その220、どうしてこうなった?
220回に達しました。けっこう書いたなあ……。
「しかし、変ですねえ」
「なにが?」
「彼女の扱いが、ですよ。危険な前線に送り込むには、かけたコストが大きすぎる」
と、松上少年は天宮シルバのデータを睨みながら言った。
「相当の金と手間暇をかけて作った子供のはずなんですけどね、何であんな扱いなのか」
「……もしかして、本当の母親じゃない?」
なるほど、その可能性も――と、松上少年はつぶやいた後、
「あるいはすでに量産体制が整っていて、彼女はその試作品にすぎないのかも」
「それじゃ、あんな子が大勢出てくるってわけ!?」
「可能性の問題ですけどね」
「カンベンしてほしいわ……」
「実際そうでなかったら、危険なブーストアイテムを使わせて、特攻みたいなことをさせるという意味がわからんですよ。死地に放り込む、生還しても寿命を削る」
「優秀な魔法使いを大量生産できるか……」
「まあ、支配者に都合の良いレベルのものですけどね。本当にダイノヘイムに対抗できるって魔法使いなら、いずれ支配を抜け出して牙をむくでしょう。扱いによりますが」
「どこまでいっても道具扱いか――」
「歴史上よくあることですけどね。往々にして頭の悪い支配者は人材がいくらでもわき出るんだと勘違いしますけど。まさか、自分たちで量産するとは……」
「彼女を、どうしたらいいのかしら……」
「さて。どっちにしろ、いつかは警察だの政府だのの判断をこう必要がありますが」
「今は無理?」
「うまいこと捕まえておける施設がねえ。どこも魔女党でいっぱいですから」
「ありゃあ……」
「何しろCランク以上の魔法使いがごった返しです。捕まえておく施設自体が少ない。急いで建造するにしても、金も場所も時間もない。かといって、まとめて処刑することも無理だ」
「どうにもこうにも、ってか……」
私は頭が痛くなって、机に突っ伏してしまった。
「せっかく学校に戻ったのに……。これじゃ意味ないじゃん……」
「ご同情申し上げますが、僕個人としても黒羽さんの助力がないときついわけですよ」
「ふむ。しかし、彼女の扱いは難しい、か……」
今さらながら私はつぶやき、天井を見上げた。灯りがまぶしい。
「何しろ魔法使いのデザイナーベイビーですからね。モルモットとしてはどこも欲しがる対象だけれど、管理しきれるかは別問題だ」
「ブチ切れて暴れ出す可能性大か」
「そういうことです。ここだって、黒羽さんやヅカテさんの協力がなければ、いつ逃げられることか、わかったもんじゃあない」
「ヅカテ氏の魔法陣のおかげか」
「あなたのおかげでもあります」
「それは光栄ですわね……」
私はつい皮肉な笑みを浮かべてしまう。
「そんなにひねくれる必要もないですよ。ま、あなたの聞き上手さが功を奏したのかな」
「聞いてただけなんですけど?」
「ええ、それもかなりの忍耐を必要とするでしょう?」
「まあ……」
「さてと。そろそろ食事の時間だ。すみませんが、お願いできます」
「そのうち、私がおむつまで替えることにならんでしょうね?」
「彼女は自分で用を足せますよ?」
「……嫌味よ」
「あ、なるほど」
何でこうなっちゃったのかなあ、と思いつつ、それでも食事を運ぶ私であった。嘆息。
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