その260、対策はなるか
今回で260回です。
けっこうきたものです。
私は急遽『7番』研究所に跳んだ。
行ってみると、松上少年とヅカテ氏が会議室で向かい合っている。
「敵さんも大胆なことをしたもんだよ。予告状とはねえ……」
ヅカテ氏はひどく疲れた顔で、自分の肩を揉んでいた。
「前回よりも応援は増やせるんですよね?」
「そうだけど……。今は日本全国で応援が必要とされとりますので」
松上少年は困った顔で、映像を空中に映す。
あちこちで行われている工事などの場面だった。
ダイノヘイム転移に備えて、急ピッチで対策が進められている。
サキュバスやエルフの応援は、大方それに取られているわけだ。
「総理の安全も大事だけど、準備を遅らせるわけにもいかない。総理は死んでも代わりはいるけれど、準備は遅れたら、それこそ取り返しがつかない……こういうわけで、警備にも人員をさきにくいんですな。今の総理に何かあればけっこうな混乱は必須ですけど」
「なるほど。総理大臣もつらい立場なわけだ?」
「応援を増やせば私的なことを優先するのかと叩かれますから」
「あちゃあ……」
「まあ、みんな自分の身が大事ですからね。それは総理も同じでしょうが」
「増援は多少あるけど、より完璧なものという思考はないほうがいい」
と、ヅカテ氏。
「結局は前のメンバー中心でやるしかないと思うね」
「それでどうにかなりますか……」
「今回で、主犯を捕らえるなり退治するなりしたいが……」
「退治ね……」
「何せ、アンデットだからなあ。かなりたちの悪いテロリストでもあるし、人道的配慮をする余裕はないだろう。どっちにしろ批判は避けられないが」
「うーん……」
世の中には、いわゆる批評家・評論家が多いからなあ……。
「何かこう、対策はないんですか?」
私の問いに、ヅカテ氏は渋い顔である。
「相手の音楽魔法に対抗する術式はなくもないが……。相手によって性質を変えられるみたいだから、そのへんが厄介だ。あんまりガチガチに対策しても、いざ実戦で変化させられたら、お手上げだからなあ」
「前回はサキュバスたちを弱体化させました。今回もそうしてくるでしょう。向こうにとって魔力自在の魔族は厄介でしょうからね」
「ふむ……」
私も前回の戦いを思い出しながら、考えてみた。
「あいつが弱体化できる対象は、広くすれば弱く、狭めれば強く……だったよね」
「ええ。人間なら人間、エルフならエルフという風にね。もっとうまくすれば、種族などではなく、個人レベルでも可能かもしれませんが」
「個人レベル? そこまで言っちゃったら、他がダメになるじゃない」
「ええ。でも、そこまでして対策する必要もあるかもしれない。向こうからすれば」
と、松上少年は鋭いで言うのだった。
「そこまでって……。あ」
私にも思い当たるものがあった。
八郎くんだ……。
あの反則レベルの相手を無力化できれば、向こうにとっては大きいだろう。
「でも……」
「弱体化させて、そのままにしておく手はないでしょう。一個ずつこちらを潰していくという手段だってありえますよ」
「なるほど……」
嫌な予想を切り出されて、私はゲンナリしながら次の戦いを想像してしまう……。
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