その119、深夜の行動
「――ということなんだけど」
「なるほど」
渡した資料を読みながら、松上少年はしきりにうなずいていた。
「……私に色々渡してくれた相手からの情報。どこまで信じられるかわからないけど、調べる価値があるように思うの」
「そうですね。特に、この街のモンスター出現頻度も妙だ。何かが大気中の魔力を消し去るとというのは、ちょっと難しい……あるいはどこかに吸収しているかもしれない」
「何かって?」
「自然現象かもしれないし、誰かが意図的にやっているのかもしれません。ああ、この資料を少しお借りしても?」
「コピーだからご自由にどうぞ」
「ありがとうございます。できることなら、この少年に会って直接調べてみたいですな」
「何とかして接触できないものかしら」
「手段を問わなければ、すぐにでも」
「できれば問いたいわね」
「まあ確かに。ただ、僕も学校とかで色々することも多くて……」
だとは思っていたが。松上少年はちょっと困った顔になる。
「いくらか使い魔を放っておいたから、観察は続けているわ。何かあれば連絡する」
「すみません」
「いいの、ヤタガラスもどうにかまとまってるし」
こんなわけで。
私は使い魔からの情報を待ちながら、日々の日課などをこなしていたが――
その夜だった。
渡家周辺に配した使い魔から連絡が来る。
車が何の音もなく、渡家から発進したというのだ。
どうやら隠れ身の魔法を使って、車の音やライトを外部に漏らさないようにしている。
だが。
上空から追う使い魔の眼には、近くの山のほうへ走っていく車体がハッキリ見えていた。
魔法を使っていても、まあ素人レベルだな。
私は妙な胸騒ぎをおぼえて変身すると、すぐにワープ魔法で現地に飛んだ。
やがて車は人のない山の中に入っていき、停車する。
車から人が降りると、後部座席から大きなものを運び出した。
魔法で浮かせているから、おそらくは娘がやっているのだろう。
人影は木々をくぐって、奥のほうへと歩いていく。
私は影からそっとつけていった。
暗闇だが、ハッキリと視えている。
大きな袋の包まれたソレは、
<生体反応。魔力微弱>
魔力? 前は全く感知できなかったはずだが……。
いや、今はそれはいいか。
私は姿を隠したまま、上空からその大きな袋を奪って飛んだ。
そのまま、『秘密基地』に移動して袋を開ける。
出てきたのは、異様な風体の肥満体。
こうしてみると、言葉が通じるかどうかさえ怪しく思える。
「渡 八郎くんだね?」
私はヘルメット越しに、肥満体の少年に言った。
「……は、はい」
非常に聞き取りにくい声だが、どうにか返事は返ってきた。
「いきなりで悪いけど。君は当分家には帰れないことになった」
一体何で渡一家がああいう行動に出たのか……まあ、それは突っ込むまい。
それよりも――と、私はすぐさま松上少年へ連絡を取った。
よろしければ、感想や評価ポイント、ブクマをお願いします!
感想は一言でも歓迎!
あなたの応援が励みになります!




