その245、吸血鬼のごとく
「逃がすか……!!」
私は即座に色無を追って、飛ぶ。
隠形ができなくなっているので、追跡は容易かった。
と、言いたいところだけど……。
「ああーー、もう!!!」
追っていく先々に、警備用のドローンやらトラップやらが盛りだくさん。
それらに時間を取られている間に、どんどん距離は離れていく。
だが、サーチを続けるとある区間で敵は止まったようだった。
しかし、進むごとにゲームみたいな罠が邪魔をしてくる。
ゴーレムだの、モンスターだのと、よくこんだけ盛り込んだものだ。
どうにかそれらを潜り抜けていくと、大きな工場みたいな場所に到着。
サーチでも敵の行方は掴めている。逃がしはしない。
しかし。
大きな扉を破って中へと入っていくなり、私はギョッとした。
いたるところに、人間の死体が散乱しているのだ。
「なんだ、これ……」
ゴミのように倒れているそれは、みんなミイラのようになっている。
どうやら、女性らしいがひどい有様だ。当分食事する気がなくなるような。
用心しながら進むが、そこでは罠はなかった。警備ゴーレムもいない。
そして、再び色無トオルを見つけた。
色無は何かを抱え込んで、肩を蠢かしている。
……いや、これは。
色無は若い少女の死体を抱え込み、全身に生える触手を巻き付けていた。
触手がドクドクと醜悪に動き、血液をすすっているのがわかる。
まるで、吸血鬼だ……。
振り返った色無は殺気よりも精気にあふれ、内在する魔力も倍加していた。
「それって、若さを保つ秘訣?」
「男気取りの小娘が……!」
色無は死体を放り捨て、憎々しそうに言った。
別に気取っているわけじゃないが。まあ偽装はしているけど。
<魔力刃展開――>
私が構えると、色無も身構えた。
触手の先端が蠢いて開き、牙の生えた口ができる。
まったく吸血ヒルとカメレオンの合体したやつか……。こいつにお似合いだ。
「一応言うけど、投降すれば命はとらない」
「貴様に言えるセリフか!」
私が言うと、色無は突っ込んできた。恐ろしい速さだ。まるで、稲妻のような。
「ち!」
私が刃を振るうと、色無は杖で殴りかかってくる。
ぶつかり合うと、魔力同士が干渉して火花が散った。
まるで中国武術みたいな動きだけど、魔力を適正に使い、操るための動作。
一撃ごとに魔力が絡み合い、呪術のような邪悪な波動がある。
このままぶっ殺してしまいたいが、そういうわけにもいかない。
こいつがどうこうよりも、シルバのことが気にかかる。
「じゃっ!!」
ぶつかり合ったところで、私は拳に魔力を込めて殴りつけた。
「ぎゃ……!!」
悲鳴を上げて吹っ飛ぶ色無。そこを追って、魔力弾を連射する。
しかし、体勢を立て直した色無は杖を旋回させてそれを防ぐ。
かと思うと、体の触手がミサイルのように分離して飛んできた。
半分は撃ち落とすが、もう半分はこっちに飛んできて……!?
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