表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美少女ギャルの罰ゲーム告白見抜いて許したら絡まれるようになった件  作者: 夜依
美少女ギャルにこの夏休みの間に振り向かせるから覚悟して! と言われた件
59/70

第17話

 このまま続けるのも微妙だ、ということでビーチバレーはあの後すぐに終わり、俺と芽衣は一足先にビーチパラソルの下に戻った。気まずい空気が流れている。

 篠崎と若宮さんは少し早いが昼飯を調達しに行った。背中に思いっきりボール打ちこんだ詫びとしておごってくれるらしいが、正直ここで芽衣と二人待つ方がしんどい気がする。早く帰ってきてくれねぇかなぁ。

 そういえば、芽衣との沈黙がこんなにしんどいのはいつ以来だろうか。やっぱり、最近は沈黙すら心地よいと思っていたんだな。

 

「……さっきは、その、ありがと」


 沈黙に耐えかね、口を開いたのは芽衣だ。


「ああ、うん。俺も悪かった。その、押し倒したみたくなっちゃって」

「いや、私庇うためだったし」

「そうか」


 再び沈黙。気まずさは抜けきらず再び微妙な空気が流れる。


「お待たせ。買ってきたよ焼きそば」

「悪い、結構混んでた」


 それから間もなく、二人が袋を持って帰ってくる。


「篠崎に任せたが何買ってきたんだ?」

「カレーと悩んだんだが、焼きそばにした」

「なぜその二択」


 いや、なんとなく、海と言えば焼きそばってのは分からなくもないが、カレーはマジでなんでなんだよ。


「いや、こう野菜とかほとんど入ってないし、海の家だからってシーフードが入ってるわけでもない。微妙な感じが絶妙なまでに海っぽいと思わないか」

「海の家やってる人には悪いけど、篠崎君の言うことなんとなく分かるかも」


 言われてみれば、海の家のものってなんとなく具材少ない気もするな。


「でも和也君、海の家行く途中で目に付いたハンバーガーショップに行こうとしたんだよ」

「いや、トンビに襲われて持ってかれるのに若干ビクビクしながら食うのも海っぽいなぁって。あと海の家はどれも高いんだよ」

「私が言いたいのは、格好の事だよ」


 篠崎は今、俺と同じようにサーフパンツ系の水着に適当なTシャツを1枚着ている。割と海にはよくいそうな感じの格好だ。対する女性陣は水着の上からパーカーを羽織っている。

 なんというか、こう、パーカーの下からちらちら見えるビキニは少しばかり刺激的だ。


「まあ、この格好では入りづらいかも」

「トンビにビビりながらっての分かるけど、あれは人が襲われてるのを見て、夏の海を感じるものであって、襲われるのはたまったもんじゃないと思うぞ」

「雨音、お前たまにアレな面が出るよな」

「ほっとけ。それより食おうぜ」


 いただきます、と手を合わせて割り箸を割る。先ほど話したように具材が足りないが、まあ仕方ない。


「ところで、夏祭りでも食いそうな焼きそばを選んだのは何でだ?」

「スイカが貰えるからだ」

「スイカ? ICカード?」

「そうじゃなくて食い物の方。なんか子供向けにスイカ割りイベントをやるみたいで、そこで割ったスイカを焼きそばについてる券と交換してもらえるらしいんだ」

「スイカ割りか。なんか海っぽいな」


 まあ、俺たちは出来ないんだが、と残念そうに返してくる篠崎。

 海と言えばスイカ割りみたいなイメージがあるが、実際することってそうそうないし、なんとなく残念がるのも分かる気はする。


「でもアレか。確かに雨音が言う通り、この後の夏祭りの事考えたら、カレーの方がよかったかもな」

「まあ、夏祭りで焼きそば避ければいいだろ」

「それもそうだな」


 大して量も入っていなかった焼きそばは、あっという間に無くなった。そして、スイカ割りがそろそろ始まるということで、海の家のあたりに移動する。


「すごい人だな、人混み酔いしそう」

「いくら雨音が人混み苦手とはいえ、そこまででもないだろ。でも、スイカ割りなんてなかなかしないし、結構な親子が集まってるのかもな」

「夏の海といえばって感じはするけど、全然やってるとこ見ないもんな」

「まあ、目を隠して棒を振り回すんだから、混雑している海水浴場ではなかなか出来ないだろ」


 確かに危ないもんな。今だって、海の家の横のスペースに三角コーンとコーンバーで囲われた場所を作り、一人づつその中に目隠しをして入って、外からの声を頼りにスイカを割りをしているし。


「ってか若宮さんと芽衣は?」

「足りなかったからなんか買ってくるって言って、海の家の列に並んでる」


 二人を探そうと背にある海の家を見ると、相当な長さの列が形成されている。儲かってそうだな、海の家。


「列長いな。俺も並んどけば良かった」

「あの二人の事だしなんか買ってきてくれるだろ。買ってきてくれなかったら俺らも並べばいいし」

「さすがにあの列に並ぶくらいなら、食わない方を選ぶわ」

「マジで?」

「どうせ二人の着替え待つ時間があるから、そこでなんか軽く食べる」

「そういえばそんな時間があるな。っていうか、その時間も考慮に入れると、ほとんど海で遊べなくね?」

「まあ、遅くとも4時とかまでだな」


 マジかぁ、と分かりやすく落ち込む篠崎。そんな篠崎には悪いんだが、俺には海での遊びなんて、海でちょっと泳ぐか、砂に誰かを埋めるくらいしか思いつかないんだけど。


「お待たせ。タコのから揚げとか買ってきた」

「夏祭りの露店にありそうなものばっかりだから、そうじゃないの探すの大変だったよ」

「まあ、被りそうなラインナップではあるよな」

「とりあえず食べながらスイカ割れるの待つか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