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121/301

その121、異形のもの

おかげさまで120回を越えました!




<渡さんの体調が急変しました! 至急おいでください!!>



「まさか……?!」


「変化が近いとは思っていたがね!」



 男どもはうなずき合うと、ダッシュで部屋を出ていった。


 えらい熱心さだが、何というか興味本位な部分が多そうだな……。



 私も遅れながら、八郎くんのいる特別病棟に向かう。


 特殊ガラス越しの病室では、八郎君の肥満体がふわふわ浮かんでいた。



「なにごと……?」


「近隣の大気魔力が急速に減っています。どうやら最後の吸収に入ったようですね」



 空中のデータグラフを睨みながら、松上少年はうなずいている。



 見れば八郎くんの体は……というか皮膚は完全に変異していた。


 もはや、蛹そのものである。


 丸っこい物体に辛うじて衣服が張り付いているという感じだ。



「まさか、昆虫になるんじゃないでしょうね」


「さて……魔力の数値が不安定で中身もよくわかりませんよ」


「集めた魔力が一か所に濃縮されているのか……。まるでダークエルフ並だな……」


「この状態、ほっといていいんですか……?」


「一応周辺は結界で覆っているし、あの部屋は特殊魔法陣が仕掛けてありますよ」


「爆発したり燃え上がる様子はないから、大丈夫だと思うけど」


「思うというのが不安なんですけど……」



 私は念のためにワンドを取り出して変身できるようにしておく。


 安いホラー映画みたいに怪物になるなんて落ちじゃなければいいけど……。



 やがて。



 浮き上がっていた蛹はゆっくりと特設ベッドに降りた。


 そのまま、何事もなく時間が過ぎる。



 1分が1時間にも感じる、嫌な時間が過ぎていく中で――


 不意に蛹がピシリと音をたてた。



 かと思うや、蛹から青い稲妻状の魔力が放たれる。


 そして。醜悪な蛹の外郭が弾け飛んだ。


 青い稲妻を放ちながら、『中身』が微動にせずうずくまっている。



「ヅカテさん……」


「余剰魔力が出ているが、危険はない。むしろ安定しているな」


「しかし、こんな魔力の質は見たことないですね。男性とも女性とも異なる……」



 松上少年は表示されていくデータと、変わってしまった八郎くんを見比べていた。



「安定している……。入っても平気なんですね?」


「うん。それは大丈夫だろう」



 ヅカテ氏に確認してから、私は重い電子扉を開けて中に入った。



「八郎くん?」



 声をかけてみるが、八郎くんは答えない。


 やがて稲妻が収まっていき、発光も緩やかになって、やがて消えた。



「ええ!?」



 そこにいる者を見て、私は思わず叫ぶ。



 怪物でもなければ、肥満体の少年でもない。


 ほっそりとした体ながら、明らかに膨らんだバストのある裸体。



 まさか、女になってしまったわけ???


 だが、その美しい裸体には何となく違和感みたいなものがある。何だろう。



「くろは……さん?」



 八郎くんはつぶやきながら、ぼんやりとした目でこちらを見返す。



 ううーむ…………。



 水色の髪に、赤い瞳。陶磁のような白い肌をした美しい少女だった。


 もはや過去の面影はゼロである……。






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― 新着の感想 ―
[一言] …………そう来ましたか、これは確かに予想外。 これって単なる女体化ではなくて両性具有で男女両方の魔法使い特性を持っているとかしそうですね。 ……ああ、黒羽さんの百合百合する相手なのかな?…
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