【幕間】
ノアがフレヤと合流する数時間前。
「ノア、今日はめでたいな~」
裏方として動いていたノアは、数人で固まっていた騎士のグループに捕まっていた。
「みんな、飲みすぎじゃないか?」
すでにできあがった騎士たちに水を差しだすも、逆に酒をすすめられる。
「ノアも飲もう~」
仕方なく一杯だけ付き合うことにした。が。
「あれ、フレヤさん」
騎士の一人がフレヤを見つけ、ノアが反応する。
フレヤはキリと楽しそうに話している。
「あの二人、仲いいよなー」
「そうそう、よく話してるし」
「……そう、なのか?」
キリはよく働くが寡黙だ。フレヤと話すところを見たことはあるが、そんなに頻繁なのかと驚いた。
「あの二人、できてんのかな~?」
「はあ?」
ぐいっと酒を飲み干して心を落ち着ける。
「なんだなんだ、ノア、お前がフレヤさんの本命か?」
酔っぱらった一人がノアに絡む。
「竜騎士じゃないやつなんてダメだ!」
ノアはまた酒を飲み干すと、グラスをテーブルにだんっと置く。
「ははは、お前、フレヤさんのお父さんかよ!」
「なんだなんだ、竜騎士ならいいのか~?」
「なら俺、立候補しようかな~」
酔っぱらった騎士たちが悪乗りで騒ぐ。
(そうだ……竜騎士じゃない僕なんて……)
どんどん注がれていく酒を次々と飲み干す。
「その辺にしとけ」
酒を取り上げたのはエミリアだった。
「ノア、聞こえてたぞ。フレヤがそんなもんで男を判断するものか」
そうだ。彼女は肩書きや噂で人を判断する人ではない。
「フレヤは美人でいいやつだからな。他の男に取られるぞ」
――だめだ。
そう思ってフレヤのほうを見れば、すでにキリはおらず、ユリウスと話していた。
二人の距離は近く、フレヤの態度も砕けているように見える。
(フレヤさんは……兄上みたいな人が好きなのかな?)
それなら敵わないと思うのに、足はフレヤに向かっていた。
(兄上にはエミリアがいるんだから、フレヤさんが傷付くだけだ)
言い訳を並べながらノアは走り出していた。酔っぱらっていたため、判断能力が鈍っていたのだ。
なお、この後の一世一代の告白も忘れることになるとは、このときのノアは知らない。
沢山のお話の中からお読みいただきありがとうございます!次話より第三章に入ります!
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