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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第3章 そして、「世界」は動き出す

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第54話 宴会


 春風達の勝利(?)に終わった断罪官達との戦い。


 その後、春風が目を覚ました宿屋「白い風見鶏」の食堂では、


 「あの、()()一体何をしているのですか?」


 と、春風がレベッカに尋ねると、


 「何って、『宴会』だよ。あんたと()()()が断罪官達を()()()()()()を祝ってな」


 と女将であるレベッカがそう答えたように、断罪官達に勝利した事を祝う為の「宴会」が開かれていた。


 それぞれが酒や料理を片手に、春風達の戦いを見ていた者達がどんちゃん騒ぎを繰り広げる中、食堂内のカウンター席では、


 「うぅ。よかったよぉ、春風が目を覚まして……」


 と、レナが泣きながら春風の腕にしがみついていて、そんな春風の隣では、


 「ちょおっとぉ、狐耳のお嬢ちゃん。春風から離れなさいよぉ」


 と、春風師匠である凛咲が、レナを見て「むぅ」と頬を膨らませていた。因みに、レナの後ろでは、


 「はぁ……はぁ。レナ、もっと耳と尻尾をもふもふさせてぇ」


 と、顔を真っ赤にして息づかいを荒くしていたウェンディが、いやらしそうに指を動かしていた。


 更に春風の後ろのテーブルでは、


 『はぁ……疲れた』


 と、先程まで先輩ハンター達に質問攻め(?)にされていた、アメリア、エステル、ディック、ピートの4人が、疲れ切った表情でグッタリしていた。


 そして、肝心の春風本人はというと、腕にしがみついているレナを「よしよし」と優しく撫でながら、


 「はぁあああああ……」


 と、暗い表情で深い溜め息を吐いていた。


 そんな春風を見て、


 「どうしたんだい? ()()がそんな顔してさ」


 と、宴会主催者であるレベッカが呆れ顔で尋ねてきたので、春風は暗い表情のまま、


 「主役って……いえ、()()()()()のはわかってるんですけど、やっぱり()()()()()っていうのはちょっとへこむと言いましょうか……」


 と、「はは」と苦笑いしながら答えた。


 そう、現在春風が考えていたのは、このような状況になってしまった「原因」についてだった。


 確かに、このような状況になったのは自身の所為である。


 何故なら、「どうせいつかはバレるんだ」というなんとも能天気(?)な考えで、ギデオンら断罪官達に自身の「正体(全てではないが)」を明かしたのだが、まさかそれをレベッカ、ヴァレリー、タイラー、フレデリックだけでなく、今この場にいる先輩ハンター達全員に見られていたので、幾ら自分が悪いとはいえこれには流石にショックを受けたのだ。


 その事を考えて、春風が再び「はぁ」と深い溜め息を吐くと、


 「何言ってんだい。アタシらはアンタ達が無事に帰ってきてくれて、凄く嬉しいんだよ。ここにいる連中だってそう思ってんだ」


 と、レベッカはそう言って、周囲にいる人達に「なぁ?」と言わんばかりに視線を向けた。その瞬間、


 『うんうん!』


 と、その場にいる者達全員が力強く頷いた。


 そんな彼を見て、春風は「あぅ……」と頬を赤くすると、


 「それに、アンタが頑張ったおかげで、その子達も助かってんだしさ」


 と、レベッカは次にアメリア達に視線を移した。


 その視線を受けて、


 「……そうだ。君のおかげで、私達はこうして助かったんだ」


 と、それまでぐったりしていたアメリアはそう口を開くと、真っ直ぐ春風を見て、


 「ありがとう。そして……」


 と、お礼を言った後、


 「私達の問題に巻き込んでしまって、すまなかった」


 と、申し訳なさそうに深々と頭を下げて謝罪した。そしてそれに続くように、エステル、ディック、ピートも春風に向かって頭を下げた。


 春風はそれを見て、


 「ああ、そんな、顔を上げてください。断罪官達(あいつら)との戦いは俺が勝手にやった事ですし、それに……」


 と、「気にするな」と言わんばかり手を激しく振ると、ちらっとズボンのポケット(その中には春風が作った魔導スマホ(グラシアさん入り)が入っていた)を見ると、


 「『仲間の仇をうちたい』って想いもありましたし」


 と、「あはは」と苦笑いしながらそう言った。


 それを見て、


 「ああ、なるほど」


 と、レベッカが小さな声でそう呟くと、


 「まぁ、これで俺、連中に思いっきり憎まれる事になっちゃいましたけど……」


 と、春風はそう言って遠い目をした。


 すると、


 「大丈夫よ春風」


 と、凛咲は優しい口調で春風の肩に手を置いて、


 「そうなったら、私が連中を()()()にするから!」


 笑顔で恐ろしく物騒な事を言った。しかも親指をグッと立てながら、だ。


 それを見た春風は、


 「ちょ、師匠……!」


 と、凛咲に向かってツッコミを入れようとすると、それを遮るかのように、


 「ところで、すっごい気になってんだけど」


 と、それまで黙っていたヴァレリーが口を開いたので、春風達が「ん?」と頭上に「?」を浮かべていると、


 「アンタ、一体何者なんだ? なんか『師匠』って呼ばれてるみたいだけど」


 と、ヴァレリーは凛咲を見てそう尋ねてきたので、


 「……あ」


 と、春風はすぐに凛咲に視線を向けると、凛咲はニコッと笑って、


 「はじめまして、春風の『師匠』の、陸島凛咲です。ああ、『陸島』が苗字で、『凛咲』が名前ね」


 と、自己紹介した。それを聞いて、


 「ほほう、これは珍しい。苗字と名前が逆なのですか。それで、あなたは彼に何を教えているのですか?」


 と、今度はフレデリックが、ちらっと春風を見ながら、凛咲に向かってそう尋ねてきた。


 凛咲はその質問に対して、


 「うーん、色々あるけど、メインは『冒険』かな」


 と、笑顔を崩さず答えたので、


 「はぁ? 冒険?」


 と、ヴァレリーが頭上に大きな「?」を浮かべている中、凛咲は話を続ける。


 「そ、冒険。私、こう見えて『世界』を股にかける『冒険家』なんですよ。そして、そんな私は春風の『師匠』兼……」


 そう言うと、凛咲は春風をグイッと抱き寄せて、


 「『()()()()』です」


 と、満面の笑みでそう言った。


 その発言から数秒後。


 「ちょおっとおおおおおおおっ!」


 『なぁにぃいいいいいいいっ!?』


 春風と周囲の人達の、驚きの声があがった。



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