第20話 ダンス(?)が終わって
「ふぅ……」
その日の夜、祝勝会会場の外で、雪村春風は1人、夜空に浮かぶ月を眺めながらひと息入れていた。
歩夢を助ける為にあの酔っ払い男性の相手をした後、
「ちょっと頭を冷やしてきます」
と、男性はそう言うと、ションボリした様子で会場から出ていった。
そしてその後すぐ、
「フーちゃあああああん!」
「ん? うわぁ!」
歩夢飛びかかられてしまい、思わず倒れそうになった春風だが、
「よっとっとぉ!」
と、無駄のない動きで倒れるのを防ぎながら、歩夢を優しく受け止めた。勿論、ドレスを破らないように、だ。
(破ったら最悪の結末を迎えるから!)
それを見て、周囲から再び、
『おおおおおっ!』
と、歓声が上がる中、
「もう、危ないじゃないかユメちゃん。いきなり飛びかかるなんて」
と、春風が歩夢に向かってそう叱ったが、
「フーちゃん凄かった! 凄かったよぉおおおおお!」
と、歩夢は大粒の涙を流しながらそう叫ぶだけだったので、それを見て春風は「はぁ」と溜め息を吐いた後、
「……ありがとう」
と、歩夢の頭を優しく撫でながらそうお礼を言った。
ただその際、
『むぅううううう』
と、頬を膨らませたレナ、美羽、凛咲が視線に入ったが、春風はそれをスルーする事にした。
その後、
「スゲェ! スゲェよ春風!」
「うんうん! 凄かったよ!」
と、クラスメイト達に詰め寄られて、
「ちょ、み、みんな、落ち着いて……!」
と、春風がオロオロしていると、
「春風様……」
と、呼ぶ声がしたので、春風が「ん?」と声がした方へと振り向くと、
「イヴリーヌ様?」
そこには、顔を少し下に向けたイヴリーヌの姿があった。
そんなイヴリーヌの姿を見て、
「ど、どうしたんですかイヴリーヌ様?」
と、春風が恐る恐るそう尋ねると、イヴリーヌはスススッと春風に近づいてきた。
そして、春風のすぐ傍まで近づくと、イヴリーヌはそこでピタッと止まり、春風の手を取りながら、
「春風様……」
と、再び春風の名前を呼んだ。
それを聞いて、
「あ、あのぉ……」
と、春風が再び恐る恐るそう尋ねると、イヴリーヌはバッと顔を上げて、
「私の、『お義姉様』になってください!」
と、春風に向かってそう言った。それも、目をキラキラとさせながら、だ。
そんなイヴリーヌの言葉に、春風は最初ポカンとなったが、
「いやちょっと待ってくださいイヴリーヌ様!」
と、すぐハッとなってイヴリーヌに「待った」をかけた。
そして、その後すぐに、
「俺、男! 男ですから!」
と、春風はそう怒鳴ろうとしたが、間の悪い事に春風自身は今、真っ赤なドレスを着ていて、それと同時自身の周りにはクラスメイト達の他にも知らない大人達がたくさんいたので、にもしここで、自身が「男だ」と叫ぼうものなら、周囲の人達に変な誤解を与えてしまうだろう。
故に、春風は気持ちを落ち着かせようと一旦深呼吸した後、
「あー、イヴリーヌ様。こう言うのもなんですが、あなたには既にクラリッサ様という姉君がいるのではないですか?」
と、イヴリーヌに向かって優しい口調でそう言った、まさにその時、
「雪村春風」
と、今度は何やら怒気を含んでいるかのような声がしたので、
(え、こ、この声は……)
と、春風がまた恐る恐る声がした方へと振り向くと、
「く、クラリッサ様!?」
そこには、イヴリーヌの実の姉であるクラリッサがいた。
そして、クラリッサが先ほどまでのイヴリーヌのようにスススッと春風の傍まで近づくと、
「雪村春風」
と、春風に向かって小さくそう呟いてきたので、
「あの、何でしょうか?」
と、また春風が恐る恐るクラリッサに向かってそう尋ねると、
「我が妹、イヴリーヌと付き合いたいのであれば……私の事を『お義姉様』とお呼びなさい!」
と、クラリッサは真っ直ぐ春風を見ながらそう言ってきたので、
「いやいやいや、貴方は何を言ってるのですか!?」
と、春風は戸惑いながらもそう言い返した。そして、そんなとんでもない事を言ってきた2人の王女を見て、
「うーむ」
と、ウィルフレッドが考え込んでいるのが見えたので、
「あのー、ウィルフレッド陛下?」
と、春風がまたまた恐る恐るそう尋ねると、
「イヴリーヌと付き合うとなると、私達は娘兼息子を手に入れる事になるな……」
と、ウィルフレッドもとんでもない事を言ってたので、
「いや、何を言ってるんですかあなたはぁあああああああ!」
と、春風はウィルフレッドに向かってそうツッコミ入れた。
どうも、ハヤテです。
先ほど活動報告にも書きましたように、現在投稿している本作品ですが、このままいくと話が進むのが困難になる事がわかりましたので、今章が終わり次第本作品を一旦完結扱いとさせていただきます。
大変申し訳ありませんが、最後までよろしくお願いします。




