その218、目覚めるシルバとの会話
サブ連載もよろしくお願いします。
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「とりあえず多重結界を張っておいた。すぐに暴れ出しても大丈夫のはずだ」
特別治療室で、魔法陣を複数展開させたヅカテ氏が言った。
魔法陣はすぐに見えなくなるが、必要時にはすぐに発動する仕掛けである。
「そもそも、彼女はどういう人物なんです? いや、学校に届けられている情報などはダミーでしょうけれど……。それにしても……」
「提出された書類では、母親と二人暮らしってことになってるわねえ。連絡先を調べてみたらダミーだったけど。君の言うとおりね」
「どういう教育を受けたのやら――かなり無茶な訓練をしているな。ざっと調べてみたが、魔力関係の部分がかなり負担を強いられている。本人が資質に恵まれてなきゃあ死んでるぞ」
作成したカルテを見るヅカテ氏は呆れたように首を振った。
「そんなに?」
「まあ、下手しなくても虐待案件だわな。本来ならば、こんな無茶をしなくっても高レベルの魔法使いになる力がある。無茶に無茶を重ねているよ」
「それで……。治りますか?」
「そりゃ本来そっちが本職だから治すがね。本人がおとなしく治療を受けるのが前提だ」
「やれやれ……」
私は困り果てて天宮シルバの寝顔を見た。
と、彼女が口がパクパク動いたような?
「起きたの?」
「いや、寝言らしいな」
特殊ガラス越しに唇の動きを見て、ヅカテ氏は言った。
「何て言ってるか、わかります?」
「ちょっと待てよ……。ふむ、何かお母さんとかごめんなさいとか……」
「はあ……」
何となくバックボーンみたいなのが想像できる気がして、私はうんざりとなった。
あくまで想像でしかないから、断言もできないのだけれど。
見ていると、天宮シルバは苦しそうに身をよじり、やがて目を開いた。
鳶色の瞳が不安そうに、周辺を見ている。
やがて、彼女は私たちに気づいたようだった。
途端にシルバは跳ね起きようとするが、魔法陣が展開してすぐさま動きを封じる。
「一応治療中の患者だから、負担をかけたくはないんだがなあ」
ヅカテ氏は困った顔で頭を掻いている。
「ちょっと、話してきましょう……」
「大丈夫かい?」
「さあね。何かあればヨロシクお願いします」
私は素手であることを強調するように、両手を振りながら治療室に入った。
「気分はいかが?」
「…………」
シルバは野良猫みたいな目つきでこっちを睨んでくる。
「警戒するのは勝手だけど、暴れないでよ。いちいち拘束するのは手間なんだから」
「私をどうする気」
「さあ。とっとと警察に引き渡したいところだけど、引き取ってくれなくてね」
「……」
と、シルバはいきなり魔法を使おうとした。途端にまた魔法陣が発動。
シルバはリングで拘束されて、ベッドに横倒しになった。
「悪いけど、逃がすわけにはいかないのよ。逃がしたら、あんたまたテロ活動するでしょ」
「……あれは必要なことなの」
「日本をメチャクチャにする必要なら、ますます逃がせないわね」
「そうしなければ、解放されない。あなただってそう……」
取り付く島のないシルバの言動に、私はため息を吐き出す。
いやはや何とも……。これは宇宙人とでも話している気分だな……。
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