その262、そして襲撃となる
ようやく、夜が来た。
さすがに日が暮れると野次馬も減ってるようだが、マスコミは減らない。
周辺からしつっこく官邸を撮ってるようだった。
私たちは交代で休憩や食事をとりながら、警備を続ける。
気づけば、時刻はすでに夜の7時を回っていた。
襲ってくるのは、やはり深夜だろうか?
そうしているうちに8時となる。
<魔力感知――>
水分補給のために一時変身を解いていた私に、ワンドからの通信。
何とも嫌なタイミングだ……! あわてて再変身して、持ち場に走った。
「来たようですぞ?」
松上少年が夜空を指す。
街の灯りで星も見えないような空に、丸い月。
丸……? 棍や新月だったはずだけど……。
空に浮かぶやけに大きな、真っ赤な月――いや、月のようなもの。
と、どこからかくぐもった音が響いてくる。
獣の声? いや、これは角笛のようだが……。
すると、月から地上に向けて赤い道らしきが帯が伸びてくる。
その上を通って、何か群れを成して駆け下りてきた……!?
<望遠――>
観察してみると、それは獣……しかも肉も皮もない骨だけの怪物だった。
「見たところ、イノシシの骨みたいですな。アンデットらしいが……」
隣の松上少年が言っている。
しかし、どうやらかなりの大きさがあり、体長は3メートルはありそうだ。
おまけにたくさんいるわけだから、こりゃ厄介。
「総員戦闘準備!」
警備の警官やヤタガラス、それに魔導自衛隊が騒いでいる。
とはいえ、ここは街中だからやたらに武器は使えない。
こんな中で真っ先に動いたのはサキュバスたちだった。
みんな真正面から迫力の骨イノシシに向かっていき、肉弾戦を展開している。
魔力弾を撃ったり、空中から攻撃したり……。
だが、完全に止めきれず、骨イノシシは何体か官邸に向かってきた。
それを、エルフたちが魔法で迎撃していく。
さすがの攻撃魔法で第一波はあっさり撃滅したのだが――
「なんだ、これ!?」
誰か声に、私は気づいた。
いつの間にか、地面が水浸しになっているではないか。
どこかで、水道管でも壊れたのか?
そう思っていると、
<魔力反応感知。注意、注意――>
水たまりの中から、いきなり巨大な影が躍り出てきた。
四つ這いになったこれまた大きな獣で、馬鹿でかく長い牙を持っている。
獣は、牙を振りたてながら口から火炎弾を吐き出す。
それにぶつかった装甲車が、嫌な臭いを発してガス状になって、朽ちていった。
みんなが騒ぐ中、エルフの氷魔法が飛んで、獣を串刺し&凍結にする。
絶命して倒れた獣は、恐ろしく凶悪な顔をしていたが、
「セイウチ……?」
よく見ると、全体のフォルムはセイウチにそっくりである。
こんなところに、海獣型のモンスターが襲ってくるとは……。
ドタバタしていると、空には雑多なモンスターがウジャウジャいた。
これは……。以前蝙蝠男に率いられた連中だ……。
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