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第95歩目 再びの死!

前回までのあらすじ


レベル3スキルを駆使する強敵に大苦戦!

side -ヘリオドール-


□□□□ ~主人公死す!~ □□□□


壮絶。


その一言に尽きた。

バットの驚異的な強さも、そして主が放ったまばゆいばかりの謎の力も.....。


・・・。


いま妾の目の前では、糸の切れた操り人形のように主が地面に倒れ込んだ。

その倒れる姿は過去に見覚えのあるものだったので不安がよぎる。


「主!無事か!?返事をせい!」

「・・・」


急いで駆け寄り確認するも、主からの返事はない。

返事がないばかりか、主の顔は青白く、そして体は異常に冷たい。まるで今までずっと冷凍室にいたかのように.....。


「主!.....主!!..........主!!!」

「・・・」


どんなに問いかけても、主からの返事はない。

妾の言葉は.....、妾の呼び掛けは.....、ただただ虚空に虚しく響き渡るのみだった。


この感覚.....、今まで見送ってきた同胞達と同じものを感じる。

でも.....、それでも.....、認めたくはなかった。


「歩~?そんなところで寝てたら風邪引くよー(。´・ω・)?」

「っ!姉さま!今はそんな冗談を言っている場合ではなかろう!!」

「ひ、ひぃ!ご、ごめんねー?」

「主.....」


いつもなら可愛らしい姉さまののほほんとした姿も、今はとても憎らしい。

姉さまに当たるのは間違っているのはわかっている。それでも何かに当たらずにはいられなかった。


自分の無力さが恨めしい。

こんな思いをしたくないから、強くなろうと決意したのではないのか。


(結局、妾はあの時から何も変わっておらぬ.....)


どうして妾は躊躇った?

どうして妾は言い出さなかった?

どうして妾は愛しい主人を助けようとしなかった?


どうして.....

      どうして.....

            どうして.....


自責の念だけが残る。

後悔の波が押し寄せる。


そして.....


───ギチギチギチ


「が、、あ、、」

「コンちゃんΣ(・ω・*ノ)ノ!?」


当然のように報いが迫る。


首輪が少しずつ、少しずつ、締まってきている。

どうやら妾の命の灯火も残り僅かみたいだ。


(苦しい.....、痛い.....、主.....)


認めたくはなかった.....

認めたくはなかった.....。

認めたくはなかった.....!


でも.....、


首輪が作動してしまった今、認めざるを得なかった。


.....主は死んだ。


なぜ死んだのかはわからない。

でも死んだことは間違いない。


名前を付けてもらったその日から、妾と主は一蓮托生。主が死ねば妾も死ぬ。

そして首輪が作動した今、否が応でも現実を.....、主の死を.....、受け入れねばならなかった。


「う、、ああ、、ああああ、、あ、、あああ、、あああああ、、あ、、るじ、、いいい、、いいいい!」

「ど、どうしたのー?r(・ω・`;)」


首輪が締まり、苦しい中でも悲しみにくれた。

かなしかった。カナしかった。悲しかった。哀しかった。


主のいない世界など興味はない。

主のいない世界など考えられない。


妾の全ては主であり、妾の幸せは主とともにいることなのだから.....。


───ギチギチギチ


首輪が締まる。

もはや意識も朦朧としてきた。


「う、、あ、、」


もはやどうでもいい。

未練は少しあるけど、なにもかもがどうでもいい。

主がいないのでは、妾が生きている意味がない。


(.....主。.....主。.....主)


───ギチギチギチ


更に首輪が締まる。

死へのカウントダウンが刻一刻と迫る。


「ぐぁ、、く、、ふふ、、」


とても苦しいが、とても心地よい。

これがきっと妾の贖罪なのだろう。


(.....主。.....いま側にいくのじゃ)


どんな時にも生きることを諦めなかった妾は、そこで初めて生きることを諦めた。


・・・。



□□□□ ~希望~ □□□□


「.....!.....!.....!.....!」


何かが聞こえる。


「コ、、、、ゃん!コ、、、、ゃん!」


何かが妾を呼んでいる。


「コおおおおおンちゃあああああん(´;ω;`)

 コおおおおおンちゃあああああん(´;ω;`)」


何かが妾の為に泣いている。


・・・。


少しずつ意識がはっきりとしてきた。

そしてまぶしい光に目が眩みつつも、目を開けると.....


