その235、能力差のバランスとかが良くない
「こ、これって、あの時の……!?」
隣に立つゆみかが、ヴァルキリーたちを見て口をあんぐり。
「何かわからないけど、同じ装備のヤツがたくさんいるみたいだね。かなり強いと思う」
「は、はい!」
緊張気味に杖を握るゆみかの他、田中くんや異種族魔法少女たちも目が怖い。
それだけ真剣だということであろう。
ヴァルキリーたちはこちらに気づくと、襲撃を止めて視線を向けてきた。
といっても、兜型のバイザーで顔はよく見えないが。
しばらく両陣営の睨み合いが続いた。
それから、なにがきっかけだったろうか。全員が動き出す。
私も近くに来たヴァルキリーと激突し、強化した腕の装甲で殴りつける。
ヴァルキリーは盾を使い、それを巧みにかわした。
よく見ると、装備のカラーリングはシルバのものと微妙に違うようだ。
振るう槍も魔力で構成されたものではなく、実体のある武器。
鋭く突いてくるが、そうそうやられてもいられない。
幸いと言うべきなのか、シルバの動きといくらか共通点もあった。
おかげで、対応がある程度予測できるものとなる。
だが、それでOKとはならない。何しろ今回は数がいるわけだから。
1人を相手にしていると、2人目が来る。
どうやら能力や実力にあまり差はないようだが、2倍になればそれだけ脅威だ。
かと思うと、3人目が魔力の矢を放っていた。
それを弾けば、他が隙を突いて襲ってくる。何とも厄介……。
こりゃ長期戦かな、と思っていると――
青い雷撃が飛び、3人のヴァルキリーは一気に落下していった。
「あ」
見れば、八郎くんがあちこち飛び回りながら、ヴァルキリーを撃ち落としていく。
私は落下した1人をキャッチして、状態を確認する。
<生命反応あり。麻痺・睡眠状態>
なるほど、なるほど。
さすがにモンスターではないので、殺すことなく無力化したか。
ヴァルキリーたちは仲間がやられていくので、どんどん八郎くんに群がっていく。
しかし、敵の攻撃を防ぎ、跳ね返しながら、八郎くんは雷撃を発射し続ける。
何だか凄腕ゲーマーのプレイ動画でも見ているような気分だった。
ゆみかたちも呆然として状況を見ているだけ。
「これほどとはなあー……」
ケライノは呆然としているが、どこか鋭い眼でもあった。
相手を推し量っている目だ。
「しっかし、あんだけ魔力を使いまくって、体もつのかしら?」
ラブ子は言いながら、ユズルの手を握っていた。どこかで脅えているのだろうか。
八郎くんが手強いと見ると、ヴァルキリーたちはまた変化を見せた。
腕に着けているリング状のものを触ったようだ。
というか、あれは……確か魔力を強化するけど危険の多い魔道具?
「奴らの付けている腕輪を壊してくれ! 危険なものだから!」
「!? はい!!」
私の叫びに、八郎くんは軽くうなずいて全身から魔力を発した。
しかし、改めて見ると――
ほぼ全裸の体を魔力からなる水着みたいなものが覆っている。
背中からは稲妻状の魔力で織られた翼。
しかも両性具有というのだから、天使か悪魔のどっちかだな。
いや、本来はどっちも神の使者なのだっけ?
私がボンヤリ思っている間に、八郎くんはヴァルキリーたちを制圧していった……。




