その111、3か月後
時間が大きく飛びます。
そして。それから。その後で――
私が学校を休学してから、三か月が経った頃。
<……そして、これが『ブレード』の開発した新型魔法強化装甲服――ヤタガラスです>
司会の声と共に、黒い特殊スーツとヘルメットに覆われた女性たちが壇上に立つ。
<この装甲服は、対モンスターの他に災害救助や土木作業などの多用途における……>
「とりあえず。何とか、なりましたねえ」
大型テレビの前。私の隣に座る松上少年は肩を揉みながら、感慨深そうに言う。
「よく、あんな短い時間で何とかなったものねえ……」
私は少し探りを入れるように松上少年を見た。
「ま、ヤタガラスは僕の強化服と黒羽さんの強化服、その折衷型ですから」
「でも、ブレード……うちの企業からで良かったの? ほとんどはあなたが作ったようなものじゃない?」
「関連の装備などでいくらでも利益が得られますよ。使うのはそちらは、開発はこっちで」
「しかし、あれがうちの警備会社の標準装備だからねえ……」
「対魔女狩りを考慮しなければ、すぐにもできたんですが」
松上少年は言って、チャンネルを変えた。
<現在指名手配中の元魔女党員……>
「追う立場から、追われる立場か……」
私はニュースを見てため息。
ダークエルフの協力で得られた情報は、本当に政局まであっさり変えてしまった。
以前まで与党だった魔女党は、その不正やら無茶な実験が明るみになり、瓦解。
総理は席を追われ、幹部クラスがぞろぞろ逮捕という有様。
というか、想像していた以上にひどいことになっていた。
あらゆる分野で圧力や干渉はお手の物。
学校教育では思想統制まで行おうとしていたようだ。
さらに最悪なのは、魔法の資質を持つ男児への虐待。
例え勉強していなくても、優れた才能を持つ子は自然と魔法に準じた力を発揮していた。
そういう子に対する、学校ぐるみ地域ぐるみで嫌がらせや脅迫はお手の物。
ごく最近では、専用の収容施設を作って、洗脳・虐待を行っていたのだ。
もう少しすれば、大量虐殺までいっていた危険性さえある。
よくもまあ、松上少年は今まで無事だったもの……。
ゆくゆくは選別された男性以外は去勢&ロボトミー、もしくは抹殺する計画まで。
いくら女性同士で子供が作れるとはいえ、そこまでやるか?
これが表ざたになって時には、それはもうえらい騒ぎだった……。
それは何も日本だけのことではない。
外国でも似たようなことが進んでいたようで、内戦になった国さえある。
政権が交代した時には、魔導自衛官の一部がクーデターを起こそうとさえした。
その対処に陰ながら働かされ、私は本気で嫌になったものである。
だが、それでも混乱が比較的小さかったのは、鎖国が解け異種族の援助が得られたから。
特にサキュバスは全面的に支援してくれたものである。
まあ、代わりにあちこちでピンク色の空気が漂うようにはなってしまったが……。
しかし、ま、許容範囲としよう。
ああ、そうそう。
ヒロインこと坂本ゆみかとも会った。
彼女は、テロ容疑で警察に捕まった後、野党の関係者に助けられたらしい。
いや、元・野党。今は与党か。
ゆみかは捕まった先で、母親の血……眠っていたグルマルキンの力に目覚めたのだ。
その特性を生かして、対魔女狩りに協力することで、監視付きだが釈放された。
何ともはや、さすが物語のヒロインだというべきか……。
現在ゆみかは他の異種族と共に、魔女狩りの対処に忙しいようだ。
でも、こうなった今でも転移の時間は刻一刻と迫っている――
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