その285、「ダイノヘイムは私が育てた」
「あんた誰?」
「さあ、何と答えるべきか……」
銀の少女はもったいぶって首を振り、闇の向こうを見た。
すると、闇の中にボンヤリと光るものが見える。
目を凝らしてみると、それは木の根みたいなものに覆われた光る球体……。
「あそこを、あんたらはダイノヘイムと呼んでいる」
少女は球体を指し、面白そうに言った。
「ダイノヘイム……? すると……」
私が言いかけると、球体が突如巨大化した。
それとも、私たちのほうが小さくなったのか?
気づくと私と少女は高い空の上に浮かんでいた。
しかし、何も感じない。肉体がなくなったみたいだ……。
暗い空には紫に輝く円盤状の物体が無数にある。
これは……知ってるぞ……。
ダークエルフの住処。
そして下へ下へと向かっていくうちに、巨大な山のようなものが見えてくる。
あれが……スメール山。エルフたちの住む場所か。
「私は長らく、ここを育ててきた」
「育てる……?」
「そう、初めは地球と同じくらいの大きさしかなかった玉ころに他所から色々持ってきて少しずつ大きくしてきた。気の長い話……」
「……」
「そのうちに私は他所に干渉できる度合いを強めることができた。で、見つけたのが」
「まさか……」
「そう、地球というか、お前たちのいた世界だ。宇宙と言っても良い」
とんでもないことをペラペラ語るこの子は一体なんだ……?
私は、たちの悪い幻術にでもかかっているのか???
「地球とダイノヘイムがつながったのは、あんたの仕業だっていうの……?」
「ま、そうだね」
「何のため……いや、さっき言ってたな、ここを育てるって……」
「ははは。それだけなら、別に地球にこだわることもなかったけどな。餌になる土地はいくらでもある。それこそ、数限りなくね」
「じゃあ、どうして地球とつなげた?」
「どうして、どうしてかな? 人間がここを知ってどうするか見てみたかったわけ」
「……」
「ここは地球からすれば幻想の土地だ。魔法があり、神話や伝説の生き物が住む。そういったものに対して、どう反応するのか興味があったんだな、これが」
ろくでもない話である。
「人間って生き物は、何かあればすぐに揉め出すから面白いわけ」
「面白いもんか!」
「お前たちだって、空想の中でよくやるだろう? あるアニメのキャラを、あるゲームの世界に放り込んだらどうなるか……」
「空想と現実が一緒になるもんか……!」
「私にとっては同じようなものだよ」
「ふざけるな!」
私は、反射的に少女の顔面にパンチを叩きこんでいた。
肉を打つ、嫌な感触がじわりと広がる。幻覚、じゃない。
「とりあえずやってみて、そこそこ満足できる結果だった。あんたにもよく働いてもらったと思うよ、感謝しておく」
「……まさか、私にワンドだの前世の記憶だのを寄越したのは……」
「ああ、私だよ」
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