その217、ヴァルキリーの正体は……
休んだ分を補填です。
「……で、結局連れてきちゃったと。フツー警察でしょ?」
私とゆみかに対し、松上少年は渋い顔で言ってくる。
「その警察に押し付けられたようなもんよ……」
「何だかどこも怖がっているというか、面倒くさがって……。仕方なくこっちに」
ゆみかは言い訳するように、苦笑を漏らす。
「ま、確かにあんな真似をするテロリストは警察で扱い切れないかもしれません」
松上少年は嘆息して、ヴァルキリーをベッドに寝かすように指示。
「というか、この兜とか鎧を取らないとね……」
ちゃんととれるかどうか不安でもあったが、何とか脱がせる。
そして、出てきた顔は――
「どっかで見たような顔ね……?」
素顔のヴァルキリーは、黒い髪をした美しい少女だった。人形みたい。
「いや、どこかって……この子……転校生の天宮さんですよ!?」
ゆみかはヴァルキリーを見て、目を見開き、言った。
「え」
言われて、私はもう一度少女を見つめ直した。
特徴的なボブカット風。白い肌。端正な顔立ち。あ。ほんとだ……。
「え。じゃあ、なに。うちの学校に来たのはテロリストだったわけ?」
マンガじゃあるまいし……。
私はあまりの事態で、脱力しそうになりながら、天宮シルバを見た。
「お知合いですか?」
「まあ、知り合いというか。今日知ったというか……」
「うちの学校に、転校してきた子なんだけど」
私とゆみかは顔を見合わせて、松上少年に言う。
「ふーん? あそこは相応の資質やら何やらがないと入れないところなんですがね……。ま、あれだけのことができるわけだから、才能はバッチリか……」
「一体何考えてるんだろ?」
「さてね。誰かバックにいる相手に指示された、とかかもしれません」
「黒幕か……」
「そういうことです。色々聞きたいことは山ほどありますけど……」
と、松上少年は脱がされた鎧や兜を興味深そうに見ている。
やがて松上少年は、腕輪のようなものを手に取り、目を細めた。
「ふむ。これが曲者らしい。一種の魔力増幅装置みたいなもんですな」
「すると、いきなり強化したのは、それのせいか……」
「パッと見じゃあ何とも言えませんけれど、どうやら蓄積している魔力を、そのまま装着者に付与するものみたいですな。短時間でしょうが、かなりパワーアップできます」
「ふむ!」
「ただし、かなり心身に負担がかかりますし、場合によっては思考能力も著しく低下するかもしれんですな。あんまりおすすめできないが……参考にはなる。連続使用は厳禁ですね」
「そんなに危険な……?」
「まあ、扱いようによってはね。下手すれば体が吹っ飛ぶか、身の毛もよだる怪物になりかねないような一品ですわ」
「どうして、そんなものを……」
「さあね。何かの実験だったかもしれないし、鉄砲玉だったかもしれない」
「てっぽーだま?」
松上少年に尋ねたゆみかは、単語の意味が分からないようだった。
「使い捨てのテロリストってところですかね」
「そんな、ひどい……!」
ゆみかは怒り、同情のまなざしで天宮シルバを見る。
「まあ、それが正確かどうかもわからないけれどね。本人に聞いてみるしかないでしょ」
私はとりあえず、その場をまとめた。話をしてくれるかは、わからんが……。
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