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コレ、俺の嫁

 私、今ハンパなく緊張しております。

 背中には冷や汗、足はガクブル、そして目の間には翠の国国王陛下・王妃夫妻と第一王子、第二王子の面々が揃っている。正に雲の上の方々と同じ席に一般市民の私がいるのだ。当然私の隣にはリアスくんも座っている。王城の客間に翠竜一族の王家勢揃いです。

 真っ白なテーブルクロスの上にはいい香りのする紅茶と上品な焼き菓子が並んでおり、中心にピンクと黄色の花が活けられている。普段ならば喜んでお茶とお菓子に舌鼓を打つ所だけど……無理! この状況マジ無理!!


「おや、食べないのかい? このパウンドケーキは季節のフルーツが入っていて美味しいよ」

「は、はい!」


 そう声を掛けてくださったのは陛下だ。声もダンディです。笑い皺が素敵です!! こんなお近くでお顔を拝見できるなんて!! これがテレビ越しだったら遠慮なくキャーッ!!と喜声を上げている所だ。


「それにしてもリアスがこんな素敵なお嬢さんを連れてくるなんて、驚いたわ」


 こちらを見て微笑んでいるのは王妃様。こちらは皺一つ無いつるつるの肌に若芽のような黄緑色の髪を結い上げている。ぶっちゃけ綺麗過ぎて年齢不詳です。なんですか? あなた女神様ですか?


「本当に。まさか末弟に先を越されるなんてな」

「しかも自国ではなく新節祭でとは。運命的で羨ましいね」


 今度は第一王子リード殿下と第二王子リルメア殿下。リルメア殿下は見た目の年齢で言うと私に一番近い。リアスくんが成人したらこんな感じかなぁ、と想像出来る。


 昨日、私はリアスくんにこう伝えた。


『私ね、リアスくんのこともっと知りたい。まだすぐに結婚とか、そんなことまでは考えられないけど。でもね、明日でお別れなんて嫌だよ』


 そしてこの席が設けられたという訳だ。確かに知りたいとは言った。いつかは陛下達に目通りする日もあるんだろうと思っていた。けれどまさかそれが翌日来るとは。しかも彼らの会話だと既に嫁決定みたいな感じに聞こえるのですが……。いやいや、まさかね。でも皆リアスくんと私のことを祝福してくれているのがすごく伝わってくる。仲良いんだなぁ。

 だって普通反対するでしょう? リアスくんは王子様だよ? それなのに相手はどこの馬の骨とも知らない街娘。

 本当はもっと色々私や私の家族のこと、仕事の事を質問されるものだと思っていた。けれど実際は私のことを品定めするようなことは一切無くて、当然のように受け入れてくれた。喜んでくれた。


 もしも私の家族にリアスくんを紹介したら、こんな風に喜んでくれたのだろうか。

 割り切ったつもりで居た。私は一人で大丈夫なんだと。家族だって私が居なくても平気だろうと。でもそんな簡単なことじゃなかったんだ。今更遅いけど、もっと家族と話をしておけば良かった。それならそれで悲しみと絶望はもっと大きかったかもしれないけれど、少なくともこんな後悔をせずには済んだ。

 親孝行したい時には親は居ない、なんて言葉があるけどその通りだ。この先、本当にこの方たちが私の家族に、親になってくれるのならその分家族孝行しよう。今度こそ後悔の無いように。


 密かに私が決意していると、陛下がとんでもない爆弾を落としてくれた。


「二人の婚約発表は国に帰ってからになるな」


 あれ~~~!!!? やっぱり嫁決定なんですか!!?

 

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