その138、使い捨てモンスター召喚アイテム(粗悪品)
「それって、どこ製?」
私は思わずヅカテ氏に詰め寄ってしまった。
我ながらかなり余裕のない顔をしていたと思う。
「詳細な場所はわからないけど、まあダイノヘイムのどっかだろうね」
ヅカテ氏は決まりの悪そうな顔で首をひねり、何かを取り出す。
それは、ジップロックみたいな透明の袋に入った紙片。
というか、今画像で見たものとほぼ同じ呪符だった。
「ふーむ……。実物があるとはありがたい。これで対処法がわかるかも」
呪符を受け取りながら、松上少年は少し頬を緩めた。
「どっかで大量生産したんだろうけど、こんな粗悪品だからまあ売れないわな」
使い道もないし、とヅカテ氏はため息。
「ところが、ろくでもない使い道を思いついた連中がいたと……」
今現在テロリストに成り下がった旧魔女党だ。
まったく本当にろくでもないことしかやらない奴らである。
「なるほど、なるほど……」
松上少年は魔法陣を複数展開して呪符を調べていたようだが、やがて顔を上げる。
「これなら、多少心得のある者なら簡単にモンスター召喚できますな」
「本当に?」
「はい。使い方はいたって簡単。魔力を込めて呪符を発動させるだけ。そうすれば数時間から10数時間の間にモンスターがランダム召喚されます。ま、元が粗悪品だけにそう大したのは呼び出せないですがね」
「……えらく時間がかかるのね」
「多少の小細工をして召喚までの時間を遅くしているんです。きっと、元々召喚されるまでにけっこうな時間のかかるものだったんでしょう」
速攻で使えないわ、呼び出しても制御できないわ……。とんだ欠陥品ではないか。
「これを発動させてどこかに隠しておけば、後は勝手にモンスターが出てくると。土の中でも埋めておけば余計にわかりにくいですな」
「なんてこと……」
私が一瞬目の前が暗くなるのを感じた。
「これって、どれくらい数があるんです?」
「さすがにわからんね……」
私の問いに、ヅカテ氏は首を振った。
「まあ、大量に余った粗悪品を適当に売りつけたって感じだから、地球で量産ってことはないだろうけどな……」
「ま、そうですね。おそらくコスト的にも技術的にも無理がある」
松上少年も同意した。
増えないだろうってことは吉報だけど……。しかし、えらい話だ。
「何とか回収して処分しないと」
「処分自体は簡単だろうけど、回収となると……」
難しいんだろうなあ……。
旧魔女党がどれだけばらまいたか、わかったもんじゃない。
それに、今の社会なら基本初期魔法を使える女性はいくらでもいる。
つまりテロ要員はいくらでもいるとも言えるのだ。
本人にその気がなくっても騙して発動させるってこともあり得るだろう。
「とにかく、情報公開して注意を呼びかけないと――」
「今上に連絡したところです。あと、これを探知できる道具も作っておきましょう」
携帯を手に、松上少年は引き締まった顔で言った。
間に合うかどうかはわからないが、被害の拡大は防がないと。
そう思っている矢先――である。
私たちのいた会議室……の映像端末が自動でついた。
北海道で、大型モンスター出現との情報!?
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