第18話 そして、「ハンター生活」へ
第2部第1章、最終話です。
「改めて、俺とグラシアさん共々、よろしくお願いします」
「うん。改めて、こちらこそよろしくね、ハルとグラシアさん」
宿屋「白い風見鶏」の一室で、春風とレナ(そしてグラシア)がそう言って握手をしている中、部屋の扉の向こうでは、
(ちょっとぉおおおおお! なんか凄いのが出てきたんだけどぉおおおおおっ!)
宿屋の女将であるレベッカの娘のウェンディが、部屋の扉の隙間から、中の様子を覗いていた。
実は春風の宿泊の手続きを済ませた後、春風とレナの様子が気になったウェンディは、気付かれないようにこっそりと2人の後をつけていた。
そして、2人が部屋に入った後、素早く扉の前に移動すると、ウェンディはそぉっと部屋の扉を開けて、その隙間から春風達の話を盗み聞きしたのだ。
春風達の話を聞き終えて、
(え、ええ? 待って、あのハルって人何者なの!? レナとどういう関係なの!? ていうか、あのお姉さん誰!? どどど、どうしよう! これ、私突撃して2人……いや、3人? ああ、もう! 全員問い詰めるべきなのかなぁ!?)
と、ウェンディが目とグルグルとさせながら混乱していると……。
ーーガシッ!
「ウェンディ」
「っ!」
突然、そう名前を呼ぶ声と同時に背後から肩を掴まれたので、驚いたウェンディはゆっくりと後ろを振り向くと、
「……」
そこには無言の圧力を放つレベッカがいた。
その圧力を受けたウェンディは滝のようにダラダラと汗を流して、
「ぁ……」
と、何か言おうとしたが……。
「フン!」
ーーゴッ!
「ウグッ!」
それよりも早く、レベッカに拳骨を落とされてしまった。
「「「っ!」」」
突然の鈍い音に驚いた春風、レナ、グラシアは、「な、何だ!?」と思ってすぐに部屋の扉を開けたが、
「……いない?」
既にそこには、誰もいなかった。
その後、
「じゃ、明日から頑張ろうね!」
と、レナはそう言うと、自身が寝泊まりしている部屋へと戻った。因みに、部屋は春風の部屋の隣だという。
そして、残された春風とグラシアはというと、
「さて、どうしますか春風様?」
と、グラシアが尋ねてきたので、
「今日はもう疲れたから、早めに寝ます」
と、春風はそう答えると、用意しておいた寝間着に着替えて寝る支度を整えると、そのままベッドに潜った。因みに、グラシアは籠手に装着された魔導スマホの中へと戻った。
その夜、
「お、おかしいな。今日はもう疲れている筈なのに、全然眠れない」
と、春風はシーツに包まりながら必死になって寝ようとしたのだが、中々寝付く事が出来ないでいた。
そしてだんだんイラッとなったのか、
「……あーもう!」
と、春風はがばっと起き上がってベッドから降りると、1つしかない部屋の窓を開けた。
「……」
春風は窓の外を眺めながら、
「明日からいよいよ初仕事か……」
と、小さくそう呟くと、両手で自身の両頬をぱんぱんと叩いて、
「よし、頑張るぞ!」
と、気合いを入れた後、また、ベッドの中へと戻った。
気合いを入れた所為か、その後はぐっすりと眠る事が出来た。
さて、春風が明日からのハンター生活に向けて気合いを入れている中、フロントラルからかなり離れたとある森の中では、
「はぁ……はぁ……」
複数の人影が、必死になって森の中を走っていた。
彼らはとても辛そうに走っていたが、
「あ……!」
その中の1人が、何かに躓いてその場に転んでしまった。
「! 大丈夫!?」
別の人物が転んだ人物に向かってそう尋ねると、
「う、うん、ごめんね」
と、転んだ人物はそう謝罪した。
その様子に他の人達はホッと胸を撫で下ろしたが、
「ま、まずい! 急いで!」
と、また別の人物が、大急ぎ転んだ人物を立たせた。
その後、彼らはまた、森の中を必死になって駆け出した。
まるで、自分達を追いかけている何かから逃げるように……。
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ここまでの春風のステータス
雪村春風(人間・17歳・男) レベル:10
職能:見習い賢者
所持スキル:[英知][鑑定][風魔術][炎魔術][水魔術][土魔術][錬金術][暗殺術][調理][隠密活動][体術][杖術][槍術][棒術][鉄扇術][暗器術][鍛治][裁縫][細工][調合][嘘発見]
称号:「異世界(地球)人」「固有職保持者」「神(地球)と契約を結びし者」「神に鍛えられし者」
どうも、ハヤテです。
という訳で、以上で第2部の第1章は終了です。
次回は主人公春風君がハンターになってから、少し時が経った後の話になります。
お楽しみに。




