その156、女神の気まぐれ
「ふむ……。まあ気になるよなあ」
管理人はうなずいてから、少し考えて――
「あんたは輪廻転生って信じるかい?」
「え?」
いきなりの発言に、私は一瞬固まって、相手の顔を凝視してしまう。
「……そうね。信じます」
「うん。まあ、そうだろうな。で、その転生とやらにある程度干渉できる存在を何だと思う?」
「神様、ですか」
「それが一番適当でわかりやすいよなあ。違っているとしても、神様の定義なんてもの時代や宗教やらで変わってくるから。とにかく、俺たちを上からある程度操れる存在とでもするか」
「……」
「俺も君を転生させた存在の全体像はよくわからん。おそらく……ダークエルフが女神として崇拝しているものなんだろうとは思う」
「思うって……」
「だから、俺にもよくわからんし、直接会って話すとかそんなものじゃないから」
「じゃ、どうやって命令とか受けてるんです」
「使いというのがやってきて伝えるんだよ。天使というにはちょっとアレだけどな」
「それって……」
私は何度か会った、あのサラリーマン風の男について話してみた。
「あー、それだ、それ」
「でも、胡散臭いことおびただしいじゃないですか。素直に命令を聞くのは何故?」
「そりゃ、相応の報酬をもらえるからだよ」
「……」
「あんたの場合も、干渉が色々手助けになってるんだろ?」
「それは、そうですね……」
確かに変身用のワンドといい、鳥型ツールといい、八郎くんの情報といい……。
事実、助けにはなっているのだ。
「でも、なんで私を?」
「知らんよ。多分、そうしたかったから、じゃないの?」
「そんないい加減な……」
「信仰上でも、女神は気まぐれだと言われている。こっちにはよくわからんことをする、時に理不尽なことも要求する。神とはそういうもんだ」
「……」
「絶対的な善とする宗教もあるようだがね、それは本来不自然なことかもな」
「……しかし」
「原因とか、理由がわからんとなると不安にもなる……か。ま、俺の場合はこう考えている。女神はそれでどうなるか見てみたかったじゃないかとね」
「なんです、それ」
「全然違う世界の人間を、別の世界に生まれ変わらせ、前世の記憶を思い出させる……」
言った後、管理人は困ったように頭を掻いて、ため息。
「その結果どうなるか、転生者はどう思い、どう行動するか。それを見たかったと」
「……そんなことして、何の意味があるんですか!?」
「知らんし。神様の考えなんかわからんよ。もしかしたら、それこそ単なる気まぐれか遊びのつもりかもな」
「私たちはゲームの駒?」
気分が悪くなり、私は思わず管理人を睨んでしまった。
「そうかもしれんし、違うかもしれん。ただまあ、現状そのことをグチグチ悩んでもどうにもならんということだけどだね。悩みたいだけ悩むのも、ありっちゃありだろうがな」
幸いというか、時間だけはあるしな――と、管理人は言った。
私は何も言えなくなって、部屋に会った椅子に座り込んだ。
だけれども、すぐに立ち上がる……。
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