その106、疲れや傷がたまった戦い……
このまま膠着状態になるのか……?
私はウンザリしながらも事態を静観するしかなかった。
佐藤との戦いで色々消耗しすぎたか……。
と――
空中を飛ぶプロペラ機に変化が起こる。
突如、操り手である田中くんに向かって急降下し始めたのだ。
まさか、墜落?!
いやいや。そうではなかった。
プロペラ機は急降下しながら変形していき、そこへ田中くんが跳躍する。
これは……鎧?
というか、SFのパワードスーツみたいなものになり、そこに田中くんが乗り込む。
カブトムシそっくりの角が特徴的なロボット……ゴーレム?
パワードスーツは高速で飛行し、合成獣に挑みかかっていく。
毒霧や毒針が降り注ぐが、黒い装甲は全て跳ね返していった。
そして、パワードスーツの右腕から、光る羽? いや、刃のようなものが。
いや、むしろ飛行機のプロペラだろうか。
プロペラは高速回転し、パワードスーツはそのまま合成獣に叩き付ける。
合成獣の肉も鱗も見る間に切り裂かれ、再生が間に合わないようだ。
このえげつない攻撃に、暴れる合成獣も動きを鈍らせていく。
そして。
蟹型の放つ巨大なレーザーが合成獣を撃ち抜いた。
ついに限界がきたのだろう。
合成獣は黒い霧となって、大気に消え去っていく。
ああ……やっと終わった。
急に気が抜けて、私は立っていられなくなり、膝をついてしまった。
「ああ、しんどかった」
「疲れた……」
朦朧としていると、秘密基地に松上少年たちも戻ってくる。
「終わりましたよ?」
「ジンさん、大丈夫? 顔色悪いけど……」
二人に言われて、私はそっと自分の顔を撫でる。
いつの間にか、変身が解けてしまったようだ。
「途中で、リタイアして……ごめん」
「いやあ。それまでの活躍があったから、僕らも勝てたんですよ」
ボーッとした頭で謝る私に、松上少年はニコリと笑う。
「そうなら、いいけど……」
言って、私は息をつく。
「これ、飲めますか?」
気づけば、田中くんがスポーツドリンクを持ってきてくれた。
「ありがと……」
私はペットボトルの半分ほどを飲み干し、ぐんにゃりしてしまう。
「まいったな……。いよいよ限界って感じ……」
「そうですね」
つい弱音を吐いてしまうと、松上少年は困った顔。
「今のようにコソコソと駆除をやっているのでは、もうあかんでしょう」
「まったくだの――」
「!?」
不意に知らない声が響き、私は疲労も忘れてそっちを見た。
いつの間に、だろう。
秘密基地の一角に、青い肌に赤い瞳のダークエルフが座っていた。
ダークエルフは、面白いものを見るように私たちを見てニヤついている……。
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