その60、とうとうテロリストに認定されたようだ
本日2回目。
「なんじゃ、それは……」
夜半。
私はリビングルームで憮然とする羽目になっている。
さっき起こった魔女狩りの会場襲撃事件。
一応ニュースでは、視認できない大型モンスターの襲撃と言ってはいる。
いるのだが。それはいいのだが。
<……事件に関わりのあると見られるマスクの魔法使いは依然発見できていません。警視庁は今回の件で、正式にこの正体不明者をテロ関与しているものとして……>
ドサクサ紛れというのだろうか?
何でか、私はテロリスト扱いされることになってしまった。
どうやら、相当目障りに思われているらしい。
<……野党はこの動きをあまりに拙速であるとして、疑問を呈しています……>
一応擁護しているところはあるのか……。
とはいえ、あんまり期待もできないような。
まあ、確かに仮面で真っ黒で怪しいからしょうがないのか。
<……警視庁はこのテロ関与の魔法使いを、『レイヴン』と仮称することに――>
大鴉ね……。横文字にすりゃ良いってもんじゃないわよ。
「黒羽、もう休みなさい」
ふと気づくと、そばに母が立っていた。
時刻は……もう日付が変わるのか。
「明日、何なら学校休んでもいいのよ?」
母は淡々としていたが、口調からは労りが伝わってきた。
「大丈夫ですよ。私、けっこう強いですから」
私は髪をかき上げて笑う。
「それは知っているけれど……」
「お母様こそ、大変なのではありません?」
「生意気な子ね。確かにそうだけれど」
私の意見に、母は苦笑して肩をすくめた。
「明日にはお父様も帰るわ」
「ええ、連絡をいただきましたから」
襲撃の後、スマホには父からの着信がビッシリだった。
それがちょっと怖かったりするが。
「しかし、今の与党にも困ったものね……」
母はテレビのニュースに視線を変えながら、愚痴るように言った。
どうやら政治関連はかなり面倒になっているようだ。
母も魔法使いということで、一応魔女党支持らしい。
いや、らしかったというべきか。
以前の会話で、魔女党に見切りをつけるようなことを何度か言っていたか。
元々母は優秀な人間で才色兼備の女性だ。
若い頃から、活躍する女性が中心となる魔女党とは懇意だったらしい。
しかし、
「今の魔女党はもうわけのわからない女権主義集団ね」
らしい。
女性上位主義者だろうが、優秀ならば母も文句はなかったろう。
だが、政策や何やらを見ていると、女性上位のイデオロギーばかりが中心。
およそ現実からは逸脱したものになっていったようだ。
それでも当初は魔法技術の反則的な力でどうにかしてきたが……。
現状は、それも限界にきているらしい。
特に、サキュバスを中心とした異世界人種の排斥は大きかった。
異世界とつながりの大きかった母は、それがきっかけで離れたのだという。
そも、異世界の魔法があれば魔女狩り対策も楽だったろうに。
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