その91、痛しかゆしの世界です
何だかんだで三か月続けてこられました。
次は半年を目指して更新していきます!
まったく、えらい目にあった……。
それが退院後の私がつくづく感じたこと――
あのコブラ型の魔女狩りといい、アマゾネスの魔法使いといい……。
とにかく、色んな意味で消耗させられる相手だった。
父や母にも心配をかけてしまい、色々申し訳ない。
<現状、魔女狩りは大よそ異種族に任せるのが吉でしょう>
松上少年からはそう連絡を受けた。
で。あのいきなり出てきた建物は何かと疑問に思ったが、
『日本国内で初めてダンジョンが確認されました』
と、テレビでは色々やかましい。
ダンジョン。
一見地下迷宮のような魔法空間であり、モンスターの巣窟。
異世界ダイノヘイムには日常的に発生して、ある種の資源とさえ言える代物だ。
日本においては、あくまでも人事でしかなかったダンジョン。
それが何故発生したのやら……。
専門家が入念な調査中だとかで、ダンジョンは元より周辺区域も封鎖。
おかげで、近隣住人は大いに迷惑をこうむっているらしい。
ネットでもあれこれ噂や憶測が飛んでいる。
不安ばかりが広がるけれど、私に打てる手は今のところ、ない。
だからまあ、今まで通りの日常生活を送るしかないわけだが。
ダンジョンの出現からこっち、蛇塚ラブ子はほとんど学校に来なくなった。
「まったく、バイト先の人使いが荒くってさ。あ、私の場合はラミア使いか」
てなことをブツクサ言っていたが。
「公になっていないだけで、実は過去にいくつか発生例はあったようです」
数日ぶりに、私は秘密基地で松上少年と話した。
「やっぱり、自然発生するものなわけ?」
「待機中の魔力素が増えると発生するようですが、僕のほうも調査不足で」
「魔力か……。魔法を使うには必須のものだよね」
「ええ。魔法を得てからこっち、人間は地球のあちこちで魔法をバカスカ使ってます」
「それ、まずいわけ」
「大気の魔力が増えれば、それだけダンジョンやモンスターの発生を促すようで」
「……まるで公害だね」
「現代の新たな公害ですな。地球環境を変えるという点では他のものより悪質かも」
「変わると、どうなる?」
「どんどん異世界に近くなりますね。つまり、モンスターの跋扈する世界です」
「……」
「ただまあ、モンスターは害獣であると同時に有用な資源にもなりうる存在ですが」
「どんどん妖怪は増えるってわけね」
「より大型で高魔力のものがね。まあ、ほっといても異世界がつながり続ける限り」
「限り――」
「魔力はいくらでも流れてきますが」
「一応聞くけど、止める方法は?」
「ないです。思いつかないというべきですが」
「天才児でもわからないかあ……」
「所詮一人の小学生ですしね。それにわかったところで、今さら魔法を捨てられますか?」
「……」
「異世界との接触以前は悪化する一方だった自然環境はどんどん蘇り、水も空気も浄化されています。砂漠も減り続け、荒れた土地には生命が満ちている」
「表面上はね……」
「でも、汚染やら廃棄物やら放射性物質におびえる暮らしに戻りたい人間もいないです」
と、松上少年はクールに言うのだった。
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