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214/301

その214、ヴァルキリーの沈黙



「っかああああ!!」



 ヴァルキリーは叫び、背中の黒い翼を大きく広げた。


 魔力が殺気よりも格段に上がっている……。



 そして、手に持つ魔力の槍が銀色に輝いて実体化した。


 やはり何かを使ってブーストしているのか……!?



 ヴァルキリーの眼は銀色の光を発して、私を睨む。


 だいぶ正気じゃないな……。こりゃ厄介かもしれない。



 けれど、こっちにも逃げるという選択肢はないのだ。


 この強化したスーツなら、かなりのところまで戦えるはず。



「じゃあああ!!!」



 ヴァルキリーは槍を突いてきた。私は刃で受け止める。


 かなり重いが、動きもわかる。受け止めることも十分可能だ。



 私は槍を弾き返し、魔力弾を放つ。


 弾丸はヴァルキリーにぶつかって弾け、その体を大きくそらせた。



「もらった!」



 私は拳を握って、ヴァルキリーに打ち込み、さらに蹴りつける。


 ヴァルキリーは高速で地面に吹っ飛び、道路を破壊して転がった。



 手ごたえは十分。



 しかし、ヴァルキリーはすぐに跳ね起きて、再び空に舞う。


 槍を風車のように旋回させて、あっという間に近づいてきた。



 痛みもダメージもないのか?


 いや多分違うな……。おそらく無視しているだけだろう。



 私は両手に小盾を展開し、防御しながら殴り合う。


 槍を弾き、そらし、あるいは受け止めながら、鎧越しにヴァルキリーを殴打&殴打。



「うあああ……!!!」



 何度殴られても、ヴァルキリーは吠え、また向かってくる。


 唇から血を流しつつ、攻撃の手を緩めないのだ。



 まったくもって、しつっこいな……。


 だが、こうなったら根競べだ。どっちが先に潰れるか、試してみろ!



 私は加速して、殴打にプラスしてキックも追加していく。


 それでも、ヴァルキリーは止まらない。



 しかし――



「ぐ」



 唐突に、狂戦士バーサーカーと化していたヴァルキリーは止まる。


 魔力がどんどん低下していき、糸の切れた人形のように……。



 そして、声も発さないまま、ヴァルキリーは落下していった。


 地面に落ちるところを、さっとゆみかがキャッチ。



「ナイス」



 私は親指を立てながら、ゆっくりとゆみかの元に。



「ずいぶん精巧な造り……」



 私はヴァルキリーの鎧や兜を見ながら、首をひねった。


 機能性もさることながら、美術的な要素もえらく強い。



 フツーここまでする必要もないと思うのだが……。


 おそらくだけど、製作者はかなりの趣味人だな。


 松上少年と気が合うだろうか。それとも、合わらないだろうか。



 こんなことを思いつつ、



<魔力低下。生命反応あり>



 生きてはいるが……一応病院に運んだほうがいいか。


 とにかく、物騒な鎧も脱がせてしまうかな……。



 私が兜に手を触れた時、雷鳴の音を聞いた。



 そして、遠くに聞こえる馬のいななきが――








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