その273、女神の命令
<何か、変な使い魔がたくさん出てきてるんですけど……?>
そうこうしているうちに、ゆみかから連絡が来た。
被害を減らすべく、ポポバワ駆除に奔走していたのだが。
「こっちでも確認してます。とりあえず敵ではないようなので、協力してください」
<いや、っていうか……これ、私必要かな?>
通信映像で、ゆみかは不安そうな顔をしている。
まあ、確かに。
黒い球体使い魔はバンバン駆除を続けるので、明らかにポポバワは減っている。
とにかく、出てくる端からビームで消しているのだから。
「あれって、どなたのものかしら?」
私は顔見知りであるサキュバスに尋ねた。
とにかく、情報が欲しいので急遽『7番』研究所へ呼びつけたのである。
「ハイランクの使い魔だねー。多分護衛用……。ダイノヘイムじゃ、古いダンジョンなんかを守ってることがたまにあるけどさ。けど、この数は普通じゃないなあ?」
「例えば……あなたにはアレは使える?」
「もっとランクを落としたヤツならいくらでもね。だけど……こんなのを大量に使うなんて。それこそダークエルフが集団でやらなきゃあ無理っしょ」
「しかし、現実には起こっております。何でもいいので、思いつくことを」
と、松上少年は真剣な顔で言った。
「うーーーん……」
サキュバスはちょっと頭をひねったりしていたが、
「神の力を借りる大規模な魔法なら……? でもなあ」
「何でしょう。何かありますか?」
ブツブツつぶやくサキュバスに、松上少年はカッと目を開く。
「地球でも古代語を使って神様の力を借りようとする魔術があるっしょ」
「はて?」
「魔術かどうかは置いといて、似たようなものは真言密教かもしれません」
私には思いつかなかったが、松上少年は応えた。
「それと似てるかどうかはしらんけど、上位の神にアクセスしてその力を借り受ける大魔法は確かにあるよ。けど、威力はまちまちだし。他の魔法に比べると、不安定だね。神様のことは私らには理解できないことが多いし。こっちにわからん理由でご利益もあれば、逆に祟ることだってある。けっこうめんどい相手よ?」
「その面倒くさいことをやったものがいるかも、しれんと……」
「私にはそのへんしか思いつかないね。やろうと思わないけど」
「その魔法で力を借りる神とは?」
「まあ、色々だけど……。ああ、やることは滅多にないけど、パーピヤス大神とか」
「パーピヤス?」
その名前には覚えがある。
エルフたちも崇めている女神だ。地球では仏敵の天魔とか言われてるけど。
「そ。神話ではエルフや私らサキュバスを創造した女神だよ。私たちに命令を送ってくることもあるよ。まあ、これも滅多にないけど……」
「ちょっと待って! あんたらは神様とアクセスできるんですか」
「つっても、基本一方的に向こうから命令が来るだけだからねー? それにどういう感じかと人間に説明するのは難しいよ。感覚的なものだから」
「じゃあ、前に私と交渉? した時はひょっとして……」
「そう命令が来た」
「……」
すると、その女神とやらが一連の黒幕だというのか。
いくら何でも神様相手っては……。神話じゃ神殺しなんてもあるけどさあ……。
「でも全体に命令が来ることなんてめったにないし、大抵は個人個人にだね。それに命令遂行をしたら、色々と褒美も出るし」
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