第47話 激突、断罪官・13
それは、春風がまだヘリアテスのもとで暮らしてた時の事だった。
「おお、それがあなたが作ったとっておきの大技ですか?」
と、春風の姿を見てそう尋ねてきたヘリアテスに向かって、
「正確に言えば、俺と精霊の皆さんで作った、『俺達のとっておきの大技』です」
と、春風はニコリと笑ってそう答えた。そしてそんな春風の隣には、春風に協力したと思われる精霊達の姿もあった。
その答えを聞いて、ヘリアテスは「うーん」と唸ると、
「凄くかっこいいと思いますが、その大技、見たところかなり魔力を消費するようですね?」
と、再び春風に向かってそう尋ねてきたので、
「あ、はい。実はそうなんですよ」
と、春風は少し気まずそうに答えた。
その答えを聞いて、ヘリアテスは再び「うーん」と唸ると、
「でしたらその大技、本当に必要になった時以外は使わない方が良いでしょう」
と、提案してきたので、
「そうですね。わかりました」
と、春風はその提案を受け入れた。
そして現在。
「羽ばたけ、フェニックスゥ!」
そう叫んだ次の瞬間、眩い光に包まれて、春風の姿が変わった。
それは、真紅の翼を持つ、雄々しく美しい「鳥」だった。
その姿を見て、レナ達だけでなく、断罪官達までもが、
『う、美しい……』
と、皆、ぼーっと見惚れていた。
そんな状況の中、
「レナ」
と、「鳥」になった春風が、レナにそう話しかけてきて、
「フエア!?」
と、レナは思わず間抜けな声をもらすと、
「俺のこの姿……どうかな?」
と、春風はチラッとレナを見ながら、恐る恐るそう尋ねた。
その質問を聞いて、レナは「あ……」と小さく呟いたが、すぐに真面目な表情になってコクリと頷くと、
「凄く綺麗だよ、春風!」
と、今度は笑顔でそう答えた。
その答えを聞いて、春風は少しだけ大きく目を見開くと、
「ありがとう」
と、穏やかな笑みを浮かべてそう返事し、その後すぐに断罪官達の方を向いた。
さて断罪官達の方はというと、
「な、なんだあれは? 魔物の類か?」
「あれも、ま、魔術……なのか?」
「馬鹿な、あんな魔術、見た事がない!」
「そうだ! 魔物に変身する魔術なんて、聞いた事がないぞ!」
と、隊員達は春風の今の姿を見て、皆、戸惑いの表情を浮かべていた。
そんな中、
「……それが、貴様のとっておきか?」
と、ギデオンが春風に向かってそう尋ねてきたので、
「ああ、そうさ。これが俺達のとっておき、『化身顕現』だ!」
と、春風は大きな鳥の姿のまま、真っ直ぐギデオンを見てそう答えた。
その答えを聞いて、ギデオンは「そうか」と呟くと、ニヤリと口元を歪めて、
「面白い! 面白いぞ少女顔の……否、若き賢者よ! 貴様のその姿を見て、ますます本気で倒したくなったわ!」
と言うと、その手に持つスパークルをグッと握る力を強くした。それと同時に、ギデオンの全身を包む白銀の光が、更に輝きを増していった。
その輝きを見て、隊員達だけじゃなくレナ達までもが「く!」と緊張した表情になったが、
「……」
春風だけは涼しそうな表情をしていた。
そして、
「まずは、奴らが邪魔だな」
と言うと、春風は左右の翼を大きく広げると、
「ふん!」
と、羽ばたくように振るった。
次の瞬間、春風の目の前で突風が発生し、ギデオンの傍に立っていたルークを含めた隊員達を吹き飛ばした。
『ぐあああああっ!』
突然の事にルーク達はなす術もなく吹っ飛ばされると、全身を地面にバウンドさせた後、そのまま動かなくなった。
そのあまりの光景に、レナ達が「凄い!」と感心していると、
「さぁ、これで残るはアンタだけになったけど……どうする?」
と、春風は残ったギデオンに向かってそう尋ねた。
その問いに対して、
「無論、このままいかせてもらう」
と、ギデオンはそう答えると、春風は「はぁ」と溜め息を吐きながら、
「そうかい。だったら、これで決着といこうじゃないか」
と言った。
次の瞬間、春風は左右の翼を羽ばたかせると、ゆっくりと空中に浮かび上がり、まるで見せつけるかのように周囲を回りながら飛んだ。
それを見て、
『と、飛んだぁ!』
と、レナ達が驚きに満ちた声をあげると、春風は一旦空中でストップし、ギデオンを見て、
「さぁ、いくぞ」
と言うと、翼を含めて全身を「炎」で包んだ。否、炎だけじゃない、所々に「風」と「水」の属性の魔力も含まれていた。
その後、
「これが、今の俺に出来る……全力だぁ!」
と、叫ぶようにそう言うと、「炎」に包まれた状態で、ギデオンに向かって突撃した。
そんな春風を見て、
「ほう、炎を纏って特攻か」
と、ギデオンはそう呟くと、
「ならば来い! そして受けるがいい! 我が最大の奥義……!」
と、全身を包む白銀の光を、全てスパークルに纏わせ、それを大きく振りかぶった。
そして、
「[神聖剣]、『聖光轟雷剣』!」
と、その奥義の名を叫んで、スパークルを力いっぱい振り下ろした。
次の瞬間、春風に向かって、スパークルから白く輝く稲妻ような斬撃が放たれた。
その途轍もない攻撃を見て、
『あ、あいつ……これで死んだな』
と、ルークをはじめとした断罪官の隊員達は皆そう思ったが、
「そんなもので、俺を止められるかぁあああああっ!」
と、春風は逆に突撃する勢いを増していった。
その時。
ーードクン。
(え、今のは?)
と、何処からかそんな音がして、その瞬間、春風を包む炎が更に大きくなった。
それは、まさに「火の鳥」と呼ぶに相応しい姿だった。
そして、「火の鳥」となった春風と、白い稲妻がぶつかり合い……。
ーードォオン!
と、大きな爆発音が鳴って、その場に灰色の煙が上がった。
その光景を見て、
「ど、どうなった?」
と、隊員の1人がそう呟くと、煙の中から……「火の鳥」となった春風が現れた。
その姿を見て、
「春風!」
「春風様!」
と、レナとグラシアは喜び、
「ば……」
「馬鹿な!」
と、ルークとギデオンはショックを受けた。
その後、
『いっけぇえええええっ!』
と、レナ達からの声援を受けて、
「俺の、勝ちだぁああああああっ!」
と、春風は更に全身に「炎」、「風」、「水」を纏わせて、ギデオンに向かって突っ込んだ。
そんな春風に向かって、
「く。ヌオオオオオオオッ!」
と、ギデオンは駆け出し、スパークルを振るったが、接触した瞬間、ばきんと音を立てて、その刀身は真っ二つに折れた。
そしてその瞬間、ごぉおという音と共に、春風の突撃を受けて、ギデオンの全身は「炎」に包まれた。
その光景を見て、
『やったぁっ!』
と、レナ達は喜びに満ちた声を、
『だ、大隊長ぉおおおおおっ!』
断罪官の隊員達と、
「ち、父上ぇえええええええっ!」
ルークは、悲鳴をあげた。
謝罪)
大変申し訳ありません。誠に勝手ながら、前回話の一部を修正させてもらいました。
本当にすみません。




