その126、トカゲ怪獣は止まらず
まさに怪獣映画になってきました。
「こりゃひどい……」
直接現地を見て、私は軽い絶望感を味わった。
大トカゲは市街地を横断し、その後山道を進んでいる。
進行方向にはいくつかの家屋があり、さらにその先には別の街。
電車はストップして、あちらこちらで交通規制。
そのくせ、逃げようとする人たちの車で渋滞騒ぎという有様。
ヤタガラスが車ごと別所に搬送したりしているが、とても人手が足りない。
異種族の魔法使いたちは何とか大トカゲを抑えようとしている。
だが、下手につつくと怒って暴れるのでなかなか手が出せない。
「竜属性の魔道具でもなけりゃ、手が出ないよ!?」
いったん戻ってきた魔法使いは汗だくでそんなことを言っていた。
「私たちのツールで、どの程度抵抗できると思う?」
「さて……。まあ、同じものが10体は欲しいところですねえ。さらに、稼働時間も今の倍は欲しいです。現時点ではチョコチョコやっている間に魔力切れですな」
松上少年はマスクを着けたまま嘆息して、転送魔法を使っていた。
指定された場所に住民をワープさせているのだ。
便利だが、個人単位ならともかく連続して大勢を転送するのでは……。
表情は隠れているが、かなりしんどそうだった。
気づけば、けっこう民間の協力者も集まっていているようで。
避難のほうはどうにか進んでいる。
だが、大トカゲはジリジリと次の街へと進んでいた。
「たっくよお……。こんな仕事になるとはなあ……」
見れば、汗まみれで憔悴した様子の女が休憩所で水を飲んでいた。
あれは――アマゾネスのケライノか。
「ずいぶんお疲れのようだね」
「……お前か。相変わらず妙な面だな」
「そりゃあどうも」
「……しかし、モンスターの少ないところだって聞いたけど、あんなドラゴンが出るとはよ。手柄を立てたいが、一人二人じゃ自信がねえや」
「じゃあ、何人いれば倒せる?」
「武器や魔法が十分あって、同格の仲間が100人は欲しいね」
「そりゃ無理だ」
「だから、今のところ後手しかできねえな」
自信家で好戦的なアマゾネスがこの様子とは……。
結局大トカゲは進み続け、大阪府まで到達使用していた。
一度。
人のいない山岳地帯付近あたりで、自衛隊の空爆が行われたりしたが――
これが偉い結果となった。
多少の傷を負ったのかしらないが。大トカゲは激昂。
馬鹿でかい叫び声をあげたと思うと、口から黒い球形の光を放った。
それは巨大な爆発を引き起こし、山を崩して炎を噴き上げる。
結果、空爆以上の被害を周辺にもたらしたのである。
周りは隕石が落ちたようなクレーターがそこかしこにできた。
近くの道路はもうグチャグチャ。
逃げ出した野生動物が、人家周辺にやってきてしまう。
侵攻方向にある大阪は悲惨なことになってしまった……。
暴れたせいか、多少速度が落ちたのは不幸中の幸いなのか。
空自でも陸自でも有効な対策はとれなかった。
飛行機でも危ないのに、陸から近づけばあの球形ブレスを喰らいかねない。
そんなだから、魔法使いが挑むのも無理な相談であった。
何という悲惨な話だろう……。
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