「コンちゃあああああん(´;ω;`)」


そこには泣きじゃくっている姉さまがいた。


「ね、ねえ、.....か、、はっ、、ごほっ、ごほっ」

「コンちゃああ.....あっ!よかったよー(´;ω;`)」


姉さまが勢いよく抱き着いてきた。

それをしっかり抱き止めつつも、妾は軽く混乱していた。


しかし混乱しつつも、首の痛さと姉さまの温もりはちゃんと感じることができる。

生きている.....、生きてしまっている.....、これはどうやら間違いないようだ。


だからこそ余計わからない。


(なぜ?.....なぜ?.....なぜ!?

 なぜ妾は生きておる!?なぜ妾は死ななかったのじゃ!?

 死ぬことすら許されぬ。それこそが妾への罰だとでも言うのか!?)


愛しい人の側にいくことすら叶わない.....。


そんな自分を.....、世界を.....、そして神を呪った。

そんな自分に.....、世界に.....、そして神に嘆いた。


・・・。


妾が絶望にくれていたら.....


「やっと目覚めましたか」


主の死の原因を作りし者が声を掛けてきた。

その声を聞くや否や、妾の中に沸々と静かに、それでも燃えたぎるような憎悪がメラメラと沸いてきた。


(こやつが.....。こやつが余計なことをしなければ.....主は!!)


そんな憎しみととともに、憎悪と殺意を込めた眼差しをバットに向けた。

そして向けたと同時に驚愕した。


「うっ!?」

「.....お見苦しい姿で申し訳ありません」


そこには腰から上右半分がぱっくりと、まるで抉り取られたかのような傷痕を晒しているバットがいた。

死んでいないのが不思議なぐらいだ。それでも.....、傷の具合から二度と飛ぶことは叶わなそうだ。


「お、お主.....。そ、その怪我はどうしたのじゃ?」

「汝の主人にやられた怪我です。

 汝の主人が未熟だった故に命は助かりましたが.....、この怪我です。最早偵察の任務は行えないでしょう」

「.....そ、そうじゃな」


直視できなかった。

あまりにも痛々しすぎる。


さっきまで沸々と沸いていた怒りも一気に冷めてしまうほどに痛々しく、そして.....


・・・。


そんな気まずい雰囲気の中、やはりこの人だけはまるで違った。


「もうー!お姉ちゃんを心配させたらダメでしょー!コンちゃんは悪い妹だよーヽ(`Д´#)ノ」


一際明るい声で、それでもぷんぷんとかわいく怒っているのは姉さまだ。

さっきまでの妾の憤懣やるせない怒りと、バットへのあまりの痛々しい姿による憐れみの入り交じった、何とも言えない微妙な雰囲気を簡単に一蹴してしまった。


「し、しかしの?姉さま。主が死んでしまった今、妾は生きる気力も.....」

「んー?歩なら生きてるよー(。´・ω・)?だからコンちゃんも死ななかったんでしょー?」


「.....は?」

「歩なら生きてるよー。死んでたんだけどー、私ががんばったんだー( ´∀` )ねぇー、すごいー?」


「.....死んでたのに頑張った?ど、どういう意味なのじゃ!?」

「そのまんまの意味だよー!ねぇー?バットちゃーん( ´∀` )」


「その通りです」

「???」


意味が分からない。

主は確かに死んでいたらしい。だから妾の首輪も当然のように作動した。


しかし姉さまが頑張ったおかげで、主は生き返ったらしい。

姉さまが死者の蘇生をした?よくわからない。


でも一つだけ分かったことがある。


それは.....


妾が死んでいないということは、主はまだ生きているということだ。


よくわからないことだらけだが『主は生きている』ただその事実だけが分かれば十分だ。

その事実だけで妾は生きていける。その事実だけが妾の生きる証明なのだ。


(妾をこんなにも心配させたのじゃ!いっぱいふさふさ(ブラッシング)してもらわねば気が済まぬ!)


心は既に主の元へ!


「それで主は?」

「まだ目覚めてないねー。たぶんへーちゃんのところかなー( ´∀` )」

「へーちゃん?」

「そうー、へーちゃん。私の友達なんだー」


誰の事だか分からないが、とりあえずは心配なさそうだ。

主の顔色も生気に満ちている。心臓も当然動いて.....いない。動いていない!?


