第13話 春風、スカウトされる?
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
「お前さ、『紅蓮の猛牛』に入らないか?」
宿屋「白い風見鶏」の食堂内で、春風に向かってそう言ったヴァレリー。
その言葉に反応したのか、
「おい、今のって……」
「あ、ああ、スカウトだよな……」
「大手レギオンのリーダー自ら?」
「ていうか、あそこに座ってるの『黄金の両手』リーダーのタイラーじゃ!?」
「おいおい、大手レギオンのリーダーが2人もいるとかどういう状況?」
と、周囲からひそひそとそう話す声が聞こえて、
「お、おやおや?」
と、タイラーは意外なものを見るかのように目を大きく見開き、
「ほほう!」
と、レベッカが感心した様子でヴァレリーを見て、
「ちょ、あんた! いきなり何言ってんの!?」
と、レナは椅子からがばっと立ち上がったが、それを遮るかのように、
「……」
と、春風が無言でスッと手を上げてレナに「待った」をかけると、
「すみません、仰ってる意味がよくわからないのですが」
と、春風は落ち着いた表情かつ丁寧な言葉遣いでそう返した。
それを聞いたヴァレリーは「む?」と眉をひそめたが、すぐに「ふむ」と頷いて、
「ああ、悪いな。急な話でビックリしただろうから、ハッキリと言おう。私はお前をうちにスカウトしたいと思ってる。勿論、レナも一緒にだ」
と、真面目は表情で、最後にちらっとレナを見ながらそう言ったので、
『おおっ!』
と、周囲からそんな歓声のような声が上がり、
「はぁ!? だから、嫌だって言ってるでしょ!?」
と、レナは怒りの形相でそう怒鳴った。
しかし、
「……」
それでも、春風は無言かつ落ち着いた表情で、再びスッと手を上げて「待った」をかけると、
「理由を聞いてもよろしいでしょうか?」
と、ヴァレリーに向かってそう尋ねてきたので、
「単純な理由。お前が強いからだ」
と、ヴァレリーは真っ直ぐ春風を見てそう答えた。
その答えに対して、
「何をご冗談を……」
と、春風は「はっ」と鼻で笑いながらそう言うと、
「冗談ではないぞ。今日、お前と戦ってみて、『こ、こいつ結構強いな!』って思ったんだ。それと同時に、お前はこれからもっと強くなるとも思ってる」
「……自分、今日ハンターになったばかりの新人ですよ?」
「新人だからこそ、だ。実力面では、私に勝ったんだから、なんの問題もない筈だぞ?」
そう言ったヴァレリーの言葉を聞いて、春風は「はっ」と再び鼻で笑うと、
「いやいや、あなた全然本気出してなかったでしょ?」
と、ヴァレリーに向かってそう言った瞬間、周囲の人達が「え?」と固まっていると、
「何故そう思えるんだ?」
と、ヴァレリーがそう尋ねてきたので、
「いや、わかりますよ。あの時のあなた、『戦意』とか『闘志』とかが全く感じられませんでしたよ。唯一感じられたのは、『相手を知りたい』っていう『好奇心』みたいなものでした」
と、春風は真っ直ぐヴァレリーを見てそう答えた。
すると、ヴァレリーは「ぷ……」と吹き出して、
「あはははははっ! 凄いなお前、そこまでわかんのかよ!」
と、盛大に笑いながらそう言った。それと同時に、
『え、マジで?』
と言わんばかりに、周囲の人達は口をあんぐりしていた。
暫くすると、漸く笑い終えたヴァレリーは、
「ハルと言ったな」
「ええ、そうですが」
「お前さ……本当は『魔術師』じゃないだろ?」
と、先程まで大笑いしていた時とは違って、かなり真剣な表情でそう尋ねてきた。
その質問に対して春風は、
「いえいえ、ちょっとユニークですが、『魔術師』ですよ。こんな装備をつけてますけど」
と言って、左腕の銀の籠手を見せながらそう答えた。
すると、ヴァレリーは目を細めて、
「おいおい。何処の世界に、『対人戦闘術』を使う『魔術師』がいるんだ?」
と、更に真剣な表情でそう尋ねてきたので、その質問に反応したのか、
『……え?』
と、周囲の人達は一斉に春風達を見た。
そんな状況の中、春風はヴァレリーの質問に対して、
「なんの事ですか?」
と、とぼけた感じで尋ね返したが、
「シラを切っても無駄だ。戦いが始まってすぐ、お前はなんの迷いもなく私の心臓を狙った。それだけじゃない、時折私の頭だけじゃなく、今日私がつけていた鎧の隙間や、鎧を付けてない部分にまで攻撃をしてきたな。それですぐわかったよ。あの時お前が使ったのは、『魔物』ではなく『人間』を相手にした時の戦い方だってな」
と、そう説明したヴァレリーを、
「……」
春風は無表情かつ無言で見つめ、レナやタイラー、レベッカを含めた周囲の人達は、
『……ま、マジで?』
と、言わんばかりの表情をしながら、タラリと汗を流した。
しかし、そんなレナ達を無視して、
「なぁ、ハルよ」
ヴァレリーは顔を春風に近づけると、明らかにプレッシャーを放っているかのような威圧感溢れる表情で尋ねる。
「お前、何処から来たんだ?」
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ず、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




