第41話 激突、断罪官・7
時は、少し前に遡る。
「あ〜、やっと帰ってこれたぁ」
無事、ギルドからの指名依頼を終えて、レナは他のハンター達と共にフロントラルへと帰ってきた。
その後、ギルド総本部で依頼終了の手続きを済ませて、自身が拠点にしている宿屋(というよりも春風のもとにだが)に帰ろうとした、まさにその時、
「あ、レナ!」
「え、ウェンディ?」
総本部の出入り口に現れたウェンディの姿に、レナは思わず頭上に「?」を浮かべながら首を傾げていると、ウェンディは大慌てでレナに駆け寄って、
「レナ、大変! 大変なのぉ!」
と、レナの胸に飛び込みながらそう叫んだ。よく見ると、彼女の両目が微かに赤くなっていたのが見えたので、
「ちょ、ちょっとウェンディ、一体どうしたの!?」
と、困惑したレナがそう尋ねると、ウェンディは今にも泣き出しそうな表情で答える。
「あ、あのね、レナ。レナは、『断罪官』って知ってるよね?」
「え? それって確か、五神教会お抱えの、異端者討伐部隊……だよね?」
「うん。それで今ね、その『断罪官』の大隊長って人とその部隊の人達がこのフロントラルに来てるんだけど、今朝その人達がうちに来て……」
ーーこの宿屋に、青いローブを着た少女顔の少年はいるか?
「……て、尋ねられて。あ、その時はお母さんが対応してて、『もう出て行った』ってお母さんが言ったら、『そうか』って言って帰ったけど……」
「……え?」
涙を流しながらそう話したウェンディの言葉を聞いて、レナは大きく目を見開き、
「まさか……ハル?」
と、ボソリとそう呟いたので、
「や、やっぱり! やっぱりレナもハル君だと思うよね!?」
と、ウェンディはレナの両肩を掴みながらそう尋ねた。
その質問に対して、
「え、待って。何それどういう事!?」
と、今度はレナがウェンディに向かってそう尋ね返すと、
「お、おい、ひょっとして……
「あ、ああ。もしかして、あれか?」
と、ウェンディの話を聞いていた他のハンター達がそう話しているのを聞いて、
「……何か知ってるの?」
と、レナがクルッととそのハンター達の方を向いてそう尋ねると、
「え? あ、ああ、偶々見ちまったんだけど、昨日孤児院の前で、そいつ断罪官の大隊長と口論していたんだ」
と、ハンターの1人がそう答えた。
その瞬間、
「ああ、それなら俺も見た」
「結構凄まじかったな、あれ」
「あの大隊長って人、最後はなんか意気消沈してたよねぇ」
「まさか、あれの事で恨んで……とか?」
「んなアホな……」
と、別のハンター達も口々にそう話し始めたので、レナはだんだん顔を真っ青にしながら、
「……ウェンディ」
「な、なに?」
「ハルは……今何処にいるの?」
と、ゆっくりとウェンディの方へと振り向きながらそう尋ねると、ウェンディはビクッとなって体を震わせながら、
「え、えっとぉ、確か『今日もハンターの仕事に行く』って……」
と、恐る恐るそう答えた。
その答えを聞いた次の瞬間、レナはダッシュで仕事を請ける受け付けに向い、その職員に向かって、
「教えて! ハルは今、なんの仕事をしているの!?」
と、もの凄い剣幕でそう問い詰めた。
その後、その剣幕にビビった職員から、
「か、彼は今日、都市の外の森で『薬草採取』の仕事に行きました」
という話を聞くと、
「れ、レナ、待って……!」
レナは止めようとしたウェンディを無視して、ダッシュで総本部を飛び出し、
(待っててね、ハル!)
その勢いのまま、都市の門を潜って外へと出た。
そして、都市から少し離れた位置に立って、
(ハル、何処にいるの?)
と、辺りを見回していると、すぐ近く森の方で、「ドーン!」という爆発音のような音が聞こえたので、
「ハル!」
と、レナすぐにダッシュでその森に入った。
その間、
(私の馬鹿! 指名依頼なんて、受けなきゃよかった!)
と、レナはギルドからの依頼とはいえ、春風と離れた事を後悔し、
「ごめんね、春風」
と、その瞳を濡らしながら、謝罪の言葉をもらした。
それから暫く森の中を走っていると、少し先に広い場所が見えて、
「いた、ハル……!」
と、そこに春風の姿を発見したのだが、
「覚悟ぉおおおおおっ!」
と、今まさにピンチを迎えていたので、
「『覚悟』じゃなぁあああああああいっ!」
と、ぶち切れたレナはそう叫ぶと、更にダッシュするスピードを上げて、春風を攻撃しようとした相手を思いっきり蹴り飛ばした。
その後、
「……れ、レナ?」
と、尋ねてきた春風に、
「えへへ。ただいま、ハル!」
と、レナは笑顔でそう答えた。




