その251、危ぶまれる将来
「エルフヘイムのほうで、日本との相談が始まってるようだねえ」
どこか疲れた顔をしたヅカテ氏は、コーヒーを飲みながら言った。
コーヒーにはミルクと砂糖がたっぷり入っている。
「やっぱり、例の転移についてですか?」
「まあ、ベルタエルフのほうでも間違いないといってるから……。やれやれ」
「この場合、良いとすべきか悪いと思うべきか。わかりませんねえ」
「そりゃあね。あんな海域に飛ばされたら、漁業は一瞬で終わりだなあ。あちこちの海へ海竜だのがやってくるようになる」
「気候もどう変わるか……。農業も……」
「そのへんを今シミュレーションしているらしいけど……。しかしなあ」
「しかし?」
「おそらくはモンスター……こっちでは妖怪か。それがウジャウジャ増えるのは確実」
「……」
「それに、あの魔女狩りもね。それも以前から予測されてたことだろうけど」
「しかし、こんなにすぐだなんて」
「多分魔女党のやってた異世界ゲートが状況を促進しちゃったんだろうな。結果論だが」
「今から間に合うんでしょうか」
「被害をゼロにすることは無理だろうな。あの八郎とかいう子がいれば、だいぶ助かると思うけどね。しかし、彼に全てが解決できるわけじゃない」
「で、日本政府はエルフヘイムの協力を求めているわけですねえ」
「上の以降はどうか知らんけど、サキュバスの援助は多くなるだろう。今まで以上にね。何せエルフヘイムにもサキュバスは多いからなあ」
「エルフだけが住んでるじゃないんですね?」
「そりゃね。色々種族はいるよ」
「でも、今以上にサキュバスの力を借りたら、どうなるんです?」
「さあねえ。まあ、風俗産業の復活は無理だろうな。需要が消える」
魔女党が政権を握っていた時代、性風俗には関しては大きく規制されていた。
もっとも、完全規制されたのは18禁的なお店中心で、全部が全部ではないけど。
「……今以上に魔女党に共感する女性が増えるんじゃあないですかね?」
すごく嫌な予感をおぼえながら、私はつぶやく。
「ありうるが……。かと言って、日本だけでダイノヘイムでやってるとは思えんよ」
「でしょうねえ……」
今でさえ、異種族の力を借りまくっているのだから。
「でも、下手すれば男性全てがサキュバスに喰われるなんてことも……」
「……そりゃあ」
ヅカテ氏は言葉を濁した。
ないとは言えないのだな、きっと。まいったなあ、これは……。
男性にとってはいいのだろうが……。いやそれも乱暴なくくりか。
同性愛者や性嫌悪者にとっては不快だろう。
サキュバスにとってホモセクシャルがどういうものかは知らんけど。
「何とかして……。こう何とか制約みたいなものをつけないと、まずいなあ」
私は考えてもしょうがないのに、苦悩してしまう。
「ま、共存は難しかろうね……」
「何とかうまい契約でもできないものか……」
「個人レベルならともかく、全体ではな。そもそもサキュバスはいくつかの集団やらリーダーやらはいるが、全部を統括するようなものはいないし」
「本当に? 絶対ですか?」
「いや……絶対って。まあ、神話の話ならなくもないが……」
「はあ」
「古代サキュバスやエルフに魔力を与えて今の姿に進化させた女神だ。色々名前はあるけれどエルフはパーピヤスと呼ぶのが主流だね
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