その19、病院で注意される
「魔力の使いすぎのようですねえ」
と、病院では言われた。
「最近魔法を使ったりは?」
「はあ、まあ、けっこう……」
「高校に入る前から、けっこう魔法を学んでいたと……なるほど、なるほど」
病院では、女医に感心された目で見られた。
「時々あるんですよねー。なまじ素質があるから、初心者が魔法を使いすぎちゃうの……」
……まー。そうだわな。
多分、あの杖の補助とかがあるのだろうけど。
変身した私は魔法をバカスカ使っていたし。
「これはネットとかテレビでも言われてるから、知ってるかもしれないけど」
と、女医は続ける。
「魔力は過剰に消費すると、まず脂肪分を燃やして補填しようとするの」
「あ、聞いたことあるような……」
確か、『魔法ダイエット』とかいうネット記事を見たことがある。
「そう。でも、ちゃんと基礎の体ができてないと、どんどん魔力に変えて、次は筋肉なんかも燃焼しちゃうの。だから、うっかりするとあっという間にガリガリになってしまう」
「気をつけます」
「うん。気をつけて? いくら効果的といっても、急激に痩せるのは体に負担があるから」
下手すると、命にも関わるよ? と、女医は念を押した。
それから、いくつかの注意を受けた後、私は病院を後にするわけだが。
「あ、もう大丈夫なの?」
病室を出ると、担任の武市がいた。
搬送される時、一緒についてきてくれたらしい。
「あ、はい。ご心配をおかけしました」
「毎年、1~2回はあるらしいけど、初日に倒れる子がいるなんてね」
と、苦笑する武市。
「あ、お迎えの方が来られてるけど」
見れば、送迎担当の者がいた。
「お嬢様、もうよろしいので?」
「ええ、帰ってもいいそうよ。ごめんなさいね」
「いえ。では、支払いの手続きをしてまいります」
「ありがとう。お願いね」
私はホッとして、時間を確認してみる。
もうすでに午後6時を回っていた。
「先生も、遅くまで申し訳ありません」
「いいの。これもお仕事だから」
と、少しおどけた口調の武市。
「ああ、そうそう。後藤さんや吉田さん、あなたを心配してたよ」
「そうですか……」
心配する立場から、される立場になってしまったな。
そして、私は少し気になったことを思い出す。
「あの、余計なことかもしれませんけど」
「なに?」
「吉田さん、大丈夫だったんですか? ほら、その、昨日のアレとか……」
「ああ……」
武市は少し顔を曇らせた。
彼女にとっても、良い記憶ではないし、ついの昨日だ。
「そうね。休んだ子も多いし、みんなショックはあったみたい。でも、多分だけど吉田さんは大丈夫だと思うかな? 彼女、見た目よりずっとタフみたいだし」
そう言って、武市は私の肩を叩くのだった。




