その227、怪人の正体と目的は何か
「くそ……!」
完全に敵が逃げ去った後、私は毒づいて変身を解いた。
周りでは、サキュバスやベルタエルフが忙しく動いている。
あ、そうだ。お父さん……!!
私はすぐさま、父の元へと全速力で戻った。
行ってみると、父は担架に乗せられて運ばれていく途中。
「お父さん、大丈夫!?」
「ああ……。黒羽か……。来なくても良かったのに……」
憎たらしいことを言いながら、父の顔はどこか嬉しそうだった。
こういうわけで、私は父に付き添って深夜の病院へと向かう。
<お見舞いを申し上げます、今はこっちも動けませんので……>
松上少年に連絡すると、こんな返事が来た。
似たような立場であるだけに、松上社長も狙われる可能性があるか――
さすがに今夜はもうないだろうと思いたいけどな。
そして。
病院で医師に聞いたところ、父に外傷はないとのことだった。
ただし、少し衰弱しているので、念のために2~3日入院することに。
「まいったな……」
私は病院の自販機でお茶を買いながら、頭を掻く。
地位の高い男性を狙うテロリスト? それともモンスターか?
自分の目撃した犯人を思い出しつつ、私はお茶を一気に飲む。
コウモリの翼がある以外はほぼ人間だった。
どこか不気味な雰囲気のある、エリートっぽい雰囲気の男。
やはり、吸血鬼なのか?
それにしては、血を流すことはなかったようなのだが。
一体どういう目的で、父や他の男性たちを狙ったのやら……。
まさか、男色の趣味があるんじゃなかろうな。
考えるとちょっと不気味だが、こういうのも差別になるのかな。
まあ、ゲイにしろ女好きにしろ、相手が厄介なのは変わりないか。
結局。
私は家に帰る気にもなれず、病院で一晩ウダウダすることになった。
こういう時に頼りになる松上少年も自分の家族を守るのに必死だ。
夜が明けた後、私は家に帰らず『7番』研究所へ向かう。
松上少年はダメでも、ヅカテ氏に頼れる……と思うし。
「これが、犯人の姿か……。ふーむ」
ヘルメットで録画した犯人の映像を見せると、ヅカテ氏は首をひねっていた。
何度も見返しては、首をひねり、また見返して考え込む。
「翼からすると、やはりワーバットのものだが……この能力は吸血鬼に似ているな」
「獣人が吸血鬼になるってこともあるんですか?」
「極めて低いが、ないこともないねえ。まあ、吸血鬼といっても色々あるわけだが、この場合アンデットとしての吸血鬼か」
「え。違いあるんですか。それ」
「ああ。生物の血を糧にする魔族……れっきとした生ける種族と、死体が魔力を得て疑似的な生命活動を行っている、いわゆるアンデットは違うものだよ」
「へえ……」
「地球じゃごっちゃになっているがね。まあ、基本吸血鬼というのは生ける種族を指して言うんだが。アンデットのほうはそれぞれ個別の名前で呼ばれるわけだ。アスワンとかキョンシーとかペナンガランとか。他にも悪質な魔法使いが他人の血を吸う場合もあるな」
「それで、こいつの場合は?」
「多分アンデットの一種だとは思う。見た感じ、知性も意識もハッキリしているから、低級なものじゃないだろう。リッチの類かもしれない」
よろしければ、感想や評価ポイント、ブクマをお願いします!
感想は一言でも歓迎!
あなたの応援が励みになります!




