その237、意外な再登場の人
「なるほど……。まあ、ダークエルフの手なら安心だろうなあ……」
ヅカテ氏は少し感心したように首を振っていたが、
「しかし。それなら、あの子の時にさっさと来てくれれば良かっただろうに……」
「……それに、ダイノヘイムへの避難も……」
ヅカテ氏のツッコミに、私もつい同調してしまう。
「何しろ協力してくれる同族はそんなに多くないからな。やたら力があるように思われるが、わたいたちだって個人じゃあ限界があるわえ」
と、ダークエルフはお菓子を貪り食うのだった。
「で、今回は目途が立ったと?」
私はダークエルフを見上げ、紅茶をすすめながら尋ねてみる。
「さてね。やたら虫のいいことを言ってきたが、さほど手にかかることでもないから、今回は乗ることにしたんだわ。あの程度の連中ならばサキュバスやベルタエルフでも十分だと思ったんだがなー。どうも、あいつらでは頼りないと思ってるようだ」
「ああー……」
私は、あの蝙蝠男との戦闘を思い出し、納得してしまった。
ヤツのせいでサキュバスもベルタエルフも力を封じられ、苦戦をしたからなあ。
かといって、彼女らほど以上の勢力が協力してくれるとも思えんけど。
「まあ、そういうことだから。こいつらは預かっていく。気になるなら政府関係者にでも聞くことだな。おっと、お菓子をもっとよこせ」
「それはいいですけど……」
私はしまってあった買い置きを出しながら、ふとダークエルフを見て、
「あれ」
いつの間にか彼女の手の中に透明の箱があった。
カブトムシだのを飼うための、飼育ケースみたいな形状である。
「それは……」
「ああ、だから預かった小娘どもだよ。運搬しやすいようにした」
私も浮遊して覗いてみれば、ケースの中には小さな女の子がぞろぞろと……。
人形かと思ったが、そうではなく、生きた生物なのである。
というか、その服装はあのヴァルキリーたちのものなわけで。
「こんなにちっちゃくして大丈夫なんですか?」
まさに魔法だけど、初めて見るタイプの魔法でもあった。
「ああ。心配ない。今は術でおとなしくさせてるしな」
「はえー……。おっかないもんスなあ?」
田中くんも八郎くんも感心している。
ケライノやラブ子など、魔法少女たちは無言である。
その表情はどこか脅えているようでもあった。
ダイノヘイムの住人である彼女らにとって、ダークエルフは特別な存在なのだろう。
「そうそう。忘れるとこだった。あいつのこともな」
言って、ダークエルフは軽く指を鳴らす。
するとまたもや魔法陣が出現して、そこから人影が現れた。
「あわわわわ」
空中でバタバタしているその人物は……山田青年?
山田青年はもがくようにして床に着地すると、ちょっと照れ臭そうに頭を下げた。
「しばらくぶり……」
「山田のあんちゃんじゃないの!?」
田中くんは驚いた顔で駆け寄っていく。
久しぶりに登場した山田青年はそれなりにこざっぱりした格好で、元気そうだ。
「今までどうしたんだ? おばさんも心配してたけど……」
「まあ、ダークエルフに匿われててな。こっちだと犯罪者の身だし。結局逃げたままになってしまって。まあ、さほど未練もないんだけど」
山田青年は、思ったよりハッキリした口調でやはり照れ臭そうに言うのだった。
よろしければ、感想や評価ポイント、ブクマをお願いします!
感想は一言でも歓迎!
あなたの応援が励みになります!




