その276、もはや受け入れるしかない
それから、松上少年とヅカテ氏は何度も魔法陣を組み、計算を繰り返していた。
ようやくそれが終わったかと思うと、あちこちへ連絡を取る。
私も親のコネを使わされた。
日本政府のほうへも連絡を飛ばし、何やら壮大な計画を練り出す。
サキュバスたちも協力してくれたせいか、わりと全てはスムーズに。
何をするかと言えば、
「簡単に言うと、日本中を簡易魔法ネットワークでつなぐわけです。それには、既存のものを利用するで事足ります。理論上は、ですが」
「それで」
「この音叉を使った音魔法を流すんですよ」
と、松上少年はダークエルフの音叉を指して説明した。
「音魔法」
「ええ。それもあなたをベースにした魔力なので対魔女狩りには効果があります」
「なるほどね……。けど、それでどうにかなるわけ?」
「ベースの他に男性魔法使いの魔力を使います。つまり金剛力ですな」
「つまり、それで魔女狩りの生まれる要素をどうにかして……」
「ええ。大発生を食い止めようというわけですな」
「うまくいくかしら……。いってほしいけど」
「確率は相当に高いです。何しろ、ダークエルフの魔道具ですからな!」
「転移に備えて、その準備もするわけか。間に合うかしら」
「この音叉のおかげでね」
やれやれ。思わぬところで助けになった感じだ。
まさか、こんな形で役に立つとはなあ……。
世間を見ると、みんなもう完全に閉じこもっている。
外では使い魔のポポバワ駆除が日常的に続いていた。
男は下手に出るとやられかねないので、なお閉じこもる。
これじゃ食料やライフラインはどうなるのか……。
気になり、調べてみるとどうもあの目玉使い魔が護衛してくれるらしい。
女性は襲われないので、中には外に出て撮影とかしてるバカもいた。
アホか……。
ヤタガラスや魔法少女も連日忙しくって疲労気味である。
とはいえ、ある程度の余裕がないわけでもないが。
これで使い魔の支援がなかったら、もう終わってるけどな。
使い魔の数が増えてきているし、今後はネットワークの防衛・維持となるか……。
とまあ、一段落はついたのでちょっと安心していると――
<各所でテロリストと使い魔の戦闘が始まっています――>
久々に家に帰ったと思えた数時間後、松上少年からの連絡。
「なんだってー?」
<どうやら、邪魔をする使い魔を排除しようとしとるらしいですな>
松上少年の声はけっこう余裕があった。
回されてきた映像などを見ると、なるほど魔法使いが使い魔を攻撃してる。
しかし、大型の使い魔は攻撃をはね返しているし、小型は回避。
そのうちに使い魔のビームで襲撃犯は麻痺して道に倒れていった。
後から警察が来てそれを回収していくという間抜けな図である。
「なにこれ……」
<まあ、邪魔者をどうにかしようという短絡的な行動でしょうが……。相手がちょっと悪すぎましたねえ。同情はしませんが>
「してたまるもんか」
こういうわけで、邪魔も大して邪魔にならず、転移の時はどんどん近づいていく。
それに比例し、ダイノヘイムとの行き来はどんどん容易になっていった。
移動用の魔法陣が、新しく形成できるほどになっている……。
よろしければ、感想や評価ポイント、ブクマをお願いします!
感想は一言でも歓迎!
あなたの応援が励みになります!




