その208、少年たちは語り合う
<……はあ、僕はもうダメだ>
画面の向こうで、ユズルは肩を落としてつぶやいている。
<辛気臭いこと言うなあ?>
<ダメだダメだと思っているけど、結局負けてしまった……>
<はあ。まあ良いんじゃないの?>
対する田中くんはどうでもよさそうに相槌。鼻でもほじりそうな表情だった。
<僕が好きなのは……だったのに……>
<何か知らんけど、ふられた相手にいつまでも執着してもしょうがないのと違うか?>
<ふられたからって、急に違う人にがっつくのは、違うと思うんだ……>
<だったら、何年もふられた相手に対してウジウジするのか? 建設的でないのう>
何だかんだでお互いに、けっこう話し合っているようだ。
どうなることかと思ったが、何とかなったかな?
<だからって簡単にフラフラしてるのは、相手にも不誠実じゃないの?>
<相手って今のラミア? 自分になびくなら向こうは文句ないのと違うか>
<そういうことで良いのかなあ……>
<じゃあ、どうならいいんだよ。散々ウジウジして待たせた挙句ならええのか?>
<そういうことじゃなくって……>
<どういうことだよ。よくわからん>
<結局、今の僕は、体だけでどうにかなってるんじゃないかな……>
<それが不誠実っだっちゅうのか?>
<多分ね……>
<しかし、じゃあどうするんだよ? 友達から始めれば良かったのか?>
<……どうだろ>
<けど、今さらお友達からと言われても向こうは納得せんだろ? やることはやってしまった後なんだから>
<あああ。そこがダメなんだ!!>
言って、ユズルは顔を突っ伏してしまった。
<お前さんも難儀な人生を歩んでいるなあ>
<ゆみかちゃんに何て言えば言いのか……>
<彼女ができましたでいいのと違う?>
<そんなこと……>
<向こうは友達としか思ってないんだからしょうがないだろ>
<このままズルズル欲望に負けてるのは人間としてまずいんだ……>
<それを言われるとなあ……>
なかなか話は終わらないようだ。というか、酔っ払いの愚痴みたいだな、ホント。
「やれやれ……」
私は画面から目を離して、肩をすくめた。
「あんたの彼氏は悩み多き少年みたいだねえ」
「悩まなくってもいいのになー」
メソメソしている彼氏を見て、ラブ子は愛おしそうに言うのだった。
ホント、なんだかなー。
アホらしいから、別件の仕事について話そうかと思っていたところ、
<やー、どうもどうも>
別の映像画面が展開して、そこから松上少年が顔をのぞかせる。
<新しい人材はなかなか優秀なようですな>
「優秀?」
<もらったデータから潜在魔力を調べてみましたが、けっこうなものですよ。魔法少女で言うなら、Bランク相当のものが期待できる>
「なんですと!?」
すると、岡田ユズルも使える魔法少年となる人材であったということか?
こういうのを、『瓢箪から駒』って言うのかね……。
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