その85、学徒動員じゃあるまいし
クリスマスですね。皆さんにとって良い日でありますように!
おかげさまで――とするべきなのだろうか。
他種族の魔法使い登場によって、私たちは暇になった。
蛇塚ラブ子は日々忙しいようであり、毎日飛び出していくが。
半面私は無償の戦いに出る必要もなく、学校生活を充実させられる。
「一体どうするべきかしらね」
そう松上少年に聞いてみたが、
「ま、静観すべきでしょう。魔女狩りを駆除しないですむ分他のことに労力を割ける」
田中くんも、山田の事件があったせいで身動きがとりづらそうだし。
このまま、何もせずとも魔女狩りはどうにかなるのだろうか。
ただ、魔女狩り以外のモンスター発生もあちこちで起きている。
半端な魔法使いが駆り出されて、逆に餌食となることも。
学校でも、
「モンスターの早期駆除のためボランティアを募集」
という張り紙を見るようになった。
前にゆみかたちがやっていたことを、今度は行政がやり出したようだ。
警察や自衛隊の出動も度々であり、けっこう現場の負担は大きい模様。
私にも何度か誘いがかけられた。
「内申書が良くなるから!」
と、熱心に言ってくる教師もいる。
中には、強制的にモンスター駆除に動員される学校もあるとSNSで知った。
これじゃまるで、第二次大戦の学徒動員みたい。
さすがにうちの学校ではないだろう――と思っていたのだが。
「…………やれやれ」
その日の午後、わが校の生徒は全校あげて周辺地域の妖怪駆除に出動。
「くれぐれも相互連絡、確認を怠らないこと! 危険があればすぐに撤退すること!」
担任の武市は厳しい声で言いながら、指導にあたっていた。
不服なのが、嫌でもわかる態度だったが。
「はあ、こんなことになるなんて……」
「大きな妖怪出てこないよね?」
まきめとエミリはお互いに軽口を叩きながら、小妖を追い払っていく。
街のあちこちには、妖怪がウジャウジャわいて出てきた。
さすが名門校の生徒だけあって、みんなミスなく駆除を行っている。
まあ、小型の妖怪は群れなければ危険性は小さいし、集団でやっているし?
私は成績優秀ということで、最前線で働かされた。
魔法の実習と思えばいいんだろうが、果たしてこんなことでいいのやら。
そう思って近くの空き地を探っていると――
「……ん?」
探知魔法に妙な反応があった。
というか、魔法を使うまでもない。
空地のど真ん中に、箱型の建物がでんと立っていた。
煉瓦製に見えたが、触ってみれば石のような材質。
入り口らしきものから、複数の反応がある。
中を覗いてみると、地下へと続く階段のようなものがある。
「先生、おかしなものがあるんですけど」
すぐに担任に報せると、何やら急に物々しくなった。
パトカーが空を飛び、警官が大勢押し掛ける。
瞬く間に建物の周辺は封鎖されてしまった。
「みんな押しかけないで! 離れなさい!」
「危険ですので、生徒の皆さんは離れてください!!」
教師と警官が叫びながら、野次馬となる女子生徒たちを押さえている。
……どうやら、これもありがたくない代物だったようだ。
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