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209/301

その209、検査の結果合格する岡田ユズル



 そういうわけで、岡田ユズルの検査が始まったわけだが――



「潜在最大魔力はおよそ4000……かなりのものですね」



 松上少年は称賛し、田中くんはよくわかってない顔だ。



「これで協力者がまた増えることになりますよ」


「待遇も考えないとね!」



 将来の転移や魔女狩り大発生に備えて、男性の魔法使いは必要な人材だ。


 ダイノヘイムに疎開している人も多いし、今後ますます希少になるだろう。



「まさか、僕が魔法使いになれるなんて……」



 ユズルは困惑した顔で検査室から出てくる。



「できれば今後は検査と訓練を続けていただきたいですね」


「まあ、僕で力になるなら……」


「大いになりますぞ!」



 松上少年は笑って、ユズルのお尻を叩いた。


 ここは肩でも叩くところだろうが、慎重さのためにそうなってしまうのだ。



「ちょっと、気安く触らないでくれる?」



 ラブ子は不機嫌になってユズルから松上少年を引き離す。



「はっはっは。僕にそっちの趣味はないですよ」


「なくっても嫌なのよ、ませたガキね!?」


「よく言われます」



 松上少年は怒鳴られても飄々としたものである。


 ま、私は中身オバサンであるのとの同様、中身オッサンだからな。



「早速ですが、基礎訓練から始めてみませんか?」


「今から?」


「まずは瞑想のようなものですから、大丈夫ですよ」


「そうだね、まずは始めなくっちゃあダメか……」


「あ、ひとまず今日のバイト代はこれくらいで」



 松上少年と話しているユズルに、私は電卓を手にちょろっと話してやる。



「え、いいの、こんなに……」


「色々必要で助かる部分もあるから。ま、遠慮なくもらっておいて」


「何だか悪いような」



 ユズルは高額報酬に、かえって怯んでしまったようだ。



「まあまあ、後で彼女に何かプレゼントするとかさ?」


「む……」



 ラブ子を引き合いに出され、ユズルは黙り込む。


 けっこう強引な彼女に引け目があるのかもしれない。



「じゃ、そういうことで、後はお願い」


「まかされました。では、岡田さん、まいりましょう」



 松上少年はユズルを先導して歩き出す。



「私もついてくからね」



 その後ろに引っ付いていくラブ子。何だか子犬みたいだな、蛇だけど。



「だけど、まさかこんな形で人材が増えるなんてねー」



 食堂で私はお茶を飲みながらヅカテ氏と話す。



「検査結果を見たけど、潜在魔力が活性化したのは割と最近みたいだな。何か、きっかけでもあったのかねえ?」



「さあ……」


「聞いた話じゃあラミアと……。ああ、それでかもしれない」


「何がですか?」


「人間の男は、異種族とそうなった場合、潜在的な才能なり資質なりが顕在化するパターンがけっこうあるそうだ。無論色々条件はあるけどね」


「え。それって……」



 私は今あちこちでサキュバスに喰われている日本人男性について考えてしまった。








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