「ね、姉さま!?し、心臓が動いておらぬが、本当に大丈夫なのであろうな!?」

「だいじょぶー、だいじょぶー( ´∀` )」


一気に心配になってきた。

姉さまの言葉をどこまで信用しても良いのやら.....。


妾が不安に駆られていたら、


「我輩から説明しましょう」

「バットちゃんお願いねー」


バットが変わりに説明してくれることになった。

正直妾もそのほうが助かる。どうにも姉さまは信用するに足らない。


「まず一から説明しましょう。汝の主人は確かに死んでいました。

 これは汝の首輪が作動したことからもお分かりになるでしょう」

「うむ」


「そして汝も死に行くことになった結果、慌てたアテナ様が泣いて我輩に助力を求めたのです」

「あー!バットちゃーんーそれは言わないやくそくでしょーヽ(`Д´#)ノダメだよー!」


バットが、しまった!という顔をして慌てている。

これはこれで貴重な場面なのではないだろうか。


(それにしても、あの姉さまが妾達の為に助力を.....。

 てか、姉さまうるさい。バットが困っているであろう)


「そ、そんな訳で汝の主人は、我輩が持っていた神薬で一命をとりとめました」

「.....神薬とな?」


バットが見せてくれたのは、何の変哲もない小瓶だ。

中には紫色の液体が入っている。


「私のこの大怪我も本来は死に至るものなのですが、神薬のおかげで生き永らえることができました」

「さ、さすが神の薬じゃな.....。

 それではどうして、主の心臓は動いておらぬのじゃ?薬を使ったのであろう?」


「はい。心臓が動いていないのは、今はまだ仮死状態だからです。

 汝の主人が生きたいと望めば、いずれは息を吹き返します。全ては汝の主人次第ということです」

「生きたいと望めば?どういうことじゃ?」


「汝の主人は一度は死んでいるのです。結果的に助かったとは言え、その事実が変わることはありません。

 ですので、今はまだ死の縁をさまよっているところでしょう。ご安心ください。きっと大丈夫ですよ」


大丈夫とは言うものの、半身大怪我している者から言われても説得力に欠ける。

しかし姉さまだけではなく、バットも続けざまにそう言うのだから、とりあえずは安心しても大丈夫だろう。


そうしたら残る疑問はただ一つ。


なぜ主は死んだのか?


これに尽きる。


原因が分からないものほど怖いものはない。

また起こる可能性もあるし、もう起こらないという確証もない。


故に、これだけはどうしても知っておきたい。


そして、バットなら知っていると確信している。

それは主の技を見て、相当慌てていたところからも容易に結論付けられる。


「いいでしょう。汝の主人が目覚めるにはまだまだ時間がかかりそうです。

 それまでの間、暇潰しに話して差し上げましょう。汝は『絶技』というものを知っていますか?」


そこでバットから『絶技』について色々教えてもらうことになった。



□□□□ ~絶技~ □□□□


絶技。


それは人族が編み出した最終奥義。

元は長い抗争時代を終らす為に編み出されたものである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今から3000年前、この世界は混沌としていた。

