その287、「冴えたやり方? ねーよ、そんなモン!」
「全部パーピヤスって女神の仕業なんだ」
「なんだって! それは本当かい!?」
「クンバンダをどうにかできないものか……。あんた神様でしょ?」
「別に奴隷と主人の関係ってわけでもないしな。そういう気もない」
「ふん」
なかなかご立派なことを言うじゃないか。トラブルを生んでるくせに……。
「まあ、手っ取り早くどうにかする手がないでもない」
「なに?」
「要は餌の日本人を大量にゲットできるようになればいいわけだ。それは、お前たちの宇宙にいた日本人にこだわる必要もない」
「……は?」
こいつ、何を言ってる???
「つまりはパラレルワールドってことさ。別の世界線の日本にでも送り込めばいい」
「そんなことができるって、いうの?」
「簡単にはできない」
そりゃそうだろうよ。できたら何かやってそうだ、こいつは。
「だが、ある程度やりやすくできる材料がある。それは――お前だ」
少女は私を指して、ニヤリと笑った。
「……私に生贄にでもなれと?」
「いや、お前の魂は元々違う世界戦の人間だ。だから、その要素を利用して違う世界へ通じる道を作るってわけよ。そこからクンバンダを送り込めばいい」
「それって、つまり……私の前世だった世界に、送るってのか? サキュバスを!?」
「うん」
「……じょ」
冗談じゃない、と言いかけて、私は黙り込んでしまった。
要するに厄介ごとを別の場所に押し付けるってことだ……。
やるのはまずい……。まずいが、今現状の日本を救うには――
まさに、悪魔の選択だった。
「クンバンダと徹底抗戦するって言うのなら、それもいい。選択の自由だ」
「あんたがあの馬を殲滅するって考えはないわけだ」
「一応私が作った種族だからな。愛着もあるし、それはしたくない。それにお前は大量殺戮をお好みなのかな?」
「む……」
嫌なところを突いてくるやつだ……。しかし。これは……。
もしも、あの世界――つまり魔法も何もない『普通の世界』。
そこに大量のサキュバスを送りこんだら、どうなるのか……。
結局は、同じようなことの繰り返しになるんじゃないのか?
あるいは完全にサキュバスに支配された日本になってしまうのか……?
どうする……。
何とかしてうまい手段にする方法……考えつくわけもない……。
私はひたすらに懊悩するばかりで、何も言えず、考えられなくなった。
うまいことをして、こちらに有利な条件で約束されることが……。
できないよな……。
くそ。
いや、つまりは極端なやり方がダメなのであって、うまく調整すれば……。
でもそれで、連中が納得をするのか? しないよな。しない。ダメだ。
何か、ないか? こうたった一つでもいいから、冴えたやり方は……。
……。
ねーよ。
いくら魔法があっても、金があっても、みんな他人の力だ。
ちょっと待て、自嘲してる場合じゃない。なんでもいいから、せめて……。
やがて、追い詰められた私は次第にヤケクソになっていった。
もうなるようになれ、後がどうなろうが知ったことか……と。
よろしければ、感想や評価ポイント、ブクマをお願いします!
感想は一言でも歓迎!
あなたの応援が励みになります!




