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泡となり浮かぶ世界 ~押し付けられた善意~  作者: Hekuto


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第100話

 修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。



「日記かな?」


2035年7月1日

 なんちゃって予備役でしかない私が呼ばれると言う事は、もう日本も長くないのかもしれない。


「え? 2035年?」


7月5日

 最悪だ。私が二個小隊規模の防衛隊隊長に任命されるなんてありえない。隊員がみんな若い。これはあまりにおかしい。


7月7日

 二度目の白日、どうやら世界の滅びが避けられなくなったようだ。本隊との連絡が取れない。連絡が取れたのは品川の防衛隊とすすきの防衛隊、おかしい、なんで北海道のすすきのが東京にあるんだ。


「白日ってもしかして異変の日のアレかな? 防衛隊って何だろう。品川に、すすきのって日本三大歓楽街のすすきの? 歌舞伎町じゃなくて?」


7月15日

 世界がシャッフルされたらしい。その影響で江戸川区周辺と品川周辺、そしてすすきの交差点を中心にした周囲一帯が集まっている。さらにその外側は無人の山林が広がっているようだ。どこの山林か不明だがどうにも日本と雰囲気が違う。


「どういう事? シャッフル? もしかしてこれは何かのネタ帳だったのか? それはちょっと見てしまったのが申し訳ないが……いや冗談はやめておこう」


7月20日

 最も規模が大きい品川の防衛隊を本隊としていたが、昨日から連絡がとれない。すすきのも同じだそうだ。すすきのにあるドローンで偵察してくれることになった。私達もそう言う設備が欲しかった。


7月21日

 品川本隊が壊滅していた。生き残りは現在すすきのを目指して移動中の様だ。申し訳ないけど良かったと思っている。すすきの防衛隊にはベテランが多い、いろいろと足りない子が多いこちらに来られても困る。壊滅の話を聞いた隊員たちのメンケアで頭が痛い。


「壊滅……壊滅ってことは、たくさん死んだのか。それはちょっと、知り合いじゃなくても正気でいられそうにないな。でも何と戦ってるんだ?」


7月23日

 昨日は化物の襲撃があった。当番の話では突然現れたらしい。とても信じられないが、きっと事実なのだろう。追い払うので精一杯だったけど、どこに消えたのか街に混乱はない。


 しかしおかしい、グリーンタワーがある異界防衛基地に化物が現れるなんて前代未聞だ。


7月24日

 原因が分かった。グリーンタワーのエネルギー供給ラインが機能していなかった。もしかしたら品川も一緒だった可能性があるのですすきの防衛隊にも連絡しておくように指示をした。


 「異界を防衛する組織? それで防衛隊。敵は化物って事は、もしかしてこのノートは俺たちの未来、異界はタイムスリップできる施設?」


7月25日

 感謝された。どうやらすすきのも気が付いていなかったようだ。我々も急いでエネルギーを確保する為に異界周辺の木を伐採している。今のご時世自然破壊はご法度だけど背に腹は替えられない。


「木の伐採……そう言えば草は鬱蒼としてたけど、異界の入り口近くの木は全部切り株だったな。自然破壊か、確かに勝手に切るのはどうかと思うけどご法度と言うほどか? いや、未来なんだしより深刻なのかも……?」


8月1日

 街に化物が現れ始めた、おかしい。住民に不安が広がっている。すすきのとの相談の結果、お互いに同じ最終手段と言う結論に至った。頼れる仲間がいない以上、住民の避難は最優先だ。


「避難、そう言えば二カ所の防衛隊以外の話が出てこない。他とは連絡がとれてないのか?」


8月3日

 住民の避難が始まった。物資も続々と異界に搬入されている。住民も協力的だ。異界の抑制装置も問題なく動いている。確認用の横穴を調査しても化物の姿は見当たらない。


 何の問題もないはずなのに、不安が募る。私も彼と一緒に行って居たら、不安なんて無かったかもしれない。


「異界を避難所に、考える事はみんな一緒と言う事か」


8月13日

 避難が終わった。我々も異界内に入る。このノートはここに置いて行こう。


「防衛隊も異界に避難したって事は、それでこの建物もボロボロになったってことか。窓も割れて木の葉とかも中に溜まってるもんな……良くノートが無事だったな?」


11月11日

 昨日は三回目の白日があった。


「三回目、かなり日付も進んでる……」


 どうやら今日で世界は終わるらしい。


 白日で世界が言うには私たちは選択を誤ったようだ。と言っても私が何かしたわけではない。最期だと言う事で世界は色々質問に答えてくれた。私しかいない白日だけど、世界中で同じようなやり取りをしていると言っていた。


「あの声って答えてくれるのか、俺も何か質問してみればよかった。まぁあの時は体がすごく怠くて動かなかったんだけど、ちょっと損した気分だ。次に質問のチャンスが来るのは10年以上先か……」