各地で戦争が起こり、様々な種族が互いに覇権を、利益を巡り争っていた。

それを終わらせる為に編み出されたのが絶技である。しかしそれは人族に使われることはなかった。


奇しくもその時、竜族が押し寄せてきたのだ。

世界が混沌としているのを契機として、竜族は世界征服に乗り出してきた。

各地で侵略に反抗するも、人族は竜族のあまりの強さにまるで歯が立たず敗走を繰り返した。


そしていつしか、いがみ合っていた種族同士が、一つの外敵に対して手を取り合うようになる。

そこで生まれたのが5つの種族からなる5人の英雄であり、これが5英雄の誕生である。


5英雄は各地で竜族を撃破していき、遂には奪われた土地全てを奪還することに成功した。

討ち取った首は1000以上にも上り、その時に活躍したのが人族が編み出せし絶技である。


長い抗争を終わらせる為に編み出した絶技が、結果抗争どころか世界を、人類をも救ったのである。


                       『赤子でもわかるパルテール神話』 第23節


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「つまり主が使った技は、その『絶技』だと言うのか?」

「その通りです。しかもあれは少し特殊な絶技です。

 今までは勇者にしか使えないと言われていたのですが.....」


「勇者様だけ?.....しかしそれはおかしいのじゃ。主は勇者ではない」

「知っていますとも。凡人なのでしょう?だからこそ我輩も困惑しているのです」


絶技というのは、今ではどうやら秘伝とされているらしい。

昔は多くの種族で、多くの人々に継承されたきたらしいが、だんだんと使う機会もなくなり、しかも会得に厳しい修行が必要な為、次第に廃れていった。

そして時が移ろいでいく中、遂にはその存在すらも人々の記憶から消え去ってしまったのだとか。


ちなみに妾が使う『変化』も厳密には絶技に分類されるらしい。

この事から恐らくだが、獣人族の絶技は『変化』か、もしくは『身体的特徴に大きく関係したもの』だと推測できる。


「アテナ様はどう思われますか?」

「しーらなーい。興味なーい(´-ε -`)」

「「・・・」」


分かってはいた。姉さまはこういう人なのだ。

そもそも姉さまに尋ねたことからして間違いだったと思う。


これは妾の中での7不思議でもある。

①なぜ主は妾の好意に気付かぬのか。     ・・・いつも好意を振り撒いておるのになぜ気付かぬ!

②なぜ主は妾を愛さぬのか。         ・・・主を一番愛しておるのは間違いなく妾なのじゃ!

③なぜ主は妾を抱かぬのか。         ・・・童貞でも構わぬというのになにが不満なのじゃ!

④なぜ主は妾と子を成そうとはせぬのか。   ・・・子孫を絶さぬようにするのは種の義務なのじゃ!

⑤なぜ主はニケなどという無粋な神を愛すのか。・・・主の為に何もせぬ女の何がいいのか理解できぬ!

⑥なぜ主は姉さまをかわいがるのか。     ・・・ただ可愛いだけではないか。妾も負けておらぬ!

⑦なぜ主は姉さまを大切にするのか。     ・・・何の役にも立たぬ姉さまよりも妾を大切にせよ!


姉さまは何の役にも立たない。


これは一緒に過ごしてきた中でたどり着いた真理である。

だから聞くだけ無駄だ。


そう思っていたのだが.....


「でもー、歩がどう答えるかならわかるよー( ´∀` )」


なにやら聞き捨てならないことを言い出した。

姉さまが、主の一体何をわかるというのか.....。


「歩はねー、きっとこう言うはずだよー!

 勇者『だけ』にしか使えないんじゃなくてー、勇者『も』使えるんじゃないかってねー(*´∀`*)」

「.....ほぅ。それは興味深いですね。逆転の発想というやつですな」


逆転の発想とかどうでもいい。

むしろ姉さまがまとも過ぎることを言い出したので驚いたのと、それと同時に主なら確かにそう言いそうな気がして、その答えにたどり着けなかった自分自身に苛立ちを覚えた。


「.....な、なぜ姉さまはそんなことがわかるのじゃ?」

「とうぜんでしょー!だって私の歩だもーん( ´∀` )」


(妾の主なのじゃ!勝手に姉さまのものにするでない!)


姉さまのこういう厚顔無恥なところは、唯一神様らしいとさえ思える。

きっとニケとやらも、主を「自分のものだ」とでも公言しているのだろう。なんと図々しいのじゃ!


「ほほぅ。そちらも興味深いですね。『神に恋する人間』というのも、夢があっていいじゃないですか。

 神界でも狼王フェンリル様と狐王九十九尾様が我が主アルテミス様に恋をされているぐらいですしね」


バットはなにか勘違いをしているようだ。

主が姉さまに恋心を抱いていることは決してない。抱くなら妾であろう。


「全ての道は凡人より通ず。こう考えれば、アテナ様の仮説も筋が通りますね。

 いい情報が入りました。これだけでも下界にきた意味があるというものです。ただ.....」


バットは妾に何かを言いたそうにしている。

と言うよりも、あまりにも痛々しい姿なので見つめられても困る。


「なんじゃ?」

「汝の主人には、二度と絶技は使わせない方がいいでしょう」


「どうしてなのじゃ?強力な技なのであろう?

