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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第2章 対決、「断罪官」

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第40話 激突、断罪官・6


 「やれるもんならやってみろ、おっさん!」


 杖を構えながら、ギデオンに向かってそう言い放った春風。


 その言葉を聞いて、ギデオンは「ぬ?」と明らかに「怒り」に満ちた表情になると、


 「ほう。断罪官大隊長であるこの私を『おっさん』呼ばわりするとは、貴様、余程死にたいらしいな」


 と言うと、持っている剣の柄を両手でグッと握り締めた。


 警戒しながらも春風を心配そうに見つめるディック達と、負傷したルークを治療する断罪官の隊員達に見守られながら、お互い武器を構えて睨み合う春風とギデオン。


 2人の間を、ヒュウッと風が吹き抜けた。


 そして、両者が無言で睨み合う中、


 「アクセラレート! ヒートアップ! プロテクション!」


 先に動いたのは、春風だった。


 春風は自身に、風、炎、土属性の強化魔術をかけると、


 「行くぞ」


 と、小さくそう呟いて、ギデオンに突撃した。


 春風は一瞬でギデオンの傍まで近づくと、彼の頭上までジャンプし、持っている杖に、()属性の魔力を込めると、


 「はぁ!」


 それをギデオンの頭部めがけて、思いっきり振り下ろした。


 しかし、ギデオンはその一撃を、涼しい表情で剣で打ち返した。


 ガキィンという音と共に吹っ飛ばされた春風。そんな春風を見て、


 「「あっ!」」


 と、ディックとピートは驚きの声をあげ、


 『おおっ!』


 と、隊員達は「流石は大隊長!』と言わんばかりの喜びに満ちた表情浮かべたが、


 「……」


 攻撃を防がれた春風本人は特に驚いた様子もなく、体勢を整えてその場に着地すると、また、ギデオンに向かって突撃した。


 今度は土だけじゃなく、時折り風や炎属性と、杖に込める魔力を切り替えながら、ギデオン向かって連続攻撃を繰り出した。


 更にそこに加えて、ジャキンッと杖に仕込んだ鎌の刃を出すと、それにも風の魔力を込めてギデオンに振るった。


 それを見た断罪官の隊員達は、


 「あ! き、貴様!」


 「卑怯だぞ!」


 と、皆、口々に春風をそう罵ったが、肝心のギデオンは特に気にした様子もなく、寧ろ、


 「ほう。その格好からして『魔術師』と思ってたが、これほどまで接近戦を、それも対人戦闘術得意としてるとは大した者だな」


 と、感心した様子で、春風の攻撃を受け止めながらそう褒めた。


 春風はそんなギデオンをギロリと睨みながら、


 「出来れば、このまま隊員達を連れて帰ってくれるとありがたいんだけどなぁ」


 と言うと、ギデオンは「ふ……」と鼻で笑いながら、


 「そうはいかん。『異端者』とそれに関わった者は、神の名のもとに全て滅ぼす。それが我ら『断罪官』なのだから」


 と言い返した後、チラッと隊員達を見た。


 次の瞬間、隊員達の中から2、3人ほど立ち上がり、それぞれ剣や槍を構えてディック達に突撃した。


 「に、兄ちゃん!」


 「くっ!」


 ディックはすぐに隊員達に向かって矢を放とうとしたが、


 「「「っ」」」


 隊員達は無言で方向転換し、なんと春風に向かって駆け出したのだ。


 「し、しまった、ハル君!」


 最初から彼らの狙いが春風だと理解して、アメリアは春風の名を呼んだ。


 (ちぃ! 俺狙いかよ!)


 当然、春風はそれに応えようとしてその場から動こうとしたが、


 「させんわ!」


 「はっ!」


 すぐに傍にいたギデオンによって、春風は頭部をガシッと掴まれただけじゃなく、ズシッと右足まで踏まれてしまって、身動きが取れなくなってしまった。


 (ちくしょう、動けない! ていうか、痛い! 頭痛いし、右足痛い!)


 と、必死にもがく春風を無視して、


 「今だ! やれっ!」


 と、ギデオンは春風に向かって突撃してきた隊員達に向かってそう命令し、


 『はっ!』


 と、隊員達はその命令に従った。


 「ち、ちくしょう!」


 と、ディックはすぐに向きを変えて弓矢を構えようとしたが、


 「だ、駄目! あの人にあたっちゃう!」


 と、エステルに止められてしまう。


 そして、


 「こんちくしょうがぁ!」


 と、必死にその場から逃げようとと更にもがくも、中々動けずにいる春風を前に、


 「覚悟ぉおおおおおっ!」


 と、突撃してきた隊員の1人が槍を構えながらそう叫んだ、まさにその時、


 「『覚悟』じゃなぁあああああああいっ!」


 と、少女のものと思われる叫び声が聞こえた後……。


 ーーズゴン!


 「ぐはぁあああああ!」


 槍を構えた隊員が、何者かに思いっきり腹部にキックされ、吹っ飛ばされた。


 『な、なにぃ!?』


 突然の事に驚く他の隊員達を他所に、その何者かはスタッとその場に着地した。


 「ふん!」


 その正体は、動きやすそうな真っ赤な服に身を包んだ白髪の少女だった。


 その少女を見て、


 「……れ、レナ?」


 と、春風がそう名前を呼ぶと、


 「えへへ。ただいま、ハル!」


 その少女、レナ・ヒューズは、ニコッと笑ってそう言った。


 

 

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