その289、スーツの改良が急がれる
「それで……黒羽さんがその試合に出るんですか?」
「まあ、そうなる。というか、そうなった」
『7番』研究所にて。
私は集まった連中に状況の説明をするのだった。
「魔女狩りが消えたと思ったら、そんなことに……」
ゆみかは半分呆然として言った。
「だけど、あのクンバンダってのは、すごく強いんでしょう!?」
蛹形態の八郎くんは、うろたえた声で言う。
「でしょうね」
「でしょうねって、そんなの戦ったら、黒羽さんどうなるんですか?」
「さあね。負けたらボコボコになるけど、命の取り合いはしないという契約よ」
「だったら、僕が……」
「無理。もうそういう契約になってるから。変更は無理だね」
「そんな……」
「別にあんたがやるわけじゃないんだから」
「自分でやるんなら、もっと気楽です……!」
何故か八郎くんは怒ったように言った。というか怒っている。
「やるのは私だけど、みんなにも協力はしてほしい」
「それは、もちろんですけど。特訓とか?」
ゆみかはギュッと手を握って、顔を紅潮させた。
「いつでも付き合いますぜ!」
そこに田中くんが言ってくる。
「今からじゃ間に合わんでしょ。戦闘用にスーツをちょっと改良したいの」
「ふむ……。以前に僕らのツールを貸したような、ですな」
うなずく松上少年。
「ああ。それなら、短時間だけど強力な敵と戦える。負けてもいいけど、一方的なものになると困るのよね」
しょっぱい試合だと、あの女神が機嫌を損ねるかもしれんしね……。
「ま、そういうことなら、我々の分野です」
松上少年が笑い、ヅカテ氏は無言で肩をすくめた。
「そういうわけで。この場にいる皆さんの魔力データなどをとりたい。協力願います」
「データだけ?」
「ツールのある人は、それも試合の時に貸すことになるでしょうな」
まさに寄せ集めだが、成功経験もあるしな。どこまできるか。
「それで、強化の素材にこれを使ってほしい」
私は、女神からもらったあるものを松上少年に渡す。
見た感じは、大きな鱗みたいな代物である。
「ドラゴンの鱗? いや……」
さすがの松上少年でも、その正体は即座にわからないようだ。
「それが一種のブースターとアブソーバーに使える……と、思う」
「なるほど。興味深いですな」
松上少年は鱗を穴が開くほど見つめてから、グッと親指を立てた。
まあ、そういうわけで。
試合に備えてのスーツ改良が行われるのと並行して、私は体調の調整に勤しむ。
心身がだれないように、しかし疲労しすぎないように。
……。
しかし、結果がどうなるにしろ、前世の日本はサキュバスの群れに居座れるのか。
誰にどう作用するかはわからんにしても、混乱は必須だろうな。
とはいえ、何もなくっても異常気象やら何やらで、平穏無事は願えまい。
それならば、サキュバスの存在がプラスになるよう願うだけだ。
やれやれ……。
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