 極めれば、今回のようなことにもそうそうならぬとは思うが?」

「.....どんなに極めても結果は変わりません。それは人間族という種族に大いに理由があるからです」


「理由?」

「はい。人間族というのは他種族に比べれば、体力もなく、魔力もなく、筋力もなく、素早くもありません。

 その上賢くもなければ、魔法の才能にも乏しく、規律などは平気で破る上に、情に厚い訳でもありません。

 謂わば、最底辺の種族と言っても間違いないはないでしょう」


事実とは言え、散々すぎる。


確かに体力と敏捷なら、人間族よりも獣人族が優れている。

確かに魔力と賢さなら、人間族よりも魔族が優れている。

確かに筋力と情愛なら、人間族よりもドワーフ族が優れている。

確かに才能と遵法なら、人間族よりもエルフ族が優れている。


そう考えると、人間族が数と性欲にだけ優れていると言うのは言い得て妙だ。


「一部の人間を除けば、大多数の人間が『自分達は劣っている種族』だと理解しているのです。

 それ故になにか大切なものを守ろうと決断した時、『命を投げ出す覚悟』ができる種族なのです」


命を投げ出す覚悟.....。到底理解できない。

妾は大切なものを守る為に、何が何でも生き延びると誓った。

妾の誓いとはまるで対照的なものだ。


「と言うことは、つまり主の絶技というのは.....」

「『自己犠牲』ですね。己の全生命力を技に、魔法に託して解き放つ究極の絶技です。

 どの種族の絶技よりも一番愚かで.....、一番強力で.....、そして一番美しいものです。

 それ故に、使えば必ず死にます。極めれば極めるほど、死亡率が高まる恐ろしい絶技なのです」


覚悟を決めた人の力はこれまた強大でもある。

それが技に、魔法に託された場合.....。ゾッとした。

人間族とはなんという恐ろしい種族なのだろう。


「『自己犠牲』.....。では主は妾達の為に、その身を犠牲にしたのじゃな.....」


さすが心優しき主人。

妾が主人と仰ぐにふさわしい人格者である。


・・・。


そう結論付けようとしたのだが.....、


「いや、汝の主人の豹変ぶりから察するに.....。

 恐らくは『自己犠牲』の精神ではなく、単純に『力に溺れた』だけだと思われます」

「・・・」


そういうことは分かっていても言わなくていい。

そんなことぐらい妾でも分かっていた。主はそういう脆い部分もあるのだから。


(そういうの全てを含めて好いておるのだから、無粋な指摘は避けてほしいものなのじゃ!)



とりあえず主の無事と死因は確認できた。

バットの言う通り、主には二度と絶技を使わせないよう気を付けないと.....。


その為には、『やはり妾がもっと強く在らねばならないのだ』と強く思った。


愛しい主人の目覚めを待つ。



(主はまだかの~?早くふさふさしてほしいのじゃ~)



次回、ヘーちゃん!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日のひとこま side -ヘリオドール-


「そう言えば、神薬はかけるだけで良いのか?」

「ちがうよー。飲まないとダメだねー( ´∀` )」

「ではどうやって主に飲ませたのじゃ?死んでおったのであろう?」

「私が普通に飲ませてあげたよー」


「いやいや。その、普通に、ってのをどうやったのか聞いておるのじゃ」

「あーそれねー。私もわからなかったからー、バットちゃんに聞いたんだー」

「それで?」

「えっとー、人工呼吸ってやつー(。´・ω・)?」


「じ、、んこうこきゅう、じゃと!?主と接吻したのか!?」

「ちがうよー。人工呼吸ってのをしたんだよー」

「あ、主と唇を重ねたのであろう!?どうなのじゃ!?」

「そうだねー。あー!もしかしてー、それもちゅーになるのー(。´・ω・)?」


「な、ならぬ!それは接吻にはならぬ!別物なのじゃ!」

「そっかー。じゃー、人工呼吸ってやつをやったよー( ´∀` )上手だってさー!」

「.....ぐぬぬぬぬぬ。う、羨ましいのじゃ!妾も気絶さえしておらねば.....」

「コンちゃーん(。´・ω・)?」


やはり妾の最大のライバルはニケなどではなく、姉さまだったのじゃ!

姉さまには負けぬ!主は妾のものなのじゃ!


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