その214、ヴァルキリーの沈黙
「っかああああ!!」
ヴァルキリーは叫び、背中の黒い翼を大きく広げた。
魔力が殺気よりも格段に上がっている……。
そして、手に持つ魔力の槍が銀色に輝いて実体化した。
やはり何かを使ってブーストしているのか……!?
ヴァルキリーの眼は銀色の光を発して、私を睨む。
だいぶ正気じゃないな……。こりゃ厄介かもしれない。
けれど、こっちにも逃げるという選択肢はないのだ。
この強化したスーツなら、かなりのところまで戦えるはず。
「じゃあああ!!!」
ヴァルキリーは槍を突いてきた。私は刃で受け止める。
かなり重いが、動きもわかる。受け止めることも十分可能だ。
私は槍を弾き返し、魔力弾を放つ。
弾丸はヴァルキリーにぶつかって弾け、その体を大きくそらせた。
「もらった!」
私は拳を握って、ヴァルキリーに打ち込み、さらに蹴りつける。
ヴァルキリーは高速で地面に吹っ飛び、道路を破壊して転がった。
手ごたえは十分。
しかし、ヴァルキリーはすぐに跳ね起きて、再び空に舞う。
槍を風車のように旋回させて、あっという間に近づいてきた。
痛みもダメージもないのか?
いや多分違うな……。おそらく無視しているだけだろう。
私は両手に小盾を展開し、防御しながら殴り合う。
槍を弾き、そらし、あるいは受け止めながら、鎧越しにヴァルキリーを殴打&殴打。
「うあああ……!!!」
何度殴られても、ヴァルキリーは吠え、また向かってくる。
唇から血を流しつつ、攻撃の手を緩めないのだ。
まったくもって、しつっこいな……。
だが、こうなったら根競べだ。どっちが先に潰れるか、試してみろ!
私は加速して、殴打にプラスしてキックも追加していく。
それでも、ヴァルキリーは止まらない。
しかし――
「ぐ」
唐突に、狂戦士と化していたヴァルキリーは止まる。
魔力がどんどん低下していき、糸の切れた人形のように……。
そして、声も発さないまま、ヴァルキリーは落下していった。
地面に落ちるところを、さっとゆみかがキャッチ。
「ナイス」
私は親指を立てながら、ゆっくりとゆみかの元に。
「ずいぶん精巧な造り……」
私はヴァルキリーの鎧や兜を見ながら、首をひねった。
機能性もさることながら、美術的な要素もえらく強い。
フツーここまでする必要もないと思うのだが……。
おそらくだけど、製作者はかなりの趣味人だな。
松上少年と気が合うだろうか。それとも、合わらないだろうか。
こんなことを思いつつ、
<魔力低下。生命反応あり>
生きてはいるが……一応病院に運んだほうがいいか。
とにかく、物騒な鎧も脱がせてしまうかな……。
私が兜に手を触れた時、雷鳴の音を聞いた。
そして、遠くに聞こえる馬の嘶きが――
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