その268、八郎くん――無双からピンチへ
「ちぇすとおおおおおおおおおおおおお!!!」
空中から、八郎くんの美声が響き渡る。
その瞬間、雷撃が降り注いでモンスターたちを薙ぎ払っていった。
群れを成していた数々の魔獣が塵となって消し飛び、大気に溶け散る……。
「すごいな、あいかわらず……」
感心していると、地響きを立てて突進してくる怪物が一体。
サイに似たやつで、これは雷撃でも即死しなかったようだ。
むしろ下手な傷を負ったことでより凶暴化し、角を振りたてて暴れ狂う。
「こりゃやばい!」
足元を狙って攻撃してみるが、私の攻撃にはひるまなかった。
「離れて!」
そこへ八郎くんが飛び出して、サイの角を真っ向からつかんだ。
「でりゃあ……!!」
角を掴んだまま横倒し、雷撃をまとった手で根元から切り落とす。
武器を失った怪物は途端にだらしくなくなり、右往左往しながら近くのビルに。
そのまま激突して、動かなくなってしまった。
うーん、まさに最終兵器だなあ……。
と、思っていると、奇妙な旋律が闇から響いてくる。
「あ!」
誰かが指さす。
いつの間にか官邸の屋上に翼を持った影が……。
蝙蝠男!
「待って」
私が行こうとするのを、八郎くんは止めて自分が進み出た。
「僕が相手だ……!」
「それは重畳」
蝙蝠は笑って、翼をはためかせて飛び上がった。
対して八郎くんも飛行する。
空中で、まさに天使と悪魔の対決と相成ってしまったわけだ。
しかし、何故今になって出てきた……。
やはりあの弱体化魔法があるせいか。そうなると、やばい。
「ちょっと待った!」
私もあわてて加勢しようとするが、その時はすでに戦いは始まっていた。
雷撃が飛び、蝙蝠がコマのように回転して弾き返す。
旋律はより強くなっている。シンバルも、角笛も。
空中で見る見るうちに八郎くんが追い詰められていた。
やっぱり弱体化しているって……!!
私は助成しようとするが、級に息切れがしてきた……。
これは魔力をちょっと使い過ぎたか……。強化形態も長すぎた?
少しクラクラするが、それでもほっとくわけにはいかない。
何とか突っ込んだところに、蝙蝠の翼でどつき倒され、落下してしまった。
「黒羽さん!」
墜落した私に、松上少年が駆け寄ってきた。
「いてて……。って?!」
だが、痛がっている余裕はなかった。
いつの間にか再びあのポポバワが群れを成して出てきたからだ……!
「こら、いかん! 松上くん、避難を……!」
「それよりもこれを……!」
と、松上少年は私の腕をつかんだ。
すると、左のグローブへ蟹。右のグローブへ飛行機のマークが浮かんだ。
「緊急事態なので、それで何とかしてください……!」
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