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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第3部第1章 開幕、祝勝会

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第19話 春風流、シャルウィーダンス?


 (ど、どうしよう、フーちゃんのところに行きたいのに)


 海神歩夢は困っていた。


 春風に新しい飲み物を渡そうと急いで戻ろうすると、


 「おぉ、これはこれは勇者殿」


 (ん?)


 歩夢の前に1人の立派な身なりをした男性が現れた。


 ただその男性、かなり酔っ払ってる様子で、その右手に持っていたグラスの中身は、今にも溢れてしまうのではないかと思われるくらい揺れていた。


 それを見て、


 (あ、これ関わっちゃいけない人かも)


 と、考えた歩夢は、


 「ど、どうもこんばんは、失礼しま……」


 と、そそくさとその場から離れようとしたが、


 「おやおや、つれないですねぇ」


 と、男性に阻まれてしまい、


 「あ、あの、どいてください」


 と、歩夢は男性に向かってそう頼んだが、


 「アッハッハ、そう言わずにこの私と踊りましょうじゃありませんか」


 と、男性はなんともいやらしい笑みを浮かべながら、歩夢に詰め寄ろうとした。


 そこに恐怖を感じたのか、


 (た、助けて……フーちゃ……)


 と、歩夢が泣きそうになった、まさにその時、


 「ちょっと失礼」


 「「っ!」」


 歩夢と男性の間に、ドレス姿の春風が割って入ってきた。


 「え? あ? お……?」


 突然の事に驚く男性。


 その男性とは対照的に、


 「ふ、フーちゃん」


 と、歩夢は落ち着きを取り戻した。


 そんな歩夢に向かって、


 「もう大丈夫」


 と、春風が穏やかな笑みを浮かべながらそう言うと、


 「ねぇ、お兄さん」


 と、目の前にいる男性に向かってそう声をかけた。


 その言葉に漸くハッとなったのか、


 「な、何でしょうか?」


 と、春風に向かって返事すると、


 「よろしければ、()の相手になってくださらない?」


 と、春風は()()()()()を浮かべながらそう言った。


 その言葉を聞いて、男性だけでなく歩夢や周囲の人達までもが、皆ゴクリと唾を飲んだ。


 そんな状況の中、


 「そ、その……相手……とは?」


 と、男性が恐る恐るそう尋ねると、春風は再び妖艶な笑みを浮かべながら、


 「知りたかったら、私を捕まえてごらんなさい」


 と、まるで挑発するかのようにそう答えた。


 その答え周囲の人達が再びゴクリと唾を飲むと、


 「ユメちゃん、師匠のところに行って」


 と、春風は歩夢にそう言って、その場から移動を始めた。


 向かった先は、会場の中央。


 そこでは先ほどまで男女のペアが踊っていたが、何故か全員踊るのをやめて春風をジッと見つめていた。


 いや、彼らだけではない。それまで音楽を奏でていた人達も、春風のジッと見つめていて、演奏を止めていた。


 そんな彼らに向かって、


 「すみません、何か一曲、お願いします」


 と、春風がそう言うと、全員ハッとなって再び音楽を奏で始めた。


 春風はそれを見届けると、凛咲から受け取った扇を広げて、


 「いらっしゃい、お兄さん」


 と、その扇をヒラヒラと動かしながら男性を誘った。


 それを見て、男性はニヤリと顔を歪めると、すぐに春風に近づいて、その手を伸ばした。


 それを見て周囲から「あ!」と声が上がったが、


 「おっと」


 と、春風はその手をヒラリと回避した。そしてそれと同時に、周囲から「おぉ!」と歓声が上がった。


 その声にハッとなったのか、男性は再び春風に手を伸ばしたが、


 「おっとっと」


 と、こちらも春風は回避した。


 その瞬間、男性はその場に転びそうになったが、どうにか踏ん張ると、また春風を見て手を伸ばした。


 それからも春風は、自身に向かって男性のその手が伸びてきた度に、ヒラリ、またヒラリと避け続けた。


 そして、何度も避けられていくうちに、


 「ぐ、ぎ、こ、このぉ……」


 と、流石に苛立ってきた男性は、また何度も春風を捕まえようとしたが、


 「ふふふ」


 と、その度に春風はそれら全てを避けていった。ドレスを着ているにも関わらず、美しく、華麗にだ。


 そんな事が続いていくうちに、やがて苛立ちが頂点に達したのか、


 「ヌオオオオオオ! これで、どうだぁあああああ!」


 と、男性は怒って春風に飛びかかった。


 それを見て、


 『あ、危ない!』


 と、周囲からそんな声があがったが、春風は落ち着いた表情でニヤリと笑うと、


 「えい!」


 と、その男性を回避した。


 その瞬間、男性は目標がなくなった事に気付くが、だからといって自身の動きを止める事が出来ず、結局その場に四つん這いする事になった。


 それを見た後、春風はニヤリと笑って、


 「よいしょっと!」


 「うぐぅ!」


 なんと、四つん這いになった男性の背中に座り込んだのだ。


 まさかの結末に、


 「はがぁ!」


 と、男性がショックを受けていると、


 「まだやりますか?」

 

 と、春風が座り込んだ状態からそう尋ねてきたので、その質問を聞いた男性は「うぐぅ」と悔しそうな表情になった後、


 「……いえ、私の……負けです」


 と、男性はガクリとしながらそう答えた。


 その瞬間、


 『わぁあああああああ!』


 と、周囲からパチパチと拍手と同時にそんな歓声があがった。


 


 


 

 

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