第8話
「今日の、答えは何?」
事務所に向かうと、須世理琴音がそう訊いてきた。俺は、それに素直に答える。
「重力加速度の単位・gだ」
「そう」
須世理は、それをメモする。
A4用紙には、
第一問の答え――恋。
第二問の答え――翡翠。
第三問の答え――《the_Son》。
第四問の答え――g。
と、書かれている。
恋、翡翠、《the_Son》、g。さて、これらになんの意味があるのだろうか? これらの答えから、何か共通点を見出すのか? それとも、これらの答えを並び替えると、新たな答えが見えてくるのか?
須世理が、顎に手を当てて考え込むような仕種をする。彼女が考えるように、俺も少し考えてみたが、どうにもこうにも分からない。俺は、須世理ほど聡明ではないからな。
須世理は銅像のように動かず、考える。目を瞑って、考える。あまりにも動かないので、死んでいるんじゃないかと錯覚してしまう。彼女は、考えて、考えて、考えて、考えて、考える。
そして、
「なるほど」
そう言って、須世理はゆっくりと目を開ける。口角が少し上がっていた。ああ、まただ。須世理は、何かに気付くとああやって口角を少し上げて笑ったような顔をするのだ。
つまり、
「なんか分かったんだな?」
俺がそう言うと、須世理はにやりと笑った。ように見えたのではなく、本当に笑った。
「ええ。分かったわ。――今から、話す」




