その115、エルフとの関係について
異種族レビュアーズ面白いです。
「それでですね、事前にお話ししていた増員のほうはどうでしょうか?」
話が戻った時に、松上少年は探るような目つきでヅカテ氏に尋ねた。
「……なかなか難しいなあ。ちょっと前のドタバタでだいぶ悪評がたってるから」
ヅカテ氏は渋い顔で天井を見上げ、その後テーブルへ視線を落とす。
「悪評ってなんでしょうか?」
「ああ、まあ、種族間のトラブルというのか……」
私の問いに、ヅカテ氏はちょっと言いにくそうにして視線を泳がせている。
「エルフ男性に対する日本人女性の問題行動ですなあ」
逆に松上少年はあっけらかんとした顔で言った。
「……それって」
「いわゆる魔女党の鎖国政策が加速したのは、エルフの……特に男性が来日しなくなったせいもあるんですよ。それがきっかけで、どんどんこじれて……という感じ?」
「異種族との関係が良くなかったのは知ってるけど――」
「ま、あんまり子供に言う話でもないというか……」
ヅカテ氏は苦笑をしているが、無理に笑っているように見えた。
「ぶっちゃけると、エルフ男性に日本人の、ことに熟年中年女性がわんさかと押しかけてったのですね。それはもう、飢えた獣のごとく」
「え」
「霊的に劣った日本人の男よりも、優れたエルフ男性こそが女性の伴侶にふさわしい」
松上少年は誰かを真似するように、いつもと調子を変えて言った。
「ああ、そんなのどっかで見た気がする……」
「この意見は、女性同士の子作りこそ至高とする派閥と内ゲバしてたようですがね」
「女性同士の結婚や恋愛も、一概に成功するとは言えないけど……」
私もそれなりのことを見てきただけに、そうハッキリ言える。
「ええ、所詮は人間同士ですから当たり前です。で、さっきの件ですが色々こじらせた女性がエルフ男性にストーカーしたりする事件が相次いだわけで。そうでなくって、やたらに肉欲の視線で見る女性が集まるもんだから、みんな嫌になっちゃったんです」
あはは、と松上少年は笑い飛ばした。
「エルフにとって人間は若く見えるって話もあったかなあ」
まあ、それは俗説というか単なるデマだ。当時は信じた女性が多かったらしいけど。
「エルフにとっては、人間の50、60はピチピチの適齢期として認識する……でしたかね。逆に20代30代は子供のように感じる――か。それもデマですが」
「……あー、そのへんの好みはアレかな。個人の趣味と言えるかな?」
ヅカテ氏はあんまり話に参加したくない様子。
「そもそも、寿命が違いすぎるから結婚も恋愛も難しい。無理があるんだよ。それにだなあ、仮に結ばれたとしても、生まれる子供はみんなエルフだぞ。どっちが父にしろ、母にしろ」
夫婦どころか、親子で圧倒的に寿命が違うのだなあ。
「ハーフエルフというのも、話にはよく聞きますけど?」
よくファンタジーなんかでは、出てくるな。
「子供自体は普通に生まれるよ。父か母が人間というエルフはいくらでもいる。でも、それはあくまで割り切った関係が多いんだ。人間と違って妊娠や出産はさほど負担がないからなあ。育てられないとしても、養子先はすぐ見つかるし」
「いい社会ですね」
育児で苦労している人間社会にとっては羨ましい限りだ。
「暇人が多いだけとも言えるがね。子供自体も妊娠はコントロールできるから、出産どころか結婚もせずに何百年も生きるエルフも多い。まあ、死ににくいエルフが他の種族みたいに子供作ってたらエルフヘイムはえらいことになるわな」
と、ヅカテ氏は肩をすくめてみせた。
その仕草も実に美しい。バランスの取れた肉体といい、美貌といい確かに人目を引く。
人間よりもこっちがいいと思う女性が多いのは自然ではあるか。
ただし、向こうの意思や選ぶ権利を考えていなかったようだが……。
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