 大変だなと思ったけど、どうやら世界の人口はもう1%もいないそうだ。それでも数千万人と同時に話しているという老人のような声の世界は、神と言っても過言ではないだろう。


 「神……1%……マジか」


 気になる事を全部聞いた。なんで世界がシャッフルしたのかとか、品川で何があったとか、いろいろと。


「シミが付いてる……涙かな」


 先ず、シャッフルの理由はある研究を阻止する為に、しかしその研究を阻止できず研究所から洩れ出した人工化物によってたくさんの人が死んだらしい。品川が壊滅したのもその化物の所為らしい。


「人工化物? アレを人工的に作り出したのか……未来すげぇな」


 人類の存続のために与えたと言う化物と異界のシステム。確かにこれらは世界を飛躍的に進歩させたけど、雲の上の人たちはあくなき欲望の末に開けてはいけない扉を開いたそうだ。それには世界も驚いたらしい。


「存続、恩恵と言っていたしそうなんだろうな。人の手に余る施しだったのか……いや、世界が驚くと言う事は、想定外に人が優秀だったって事かな? それで人口1%以下にしちゃ意味ねぇだろ。もしかして計画通りとか言わんよな……」


 そこまでならまだ引き返せたらしいけど、私達が異界に引きこもっている間に地球上の権力者たちは最悪の選択をしたそうだ。それは地球浄化作戦。


「うわ、嫌な文字列。コロニーとか空から降ってきそう」


 その作戦の所為で異界駐屯地から見える街並みはボロボロだ。品川があった方角には大きなクレーターが出来ている。あの大きさではすすきの防衛隊も無事じゃすまないだろう。何でも化物誘因装置によって集めた化物を神の杖と言う兵器で根絶やしにしたらしい。


「誘因、神の杖……なんかすごそうな名前だ」


 でも化物はまだ生き残っていて、代わりに居なくなったのは人類なのだとか、このままでは近い未来、人類は化物に喰われて滅びるそうだ。それも権力者たちが作り上げた化物によってである。ざまぁないわね。


「たしかに、自分たちで首絞めてる様なもんだからな。それでこの状況、俺もざまぁ言うだろうな」


 彼のことについても聞いた。解らないかもしれないけど聞いた。死んだらしい。流石の彼も神の杖の直撃には耐えられなかったそうだ。それでも最後まで笑っていたそうで、とても彼らしいと思う。


 終わった。もう私に出来る事もやる事もない。


「彼氏かなにかだろうか、確かに死んだなんて聞かされれば泣くだろうな。遠距離だったのかな? うーん、俺には相手がいないからわからないけど涙くらい出るか」


 部下の子たちは最期に何をするか相談していた。男の子たちが童貞を捨てたいと叫んで大騒ぎしているけど、優しいお姉さん達に手ほどきしてもらえる流れになったらしく、歓喜の雄たけびを上げている。


「なん、だと……!? そんなエロ本みたいなことがあるのか!! なんて羨ま……しくもないなぁ? いややっぱ羨ましい」


 女の子達も興味はあるらしい。軍規なんてものはもう意味がないだろう。それでも節度を持って事に当たりなさいと言うと可笑しそうにみんな笑っていた。みんなまだ十代だ。最期を迎えるにしても若すぎる。


「女の子もってところも気になるけど、十代で軍人……まじかぁ」


 私も誘われた。でも私は貰ってほしい相手が居るから遠慮しておく。もう死んでるみたいだけど、今はそんな気分でもない。


「見てはいけない物を見てしまった気がする。まぁ今更なんだけど」


 こうやってノートに向き合っていると、いろいろと思い出す。


 この世界はリセットされて、時間を巻き戻すそうだ。その後は別の責任者に引き継がれて世界の再々修正が行われる。そう話す世界の声は寂しそうだった。


「リセット、巻き戻し? 再々修正?」


 どうやら私たちの世界は一度今と同じようにチャンスを不意にしてしまったようだ。次の修正はかなり大掛かりなものにする必要があるという世界の声は、最後に小さく人員一人では限界があったと溜息混じりで呟いていた。


 その言葉には私も大いに頷ける。


「神様も軍人も人手不足か、世知辛い」


 願わくば、次の世界の人々が無事文明を後世に繋げられますように。たとえそれが負の遺産が積層した世界であっても、一度世界を滅ぼした私達であっても、そう願わずにいられない。


「…………ん? ちょっとまてよ? それはどういう、積層?」


 そう言えば、今生きている人は、次の世界でほんの少しだけ記憶が残っているそうだ。それは私たちの記憶を完全に消すことが出来ないからだとか。その影響がどう出るのか、未知数だとも世界の声は言っていた。





「記憶が残る」


 何となくだけど、何となくだけど……今の世の中に感じる違和感の原因に触れた気がする。


 いやまだだ、まだ結論を出すには早い。調べよう。ここで何があったのか調べないといけない気がする。



 いかがでしたでしょうか?


 羅糸は深淵の吐息に触れたようです。


 目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー

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