第四話
今日は久々のお休みの日です!
私たちは奥の小さなバックヤードでくつろいでいました。
「アベリアさん、ひとつ聞いてもいいですか?」
「どうしましたか、イベリスさん」
目の前にいるのはイベリスさん。
お店はお休みだけど、遊びに来てくれました!
「なんで相談屋を始めたんですか?」
「う〜ん……話すと長くなりますが……私も実は昔、冒険者だったんですよ」
――昔の私はあるパーティーの魔法使いとして、杖を片手に幾つもの町や村を渡り歩いていました。
仲間と共に危険な土地へも迷わず足を踏み入れ、どんな強敵にも立ち向かいました。
でも……ある日を境に、旅は突然終わりました。
理由は……ごめんなさい、話したくないんです。
ただそれ以来、私の魔法は戦いのために使われることがほとんどなくなりました。
そんな折、とある町で困りごとを抱えた老夫婦と出会いました。
壊れた井戸を直すために水を引いたり、病気の子に薬草を調合して届けたり……そんな小さな手助けをしているうちに、ふと気づいたんです。
――私は、人助けが好きなんだなって。
それから、私はこの相談屋を始めました。
派手な戦いも、大きな報酬もないけれど……お客さん達の笑顔ほど嬉しいことはありません。
だから今日も、私はここで人を待ちます。
私が唯一、胸を張って誇れる仕事――相談屋として。
「ア……アベリア……さん」
イベリスが私の話を聞いて涙ぐんでいました。
……本当に心優しい方です。
――カランカラン
おや、お休みの看板が出ているはずですが……誰か来たようです。
「あ……アタシ、少し見てきます」
涙を脱ぐって、イベリスさんが入口を確認しに行ってくれました。
「アベリアさん!来てください!」
あら……どうしたのでしょうか。
呼ばれて顔を出すとそこに居たのは桃色の髪の女性。
「あっ……お、お久しぶりです……」
「シトラさん!お久しぶりです!」
それは以前、客としてきてくださったあのシトラさんでした。
「こっ……これ……」
彼女がなにか箱のようなものを渡して来ました。
なんでしょうか……
「……野菜です。あの……おすそ分けで……」
「アベリアさん!凄い量ですよ!」
シトラさんが箱を開けると、そこには色鮮やかで美味しそうなお野菜たち!
「うわぁ!すごく美味しそうなお野菜ですね!いいんですか?」
「は、はい……」
「ありがとうございます、シトラさん!」
本当に美味しそう……あ!いいこと思いつきました!
「シトラさん、ぜひ今日は夕飯を食べていってください!このお野菜を使って、私がお料理します!」
「あっ……いや。そんな……」
「いいじゃんよ〜」
イベリスさんとシトラさん、いつの間にか仲良くなっていたようです。
「で、でも……」
「よし!シトラも食べますって!」
「あ……あぁ……」
それは良かったです!
「決まりですね!もちろん、イベリスさんもご馳走しますよ!」
「やったー!!」
……と、勢いで言ったはいいものの。
「おっと……」
私はその瞬間、貯蔵庫の中が空っぽだったことを思い出しました。
結局、みんなで野菜スティックパーティーに。
野菜本来の味を楽しむのも、また乙なものですね!
代表作の更新再開に伴い、こちらの作品の更新はお休みとさせていただきます!
「また、この相談屋でお会いましょう!」




