第79話 新生活
大変お待たせしました、お久しぶりの本編新章の開始です。
それと、いつもより短めの話です。
ギデオン率いる「断罪官」との戦いから、数日の時が過ぎた。
以前の話でも語ったが、中立都市フロントラルは、中央の広場を中心に幾つかの区画に分けられている。
その中の1つ、多くの住人達が暮らす「居住区」の片隅に、1軒の大きな家が建っていて、今、その大きな家の扉が開かれ、そこから3人の人物が出てきた。
1人目は動きやすそうな真っ赤な服に身を包んだ、白い髪の少女。
2人目は緑色の服に革製の胸当てをつけた、長い茶髪を後ろで1つに纏めた少年。
そして最後に、真昼の青空を思わせる青いローブに身を包んだ、「美少女」のような顔付きをした黒髪の少年だ。
「じゃあ、行ってきます」
と、黒髪の少年が、家の中に向かって笑顔でそう言うと、
『行ってらっしゃーい!』
と、家の中にいる2人の女性と3人の少年少女達が、元気よくそう返事した。
そんな彼女達に向かって、少年は軽く手を振った後、その扉を優しく閉めて、
「よし、行こう。レナ、ディック」
と、先に外に出ていた白髪の少女と長い茶髪の少年に向かってそう言うと、
「うん、春風」
「ああ、わかったよアニキ」
と、白髪の少女ーーレナと、長い茶髪の少年ーーディックはそう返事した。
そしてその後、
「グラシアさんも、今日もよろしくお願いします」
と、黒髪の少年ーー春風は、今度は自身の左腕に装着した銀の籠手に向かって小声でそう声をかけると、
「はい、春風様」
と、その銀の籠手から若い女性の声が返ってきたので、それを聞いて春風は「よし」と小さく呟くと、レナ、ディックと共にその場から歩き出した。
その道中、春風達は「おはようございます」と、ご近所の人達に軽く挨拶をしていった。
そんな春風達に対して、ご近所の人達も、「おはよう」と優しく挨拶を返していった。
やがて春風達が「居住区」を抜けると、いつもの「商業区」に出て、それから更に暫く歩いていると、春風はピタッとその場に止まって、チラッと自身の左腕を見た。
そこには、銀の籠手以外に牛の頭が描かれた真っ赤な腕章と、交差した2本の腕が描かれた金色の腕章が付いていた。
それを見た後、春風はちらっと前を歩くレナとディックを見た。よく見ると、2人の左腕にも、春風が付けているのと同じ真っ赤な腕章と金色の腕章がついていたので、
「はぁ」
と、春風は小さく溜め息を吐いた。
それに気付いたレナとディックは、「ん?」と2人してそんな春風を見て、
「春風、どうしたの?」
と、レナがそう尋ねると、
「ん? いやぁ、あれからもう数日経ったっていうのに、まだこれに慣れないなぁってね……」
と、春風は左腕の2つの腕章をレナとディックに見せて、「はは……」と自嘲気味に笑いながらそう答えたので、
「「ああ……」」
と、レナとディックは自分達の左腕の腕章に触れながら納得の表情を浮かべた後、
「ま、まぁこればっかりはしょうがないよ」
と、レナはそう言いながら、春風の肩にポンと手を置き、
「……」
ディックは何処か申し訳なさそうな表情で春風を見た。
その後、
「ほらほら、お仕事しに行かなきゃ!」
と、レナに後ろからグイグイと押される形で、春風は「う、うん」その場から進み出し、その後を追うように、ディックもその場から進み出した。
ただ、そんな状況の中、
(本当に、何でこうなっちまったのかねぇ……)
と、春風は心の中でそう呟いた後、
(ま、あの日の事が原因なんだけど……)
と、今の状況の原因となった、「あの日」の事を思い出し始めた。
どうも、ハヤテです。
長い間派生作品の投稿をしていましたが、漸く今日から本編新章の開始です。




