応援してくださっている読者様のおかげです。

本当にありがとうございます。


この100歩目では、アテナのかわいらしさ(わがままぶり)を存分に出せたかと思います。

楽しんで頂けたら幸いです。


まだまだ主人公とアテナの旅は続きますので、これからも応援よろしくお願い致します。


                             9/30 なつきいろ


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 歩の待遇改善を望みます! 神が傲慢過ぎて不愉快です、異世界でまで振り回されなくていいじゃないですか〜
2020/05/27 13:55 異国の少年
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